柴犬は旅をする
俺は転生者だが、柴犬だ。
柴犬馬鹿にすんなよ。
つぶらな瞳、ピンと立った耳、黒く艷やかなフサフサな毛、クルリンと綺麗に丸まった尻尾、麻呂眉が1番素敵に無敵、ヒゲはピンッと伸び、柴犬らしい柴犬だ。
そして、俺はスキル持ちの所謂珍しい柴犬…いやスンバラシイ柴犬だ。
柴犬の中でも、メチャクチャ愛らしく、宇宙1のカッコカワイイ、強くて最高最強な柴犬。
そんな俺はマジックバックのリュックサックを担ぎ、旅鴉よろしくな旅柴犬をしている。
「犬が…良いモノ背負ってるんじゃねーよ!」
ワラワラと群がる山賊。
醜いな。俺を見習え、スンバラシイ柴犬を!
『っわん!』
走り出した俺は、器用に山賊達に蹴りやら食らわす。
因みに足は…魔法で強化されているから、骨ぐらい簡単にバキバキ出来る。
「あ…足がー!」
「っぐあぅ……」
「腕…ぎゃー!」
「ひ…ば、バケモノ!」
「顔が…顔がー!」
「撤収しろー!」
逃げる山賊を見ながら、俺は一声鳴いた。
『ワンワーーン(ザマアミロ、柴犬を馬鹿にすんからだ)!』
俺は気分良く、再び歩き始めた。
俺は転生者。
俺は元人間。
だが、今は違う。
最高最強なカッコカワイイ、キュートでプリチーな、強くて紳士、人間の言語を理解しヘタクソながら字も絵も書けるお利口さんな柴犬。
趣味は、旅、買食い、悪いやつから金品強奪しつつ賞金を貰う。
名前もない、飼い主もいない、首輪もない、
そんな、普通な柴犬だ。
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