2章:禁忌魔法
カズキ
「みんなおやすみ」
アティナ
「おやすみなさい」
こうして、夜が明けた。
翌朝。
ハーティー
「よし、最終確認だ。
食料と服は持ったな?」
エリー
「OKでーす」
ハーティー
「提出書類と友達の別れはきちんとしたな?」
アティナ
「大丈夫でーす」
ハーティー
「ならば行こう。
依頼の中でもかなりの人員と時間が必要なタイプなんだ。
慎重かつ大胆に行動せねばな」
ハーティー
「やぁシフォン」
シフォン
「あらハーティーさん。
今日はどういったご用件で来たんですか?」
ハーティー
「オリヘリアスに行く依頼を受けたいんだ。
学園に提出する書類を頼みたい」
シフォン
「わかりました。少々お待ちください」
シフォン
「ええと、確かこの変に……」
シフォン
「ああ、ありましたありました」
シフォン
「こちらの方にサインをお願いします」
ハーティー
「アティナ、頼む」
アティナ
「わかりました」
アティナ
「これでいいですか?」
シフォン
「はい、大丈夫です」
シフォン
「しっかし珍しいですね、
オリヘリアスに行くなんて」
オズマ
「エストリアは少々特殊な学校だからな。
普通の学校を見ておく必要があると思ってな」
シフォン
「なるほどね……」
トルク
「少々特殊って、グループとか寮とかですか?」
オズマ
「まぁそんな感じだ。
もちろん遠い所にある学校にだってちゃんと寮はあるぞ」
エリー
「でも少なくともエストリアみたいに
学園ギルドとかはないわね。
普通のギルドで十分だから」
トルク
「そうなんですか……」
トルク
「というか皆さん物知りですね。
子どもの頃に旅とかしてたんですか?」
オズマ
「見たことをそのまま言っているだけさ。
俺もここからだと少々遠い所にある町の出身でな」
ハーティー
「他の町の状況とかは学校の資料にも載っている。
いずれ勉強することもあるだろう」
アーク
「ま、先に覚えておけってこったな。
これからどんどん依頼をこなしていくんだからさ」
トルク
「はい、頑張ります!」
シフォン
「オリヘリアスも大変ですよね、
エストリアに入れなかった人達を受け入れて、
昔より教育内容を厳しくしたりしているんでしょう?」
トルク
「えっ?」
アリス
「……」
ハーティー
「ああ、ここ数年はな」
ハーティー
「それよりも問題なのは、
あそこに生まれ育ちオリヘリアス学園に通う
普通の学生の方だがな」
ハーティー
「彼らのせいで、エストリアの試験も若干ではあるが厳しくなってな。
オリヘリアスの人達にとっては
より行きにくくなってしまったんだ」
シフォン
「そうなんですよねぇ……」
トルク
「えぇ……」
オズマ
「これに関してはエストリアにいる
これから通う子供達からも批判されてな。
かなり関係が悪くなってしまったんだ」
シフォン
「教師達の関係は悪くないんですよ。
あくまで生徒同士です」
シフォン
「ライバルはいた方が良いと思うんですが、
多すぎると邪魔なだけですからね。
大人達に振り回されて可哀想ではありますよね」
ハーティー
「だから結果として、
オリヘリアスに行くという依頼は
皆あまりしなくなったんだ」
ハーティー
「いないから今回ありがたく受けたわけだが、
エストリア代表として行くと思うと
今後の扱いが想像できるから気が滅入るんだ」
mein(toruku)(5), ウィンドウ, 下
トルク
「……」
エリー
「オリヘリアス学園はこの国の学校の中では普通の所よ。
中にはあたし達より上の人だっていっぱいいるわ」
エリー
「ただでさえ対抗心むき出しなんだから、
油断しないようにね」
トルク
「は、はい!」
カズキ
「そう心配すんなって。
オリヘリアスほど敵視されてる学校なんてこの国にはないからさ」
アーク
「そうそう。気楽にやればいいんだよ」
アティナ
「今回はあたし達8人しかいませんからね。
貴重な交流相手として丁重に扱ってくれるはずです」
ハーティー
「よし、それじゃあオリヘリアス学園に出発だ!」
オズマ
「場所はエストリア街道を東に行けばある。
すぐにたどり着けるはずさ」
アティナ
「とりあえず今日は着いて一泊ですかね~。
依頼をこなすのは多分翌日以降からなんじゃないですか?」
ハーティー
「だといいが、行くまでどうだかわからん。
全校生徒全員が迎えてくれるんだ、
圧力に負けないようにな」
ハーティー
「ではシフォン。行ってくるよ」
シフォン
「はい、行ってらっしゃい。
いい土産話期待していますよ」