1章:始まりの場所(ここまで1章)
エリー
「ふぅ。やっと帰ってきましたね」
ハーティー
「一度ギルドに行くのをはさまないといけないからな。
依頼をすると5時までには帰ってこれなくなることも多い」
ハーティー
「でもまぁ、初めてにしてはよくやった方だ。
ゆっくり休んで次に備えよう」
トルク
「はい!」
アティナ
「しかしあれですねぇ、盗賊団ですっけ。
いつのまにエストリア周辺は
治安が悪くなったんでしょうかね?」
オズマ
「どこの時代にもああいう奴はいるものだ。
やむをえない理由だってあるかもしれんしな」
オズマ
「まぁ、あっても基本的に同情はしないがな」
エリー
「それでハーティー先輩。
次はどんな依頼をするんですか?」
ハーティー
「それなんだが……。
東のオリヘリアスに行こうと思う」
カズキ
「オリヘリアスに?」
ハーティー
「ああ。
そこにある学校の生徒と交流をしようと思っている。
まぁ修学旅行みたいなものだと思ってくれ」
アーク
「1年の初めっていうのに飛ばしますねぇ。
なんかあっての事なんですか?」
ハーティー
「いや、特に理由はないぞ。
ただ、ここからそう遠くないし、
今後のために外を知っておく必要があるからな」
ハーティー
「遠くに行く際の宿泊地点にしたいんだ。
エストリアほどじゃないが、
あそこもかなり広い町だからな」
エリー
「オリヘリアスですか。
あそこの学校って結構
うちの生徒の友達とか多いんですよね」
オズマ
「あそこにいる子供が頑張って
エストリアの方まで学びに来るほどだからな。
オリヘリアスとは兄弟みたいなものさ」
エリー
「だから結構ライバル心が
むき出しな人も多いんですけどね……」
オズマ
「競い合っているのは良い事だぞ。
今後の依頼でも協力してくれるかもしれないしな」
ハーティー
「そういうわけだ。
エストリアの学生として恥じないよう、
全力を尽くして戦ってくれ」
アーク
「はい!」
エリー
「でもほんと、
他校に行けなんて依頼よく作りますよね」
ハーティー
「学校があって寮もあると
外に出なくていい生活が出来るからな」
ハーティー
「基本的にどう過ごすか自由である以上、
依頼をこなすならなるべく外に行けっていうのは
方針として間違ってはいないだろう」
ハーティー
「かなりハードルが高く特殊であることは間違いないがな」
ハーティー
「自分たちと同じ学生相手だと、
遠慮しなくていいから
色々やりづらい部分がどうしても出てくる」
アティナ
「基本的に教師同伴もないですからねぇ……」
オズマ
「教師よりグループの数の方が
多いんだから当たり前なんだけどな」
オズマ
「教師なんて空いていたらラッキー程度の認識さ」
トルク
「じゃあ今回は学園ギルドの方に行くんですね?」
ハーティー
「いや、今日と同じだぞ」
トルク
「え?」
ハーティー
「あそこは学園ギルドにいる人が多い時に訪れる場所なんだ。
だから生徒限定で学園ギルドとしての機能も兼ね備えてある。
ようするにどっちに行ってもやってる事は同じなんだ」
トルク
「な、なるほど……」
オズマ
「まぁだから学園ギルドの依頼と、
普通のギルドの依頼を両方をこなす奴とかもいたり」
オズマ
「どっちがどの依頼だっけとか
わからなくなってしまう奴とかも出てくるんだけどな」
オズマ
「確認すればすぐにわかる事だから、
何をすればいいのかだけ覚えておけば何も問題ない事さ」
トルク
「……ちなみに今回の依頼は
どのくらい時間が掛かりそうなんですか?」
ハーティー
「戦うだけならすぐに終わるだろうだが、
向こうに滞在している間は向こうの生徒として扱われるからな。
2、3日は向こうの方で授業を受ける決まりになっている」
ハーティー
「だからトータルで1週間ぐらいじゃないか?」
トルク
「い、1週間!?」
アリス
「……」
ハーティー
「当然預かってもらっている間、
受けるはずの授業ができないから、
その代わりを私達がしなければならないんだ」
ハーティー
「1週間を2、3日だけで補わせるんだぞ。
かなりスパルタだと思った方が良い」
トルク
「ひ、ひぇ~……」
ハーティー
「だから向こうの生徒として授業を受けさせて
少しでもその負担をやわらげようってわけなんだ」
オズマ
「あと、授業を受けた証がないと、
帰って来た時に教師に出席認定してもらえないしな」
トルク
「あ、なるほど!」
ハーティー
「そういうわけだ。
だから準備できたらすぐに出発だぞ」
ハーティー
「別れを告げたい相手がいるのならすましておくようにな」
トルク
「はい!」
アリス
「わかりました」
ハーティー
「これで今日の活動は終わりだ。
後は寝る時まで好きにしてくれ」
エリー
「はーい」
カズキ
「(オリヘリアスかぁ……。
エストリアに行くときに通ったっけなぁ……。
あそこに着いただけでも感動したもんだ)」
カズキ
「(皆魔法が使えるのを見て、
俺もああなるんだって思ったもんな)」
カズキ
「(楽しみでわくわくするぜ!
待ってろよ、オリヘリアス!)」