第4話 お針子さんに手を出さないで下さいって何だw
早くもブクマして頂きありがとうございます!!
嬉しすぎる( ;∀;)
駅から10分も経たずと着いたマンションを見て驚いている。
まぁ、恵比寿で駅近でマンションだと驚くかな。
きれいに見えるが、それなりの築年数なのでそこまで家賃は高くはない。
部屋もファミリー向けと単身向けがあり、自分は当然単身向けだ。
とは言っても広めの1LDKなので、彼女と同棲くらいなら出来るかもしれない。
荷物はそこまで多くはないと自分では思うが、自分なりのこだわりがあるので、正直ここに二人で住みたいとは思わないが。
それでも歴代の彼女をここに連れてくると、すぐに「一緒に住みたい!」と言う。
了承していないのに、荷物を少しづつ置いていく。
自分の領域が侵食されていく様で心底嫌だった。
なので、「住みたい。」と言い出したら、あ、そろそろお別れだな、なんてまたも大学の友人に「クズ」と言われそうな事を思う事が多かった。
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「家具とかインテリアおしゃれ~」
家に上がり、リビングを見回しそう彼女が呟いた。
褒められる事自体は嬉しい。
満面の笑みで何か飲むか聞いた。
「じゃぁお茶かお水を」
「水?」
「お水飲みません?」
「飲むけど・・・じゃぁ紅茶用意するから少しだけ座って待ってて。」
水、と言う答えに驚いた。
客人に水なんて出さないんだが・・・
いつも通り「カフェラテ~」とか「ミルクティ~」とかが来ると予想していたが、水と言われるとは思ってもみなかった。
やはりしずかさんは普通の女性とどこか違う。
紅茶を用意し、彼女がそれを一口飲んだ後、「家具等が高そうだ。」と呟いた。
「中古で買ってたりするからそうでもないよ。元は高いけどね。」
サイト等で中古の家具を見つけて買っているので大した金額ではない。
新品でも買えないわけではないが、山手線沿線から徒歩内のマンションに住んでいるのでそれなりにお金はかかる。
新品・中古にこだわる必要はない。何なら中古の方が味があったりするしな。
「へ~堅実。」
「通勤にあまり時間かけたくなくて物件選んでるから家賃は仕方ないにしても、内装にお金をかける必要ないからね。」
「ちょっと意外です。」
「え?」
「いや、スーツをオーダーする様な人だし、山手線の駅からすぐ着いたし建物立派だしどこの御曹司かと思ったけど、締める所は締めてるから。」
「御曹司はもっと良い部屋住んでるでしょ。」
「御曹司知らないからわかりません。」
「むしろ御曹司と比べられたくないから知らなくてありがたいよ。」
マンションの外装・内装、インテリアやスーツのオーダーをする事から普通仕事は何をしているのか?と聞かれそうなものなのに、御曹司?とかちょっと頭の悪い言葉が飛んできた。
そんなものと比べないで欲しい。
と言うか、俺ってもしかしてそこまで興味持たれてないのでは?!
普通ここまで来たら仕事何してるか聞くだろ!
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一息着いたら採寸スタートだ。
あの艶やかでふわふわな長い髪を束ねて彼女が準備を始めた。
覗くうなじが白い。ついつい盗み見してしまった。
「Yシャツの上に着る予定のジャケットならYシャツ着て下さい。」
Tシャツの上を想定しているので着替える必要はないが、少しからかってみた。
「Tシャツの上に羽織るからこのままで良いかな。それともTシャツも脱ぐ?」
少し嫌そうに「裸の上に着るならどうぞ。」と言われてしまった。
「ははっ。冗談だよ。下はデニムのままで良いよね?」
「はい、大丈夫です。」
ごまかす様に笑っておいた。
道具の入ったポーチから彼女はメジャー、ではなく黒くて細い紐を持っていた。
「それは?」
「ウエストの位置をわかりやすくする為の紐です。」
「へ~初めて見た。」
「普通は使わないでしょうね。私は多数の人を測ったりしないので、確実に採寸する為ウエストに目印を付けたいんです。」
なるほど、ウエストの位置がずれると全体のバランス変わるもんな。
感心していると、
「あの、亮さん。」
とおずおずと呼ばれたので返事をした。
「当たると思うんですけど、わざとじゃないので嫌かもしれないけどちょっと我慢して下さい。」
「?」
何の事かわからなかったがすぐに判明した。
紐をウエストに結ぶ為に手を回すと彼女の豊かな胸が腹に当たった。
「なるほど。」
「ほんと、ごめんなさい!」
謝られたが、正直ラッキーだ。
「謝る必要はないんじゃない?むしろ俺はラッキーですが。」
「えー?だって胸押し付けてくる女子って怖くないです?」
「まぁ言ってる事は何となくわかる。」
「さては経験者ですねw」
胸が当たって絶対嬉しいかと問われればシチュエーションによる。
飲み会終わり等で腕をからめてもたれたフリをして巨乳を押し付けてくる女子は絶対に酔っていない。
狩られる!と思うと反応はしないものだ。
そう思い出してたらまさしく、その様な事を言っている。
巨乳も好きではあるが、別に大きさにこだわりはない。だが、「巨乳好きでしょ?」みたいにあからさまに押し付けられるのは好きではないな。
・・・・・彼女は武器として使わないのかな。
って、ちょっと待て。採寸の時毎回こうなるんじゃないか?
他の男も同じ様なラッキーを味わっているんじゃないか?
「て言うか、採寸の時って毎回こうなるの?」
「そうなんですよ~女子でさえも当たってたので。あ、男性を測ったのは亮さんが初めてですよ。だから忘れてました!」
少し腹立たしく思ったら今までは女性しか測っておらず、男性は俺が初めてだと教えてくれた。
初めて、って響き良いよな。
内心、ニヤニヤしているのを抑えていると手際良く各部位を測定していっている。
俺の周りをちょこまかと動き、その度柔らかな香りが浮上する。
やばい、ちょっとムラっと来てしまった。
抱きしめてみても良いかな・・・?
「じゃぁ胸囲測りますね。」
「・・・・」
正面に来た時すかさず抱き留めた。
「ふおっ!!?」
エロい展開にならないかな、なんて淡い期待を抱いて視線を落としたら、むくれている。
ちっダメか。
「・・・亮さん?・・・・お針子さんに手を出さないで下さい。」
お針子さんに手を出さないで下さい、って何だ、何か昭和な響きだな。
「抱き心地良さそうだったのでつい。」と言ったがほんとに抱き心地が良かった。
「警戒しないで良いって言ったのどなたですか。採寸させないなら帰りますよ?」
「ごめんね、お針子さん。」
髪だけじゃなくて体もふわふわ柔らかくて、もう少し抱きしめていたかった。
しずかさんは基本他人の一切に興味ないので・・・