試験開始
小さな女の子は、自分が踏みつけた所為で二人がキスをしてしまった事に全く気がつかず二人を眺めていた。ナルミは少女の言葉と態度に誰の所為でこんな事になったのかを理解し、少女に怒ろうとしたがシュンが動く気が無かったのでナルミは、空いている手でシュンを叩きようやくキスが終わったがまだシュンはナルミの上に乗っかったままだった。
「じじ事故でキスをしてしまった事に関してはあまり文句を言いませんが! それにしても、なななんであんなに長いキスをしなくてはいけないのですが! 」
動揺しながらもシュンに対して文句を言ったが。ナルミが怒った理由はどうやらキスをした事よりも長時間のキスされた事に対して怒っているようだ。まるで今回が初めてのキスではないよう言い方だった。シュンもナルミに対して反論はするけどもナルミの上に乗っかったまま反論をしていた。
「仕方無いじゃん! あいつが踏みつけてくるんだから。それにお前は俺とキスができて幸せだろ! 」
シュンは少女を指で指しながらナルミに反論した。ナルミはシュンが指した方向を確認して再度シュンを険しい顔で見た。シュンはその顔が怖いと感じたのか嫌われたくないと感じたのかサッと立ち上がりナルミの手を引っ張ってナルミを立たせた。ナルミは直ぐにシュンの体を押して少女の方を睨んだ。
「マナミ‼︎ なんで貴女が此処にいるんですか? まさかとは思いますが貴女も入学試験を受けるんですか? 」
シュンを踏みつけたのはナルミの妹のマナミのようだ。
「せやで。 姉ちゃんも受けるん? 」
マナミは首を傾げながらナルミに聞いた。
「はい! 私とジュエリーは受けます。 シュンさんの事は知りませんが? 」
ナルミはマナミの質問を返しながらジュエリーに近づいてジュエリーを起き上がらせた。
「ふんバーカ! 俺達はもう在校生だから試験は受けなくていいの。ジュエリーの応援と悪い虫がつかないように守んなければいだろ! お義父さんと認めてもらうためには」
どうやらシュンがジュエリーに対しての想いは、彼女のお母さんを口説くためにとった行動だったようだ。だがシュンの言葉を完全否定するかのようにナルミはシュンに文句を言った。
「そんな言葉誰が信用するんですか? さっきの事といい私からすれば貴方が悪い虫ですよ。ジュエリーにとって‼︎ 」
シュンとの口論がこれ以上続くうと思ったナルミはすぐに話を変えた。
「それよりマナミ貴女見たいないい加減な人が本気で学校行くつもりですか? 」
「ウチやって来たくなかってんやで。けどウチがいるギルドの連中に、ここに入学しなければ給料出さへんっていうし禁止事項もつけるいうから仕方無しに来てんねん! 」
マナミの言葉を聞いてナルミは腹を立てた。ナルミとジュエリーは自分達の意思で受験を受けるに対し、マナミは自分の意思で無く他人に言われたから仕方なく受験をしにきた事に。
「何が【仕方無し】にですか? 貴女のようないい加減な人がいい加減な理由で此処な来ないでください。そんなに嫌々なら断ればよかったじゃないですか? 」
ナルミの言葉に対してマナミには受験する理由が無いと言われた気がしたマナミは自分にもちゃんとした理由がある事を説明した。
「しゃーないやん。受験に合格しなければオムライスを食べる事を禁止するって言われてんから。うちにはうちの理由があって来とんねん。 姉ちゃんには全く関係ない事やん! 」
マナミの受検理由に呆れたナルミは大きく溜め息を出して落ちこんだ。そんなナルミを見たジュエリーは、ナルミに近ずき頭を撫でた。
「いい子! いい子!」
ジュエリーの言葉に甘えるナルミを見たシュンはジュエリーに注意をした。
「ダメだよジュエリー! そんな子に触るとジュエリーまで変になっちゃうよ! 」
シュンの言葉を聞いたジュエリーは、シュンを軽蔑するかのような眼で見てナルミの頭を撫で続けた。
ピン・ポン・パン・ポーン
「只今より、連合育成学校の受検受け付けを開始いたします。 試験用の番号を配りますので受検者の方は受付場まで来て下さい。」
ピン・ポン・パン・ポーン
校内アナウンスが流れ、マナミの足元に魔方陣が突如現れた
「んじゃウチは、先に行かせて貰うな 姉ちゃん達も遅れんなや! 」
マナミはナルミ達にそう言い残し魔方陣と共に一瞬で姿を消した。ナルミはマナミの言葉に疑問に思った。(試験会場は此処なのにどうしてマナミは、消えたんだろう? )そう思いながらナルミは周りを見渡した。受験生も試験官も誰も来ていない事に不審に思い、再度見渡した。
「あー!! 」
ナルミは大きな声をあげ看板に指を指した。ジュエリーとシュンはナルミの反応で再度看板を見た。 【連合育成学校試験会場 第一校舎 受付会場第二校舎受付時間8時30分〜8時55分まで】 良くみると看板にはそう書かれていた。ナルミ達がいる場所は第一校舎。第二校舎まで早く走って15分はかかるか場所に置いてあるのだ。
「ジュエリー大変です。受付会場と試験会場は違う場所見たいです急いで向かいましょう」
「うん。わかった」
ナルミとジュエリーは慌てて受付会場に向かった。 二人はギリギリで受付に間に合い受付を済ませた
「はいこちらが番号になりますので試験までに失くさないようにお願いいたします。会場はあちらのグランドになりますので」
ナルミ達は受け付けの人から番号札をもらい確認した。ナルミの番号には【2503】と書いてあり、ジュエリーは【2504】と書かれていた。二人は確認をした後にグランドに向かった。
ガヤガヤ
グランドには大勢の受験生が集まっていた。受験資格が9歳以上という事もあってか大人から子供までが会場で待っていた。
ピン・ポン・パン・ポーン
「只今より受付を終了させて頂きます。受験者の方はそのままお待ち下さい」
ピン・ポン・パン・ポーン
待っている間にナルミは段々と不安になっていた。自分の努力の結果がもうすぐ出ると考えれば考えるほど不安になり、心臓の音が早くなって来ていた。ナルミの不安を悟ったのかジュエリーはナルミの胸を背後から触りながらナルミに喋った
「大丈夫! ナルミンは今日まで頑張ったから余裕で受かるよ! 」
ジュエリーの言葉で不安が消えたナルミは深呼吸をし、ジュエリーの顔を見ながら優しく頭を叩き笑顔で返答した。
「ありがとうございますジュエリー。おかげで不安が消えました」
キーン
マイク音が聞こえ中央を見るとそこに居たのは金髪ショートで緑色の服を着ており、その下に包帯を手の指先にまで巻いていた美形の女性が立っていた。
「えー今日受験の進行及び試験官を勤める事になったナオ・パンサーだ。 今から試験内容などを説明するからちゃんと聞いときなよ 二度は言わないから」
ナオはそう言って試験内容の説明をしようとした時に受験生の一人がナオに急接近して来た
「ナオォ〜 ワイは、今日の為に今まで受験しなかったんやで〜」
関西弁の男が急に飛び出して来た。
「ッチ 神座あんた本当にしつこいよ」
ナオは慌てて学校の屋上に移動した。あっという間の速さに受験生の殆どがナオを見失った。神座という男だけがナオを見失わずに屋上に向かって声をかけた
「そんな照れんでもええやん ホンマ可愛い奴やな」
そう言いながら又ナオを追いかけて始めた。グランドから屋上に虫のように登りナオが立っていると事まで一直線に向かった。
ビリリ・・・ドーン
残りもう少しでナオに触れる距離まで近づいた時に神座をめがけて雷が落ち、神座の意識を奪って下に落下した。ナオは、ホッとため息をついて、屋上から受験者に試験内容を説明に入った。
「えー途中で邪魔が入ったけど今回の試験内容を説明するよ。 知っていると思うが試験は毎年同じで受験生は在校生或いは先生と勝負をし、負ければ不合格。5分以上戦い続けるか勝利すれば合格とする。 受験生が在校生や教師に戦いを挑めるのは一回限り、そして在校生や教師が戦うのも一回限りだ。」
ザワザワザワ
ナオの説明に受験生が騒ついた。受験生の一人が尋ねた
「そんなルール今まで聞いたことが無いんだけど! もし在校生が見当たらなかったらどうすればいいんだよ! 」
「簡単だよ! 諦めるか教師と戦うかのどちらかだ。今迄は在校生の中にわざと5分以上戦って合格者を増やしたり、質より量を取っていたけど今回は、その逆で量より質を取る事にしたんだよ。今いる弱い在校生と戦える人数が限られたって事。 因みに教師達や在校生も負けたらそれなりに処罰されるから向こうも本気で戦う事になるから、死にたくない人は今回は諦めて又2年後に挑む事だね 以上」
ナオの言葉で受験生は理解した。確実に合格したければ早く弱い在校生を捕まえて戦う事。此処にいるみんなが合格の邪魔をする連中だという事を理解し皆覚悟を決めた。
「皆準備できている見たいだね。もう一個言っとくよ勝負は第一校舎で行う事。それぞれに試験官がいるから判定はその人達にして貰う事。 では始め」
ナオの合図で受検者達が一斉に試験会場に向かい、ナルミとジュエリーは、少し休憩をしてから試験会場に向かった。二人が向かってる最中に受検者達が何人も倒れおり受検者同士で戦っている人たちもいた。二人は戦いに巻き込まれないように慎重に行動をし試験会場に着いた。入り口前でシュンが待っていた。
「よう。遅かったなぁ」
そう言いながらシュンはナルミ達に近づいた。
「俺はまだ戦ってないから、相手してあげるよ。こっちに試験官がいるからそこで戦おうジュエリー」
シュンは二人を案内しようとしたが、ナルミとジュエリーはシュンの言葉を無視をして別の場所に向かった。
「ちょっ・・どこ行くの? ジュエリー俺と戦えば負けてあげるから 合格は確実だよ」
「要らない 大丈夫 ナルミン行こ! 」
ジュエリーがナルミの腕を引っ張り別の場所に向かう事にしたが、ナルミが動くのをやめて遠くの方に誰かがいるのを確認して向かった。
「あの方は! ジュエリーこっちです! 」
嬉しそうに走るナルミを見たジュエリーも嬉しそうに走った。ナルミが試験官の前で止まった。
「おはようございます。 カナメ先生」
「おはようございます ナルミさんテストは終わりましたか? 」
「いえまだです。在校生が見当たらなくて困ってたんです カナメ先生余ってる受験生いませんか? 」
カナメの問いに甘える感じで答えたナルミにカナメは、頭を撫でながら考えていた最中にシュンがナルミの後ろから現れ、ジュエリーと戦う事を交渉していた。
「ジュエリー何が嫌なの? 」
シュンの声に気がついたカナメは、ナルミに提案した。
「シュンさんと戦って見てはどうですか? 」
カナメの提案を聞いたナルミは驚いた顔をした
「確かにそうですけど、シュンさんに勝つなんて当然の事ですし誰にも話せませんよ恥ずかしくて! 」
「ナルミさん確かにシュンさんと戦う事は恥ずかしい事ですが、今のナルミさんの力を考えると残っている在校生と戦っても負けます。 今大事なのは受験に合格する事です。 」
カナメの言葉に優先順位を再度確認したナルミはシュンと戦う事を決意した。
「シュンさん私と勝負です」
シュンはナルミの顔を見て答えた
「嫌だよ。俺はジュエリーと勝負するしそれに誤解されたくないし俺にはサヨがいるから」
戦いを断ったシュンに対してカナメが怒った。
「シュンさん。ナルミさんと勝負してください! 受験不協力者として報告して降格処分になって、一年生からやり直しですよいいんですか? 」
カナメの言い分にムカっときたシュンはカナメに反論した。
「カナメちゃんにそんな権限ないよ。それに勘違いされたくないし」
シュンは冷静にカナメの言葉に反論をしたがその反論がカナメを怒らせてしまった。
「私は教師ですからできますよ。良いんですねシュンさん報告しますよ」
「わかったよナルミと戦えば良いんだろうめんどくさいなぁ」
シュンはあっさりと戦うことを認めたシュンはナルミに近づいて話しかけた
「良いかぁナルミとの戦いが長いけど、実力つけた俺に勝てると思うなよ」
「シュンさんそういうのは自己」
シュンは開始の合図も待たずに喋っているナルミに不意打ちを仕掛けた
「ホイッと」
スカッ
ナルミはシュンの不意打ちをあっさりと避け距離をとった。
「相変わらず卑怯ですね。私が喋ってる最中に攻撃を仕掛けてくるなんて」
「俺の作戦にハマるお前が悪い」
シュンは自分が不意打ちを仕掛けた事に反省がなく、カッコつけてナルミに答えた。
「さぁて行くか」
バチン
そう言ってシュンはナルミに向かって走り攻撃を仕掛けようとした時にカナメがシュンの前に立ってビンタをした。
「試合開始の合図がまだなのに勝手に行動しないでください! 後でこの事は報告します」
「カナメちゃんはナルミを庇い過ぎ! 本当過保護何だ」
「では始めてください」
シュンの言葉に被せるようにカナメは開始の合図を言った。
「きったねーな人が喋っている最中に! 」
シュンはカナメに文句をいいながら構えた
「よろしくお願いします」
ナルミは御辞儀をした後構えをとった。
「ナルミ悪いがお前じゃ俺には勝てないよ! 」
シュンはそう言って右の掌に黄色く光る玉を作り始めた。シュンの行動を見たナルミは刀を地面にさして動かずにいた。
「本気で来てください! 今のシュンさん一人の力なら簡単に勝てるので 」
ナルミの言葉を無視をして走りながらナルミに向かって光る玉を投げた。
「喰らえ 『万雷誇弾』
シュンはナルミが避けると考え、避けた方向に攻撃できるように投げた瞬間に地面に両手をつけて今度は槍を作り出した。だがナルミは光の玉が近ずいても避ける事をせずにいた
ビリ
シュンの万雷誇弾が当たったがナルミは全く無反応だった。
「この程度の技当たったところでかすり傷にすらなりませんよ。 もう一度言います本気で来てください! 」
シュンはナルミが喋っている最中に土で作った槍をナルミに投げた。
「ならこれならどうだ『怒土瞬槍』」
ナルミは飛んで来た槍を掴み取った
「そっちが本気を出さないならこっちも遊びます。 『日向流槍術』これで相手をします」
ナルミは地面に刺さっている刀の前に立ち槍を構えた。ナルミの馬鹿にした態度にシュンは怒りナルミに近づき蹴りを入れようとしたが、ナルミはシュンの足を土台に足を乗せて上に跳び、槍をシュンにめがけて投げた。シュンは慌てて後ろに跳びナルミを睨んだ
「これで少しは本気でくるようになりましたか? 」
その言葉にシュンは完全に怒った。
「『能力 猿の魔法』ムカついたからこれでお前の顔面を握りつぶしてやるよ」
シュンの腕が段々と太く大きくなりその腕はまるで猿の腕になっていった。シュンはその腕でナルミを捕まえようとしたが触れることすら無くナルミは全てのシュンの攻撃を避けた
「握り潰すってシュンさんゴリラにでもなったつもりですか? その技は頭までモンキーになるみたいですね 攻撃が遅過ぎて当たりませんよ」
ナルミはシュンの腕の変化を見ても怖気付く事なく避け続けた。
「この この この」
あまりにも回避の上手さに余計にイライラして来たシュンは、離れて距離をとり能力を解除した。
「はぁはぁ なら仕方ないお前を認めてやるよ これが俺の本気だ 『精具 バハムート』お前の凡精霊とは違いこっちは龍精霊の力を一つに集めたもの桁が違う事を教えてやるよ」
シュンの靴が神々しく光変化した。ナルミはシュンがようやく本気になったことを理解し地面にさした刀を抜いた。
「アドバイスをしてあげます。技や力は遣いこなせなければ脅威ではありません。 貴方のように分不相応の人は過ぎた力を持っても意味がありません。 『セルシウス憑依』 私の精霊が凡精霊と言いましたけど私達は別に構いません 」
ナルミの髪色が水色になり肌の色も白く変わり瞳の色も蒼く変化した。