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魔術下衆の一日

まだ霧の気配がのこる、オーキッド通り沿い

ここは小さな魔法店が立ち並ぶエリアだ、

店の開店準備をする人の気配があちこちから伝わってくる、


「さて、こんなもんスか?」

魔法使いの朝は早い。


魔術書や巻物用羊皮紙の準備から始まり、魔術触媒となる薬草、鉱石の採取・収集など、やるべき仕事にヒマはないのだ、



干からびたオーク杉の枝や、

束ねられた薬草植物、

箱詰めされた鉱石類、

何かわからない獣の一部、

それらをオモチャ箱のように並べきると

オルフェは額の汗を拭う。



リスのような少女がメモを取りながら、

ちょこちょこオルフェの後に続く、

金髪のポニテを揺らしながら、一枚一枚と

在庫を確認してゆく。


「はいテンチョ、少ない素材のリスト。

仕入れはお願い。」


「テンチョ言うな、師匠と呼ぼうな、チビッコ。」


「ソルは、成長期、チビッコ発言は遺憾・・。」



このお子ちゃまめ、

彼女はソルト・スターム、

目上の人間に対して慇懃な態度であることを気に留めすらしない。

不躾な態度は本人の愛らしい外見もあいまって、

憎たらしいことこの上ない。


「店番はソルの仕事、テンチョは汗水流して仕入れをする。」

「お前は、本当にオレの弟子か?、」


大くの魔法使いは師匠につき従い徒弟制の下で働く、

師に見習いとして仕事や魔法を学び、

独り立ちして、ようやっと魔法使いになる


その後に、さらに上を目指す者達が魔法学院を卒業し城や研究所で働くのが一般的なキャリア、


だが、このチビチビ齧歯類娘はそんな学院の主席卒業者とやらで、遥か雲の上の権力者に『わかるよね?』強く言い渡されて、俺は半ば強制的に面倒を見させられている。


とにかく俺は扱いに困っている。


世の中、天才とか、奇才は、とにかく疎まれる。

ソルトもその能力ゆえに魔術学校の枠に収まりきらず

つまはじきにあった身だ、

縁故やコネがありさえすれば、魔術師協会の頂点に君臨する賢者の一人に名を連ねるであろうものを・・。

スタッフとして働くのは助かるがなぁ、


そんな師匠の気を知ってか知らずか、

弟子がカップを差し出してきた、


「このお茶のんで、仕事」

「・・お前は、アレだな、

なんかこう気を配る所が 他とは違うよな。」

「デキる女は気まわしも早い。」


なんでデキた弟子に感心する空気感かもしだしてるんですかねェ、ちなみにその茶葉、貴族や大店の商人にお出しする一番高い茶葉じゃァないンですかねェ??、


渋々、高い茶葉の香りを味わいながら、

朝の空気を、肺腑に吸い込んでゆく、

今日も一日、魔術下衆の一日が始まりました。



高慢な弟子に見送られながら、メモを片手に

朝の市場へと足を伸ばすとしようか。

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