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料理上手系女子



暫くしてリンネさんの絶叫が止んだ頃、碓氷さんがいい笑顔で出てきた。




「いやー、ありがとう。

君は御影繡くん?

やっと仕返しができたよ。すっきりした。」




いい笑顔だ。




「いや、それよりリンネさんは生きてる?」




そういうと碓氷さんはムッとした顔で言う。




「私はそんな悪人じゃないよ。

ひどいね、御影くん。」




やってしまった。




「いや、軽いジョーダンです。

すみません。」




慌てて頭を下げる。




「ふふ、そんな慌てて謝らないでよ。

私が悪者みたいじゃんか。」




碓氷さんは笑っていた。



怒ってない、かな?




「ああ、すみません。

そうですよね。うん。」




「今日から寮入りなんでしょ?少し話さない?」




これは、友達作りの第一歩なのでは。

是非ともお話ししたい。




「いいですか?僕、友達とかいなくて、すごく助かります。」




言ってて悲しくなってくる。




「そ、そうなんだ。大変だね。」




ほら、碓氷さんも引いちゃってるし。



残念な奴認定されたに違いない。




「じゃ、改めまして、私は碓氷澪。白石高校の2年で料理部やってるよ。よろしく。」




料理部かあ。



似合ってるなあ。俺に美人で料理も出来て優しい隣人が出来たのか。



夢が広がるぜ。




「僕は御影繡って言います。今日からこの寮で住まわせて頂きます。よろしくお願いします。」




「ちょっと、堅いよ!私そんなに怖いの?」




少しうるっとした目で言ってくる。



リンネさんにしたことを、今になってやりすぎだと思ったのか少し落ち込んだ碓氷さんである。



確かにあの阿修羅はちょっと怖かった。うん。




「いや、そんなことはないよ。

全然。」




そうやって言葉に迷っていると、今度は碓氷さんの部屋から声がした。




「...もうゆるして。

ごめんなさい。」




言わずもがなリンネさんの声である。




「碓氷さん、リンネさんは?」


「...忘れてた。」




碓氷さんが部屋に戻り、リンネさんを連れて出てくる。




「じゃあ、御影くんにも謝ってね。」


「...ごめんなさい。」




力なく項垂れたリンネさんの髪はボサボサで、表情には元気がなかった。



俺がやってしまったんだと、後悔だけが襲ってくる。



俺のせいで、女の子の笑顔が一つ奪われてしまったんだ。



俺は言われもない後悔の念と罪の意識に押しつぶされそうに「ちょっと!」




言われて碓氷さんに目を向ける。




「なにこの世の終わりみたいな顔してるの!どうせ変なこと考えてたんでしょ。」




確かにもともとリンネさんの悪戯がなければこうはならなかったんだし、見た目が幼女なだけでピクシーな訳だし、もしかしたら俺の精神年齢30歳より上の可能性があるし。




「いま、余計なこと考えた?」




リンネさんの背後に鬼のオーラが浮かんで見える。

なにこの子たち、念を使いこなすの?




「いや、考えてないです。

それより、悪戯もうしないで下さいよ。」




「そ、それは「なに?」いや、なんでもないです。」




碓氷さんの笑顔に借りてきた猫のように縮こまるリンネさん。



悪戯だけが楽しみのピクシー族にとって悪戯を取り上げるのは酷かもしれない。



碓氷さんもそう思ったのか溜息を一つ。




「もう、わかったよ。ただ、誰かに成り代わって悪戯

するのだけはダメだからね。次したら知らないからね。」




碓氷さんの一言で下を向いてたリンネさんは一転、天使のような笑顔を浮かべる。




「本当に?」




守ってやりたいこの笑顔。




「ほどほどにね。」




やれやれと碓氷さんは少し苦笑して話題を変える。




「そう言えば今春休みなのにもう寮入りって早いね。」




うっ、胸が痛い。



中学卒業とともに高校の寮に来たなんてやっぱり目立つかな。



厄介払いされてしまったんですよー。



とか言ってみるかな。



いや、笑えるかよ。




「そうなんですよね。早めに来て友達作ろうと思って。」




ははは。



言ってて涙が出てくる。



けど、言い訳にしてはいい線いったんじゃないだろうか。



ふと視線を感じて碓氷さんを見る。




「でも、寮生は殆ど里帰りしてるけど。」




ええい!かわいそうなものを見る目で俺を見るでない。



その隣で幼女も哀れみの視線を飛ばしてくる。



なんでや。



なんで俺が一番被害を被っているんだ。




「...あ、もうお昼ですねー。」




...視線の温度がより下がった気がする。



やめろ、その哀れみの視線は俺に効く。




「じゃ、じゃあ一緒に食べます?

今日越してきたなら部屋の片付けもまだですよね?」




いや、何故敬語なのか。



そうやって精神的にダメージを与えていくつもりなのだろうか。



昔の俺なら自殺してるよ。




「いいんですか?」


「いいよ。ほら、上がって。

ほら、リンネちゃんも食べるでしょ。」


「食べるー。」




彼女ら二人は仲良く部屋に消えていく。



え、なにこの孤独感。



急に一人負けしてるんですけど。




「ほらー、御影くんも早く来て手伝って。」


「...はい。」




碓氷さんの料理はすごく美味しかったです。



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