胡散臭いやつ
入学式が終わり、皆教室へ移動する。
「ヌイとはお別れだなぁ。
一人でも頑張れよー。」
「ヌイならきっと大丈夫だよ。
さっきの話でいい感じに有名人になったことだし。」
うう。
そうだった。
二人とはもうお別れなのか。
「あっ。
そういや、あの話本当なのか?
お前は時間には普通に間に合ってたじゃねーか?」
「あ、それ僕も思った。」
二人には言っとくかな。
そう思って口を開こうとしたその時、誰かに肩を掴まれる。
うん?
「あら、本当のことよ?
ねえ、御影くん?」
そこには笑顔の暴力エルフさんがいた。
...完全にロックオンされてる。
「あ、ああ!
そうだよ!」
肩からミシミシと鳴ってはならない音が聞こえてくる。
やめてくれ、言わないから。
「おお!
近くで見たら本当に美人だなぁ!」
「あら、ありがとう。」
まるで言われ慣れているかのような対応である。
「ぼ、僕たちはクラスが違うので、これで。」
「な、何言ってんだ。
まだ俺は!」
そう言ってシンはリョウに引きずられるように連れて行かれる。
リョウめ、この暴力エルフの怖さを肌で感じ取ったか。
一人取り残された俺は、錆び付いたロボットのようにぎこちない動きで振り返る。
「や、やあ。
さっきぶりだねえ。」
「ええ。
ちょっとお話しいたしません?」
周りに生徒がいるからか、笑顔で話しかけてくる彼女。
周りの生徒からは、なんだなんだと注目の的である。
完全に捕まってしまった。
...リョウめ。
「じゃ、じゃあ移動しながら聞くよ。」
そう言って歩き始める俺の肩を、万力のような強さで掴んで離さない彼女。
...ですよねー。
「ちょっと、お時間いいかしら?」
「あ、はい。」
怖えよ。
なんでそんなに力強いの?
何処からそんな力出てくんの?
***
「さっきのはどういうつもりかしら?」
連れてこられた先は人気のない空き教室。
目の前の彼女はさっきの笑顔は何処へやら、不機嫌を隠そうともしていない。
...俺、殺されてしまうかもしれない。
「何の話かな?」
「ぶっ飛ばすわよ?
さっきの式の話よ。
どういうつもりなの?」
どういうつもりも何も、話せといったのは君じゃないか。
「話せって言われたから話しただけだけど。」
「違うわよ。
私が聞いてるのは話の内容よ。
なんであんなこと言ったのよ。」
今にも殴りかかってきそうな勢いである。
「なんかまずかった?」
「うるさいわね。
あんたが言おうと思えば朝のこと全部言えたでしょ。
どうして嘘ついてまで私を持ち上げたのって聞いてるのよ。」
言ってよかったのかよ。
流石にまずいかなっていう俺の良心に感謝してほしいくらいなんだけど。
「そっちのほうがダメージ大きいかなと思って。
それに君のこと悪く言ったって、信じてくれる人が何人いると思ってるのさ。」
其れにしても、うまくいきすぎてびっくりした。
俺には話の才能まであるのか。
「...はあ。
もういいわ。
聞いた私が馬鹿だった。」
ひどい言われようである。
そもそもの原因はそっちにあるっていうのに。
もううんざりといったような表情を浮かべ、彼女は扉に向かって歩き始める。
やっと解放された。
そんな風に胸をなでおろしていると、彼女は立ち止まって振り返った。
また殴られるのか?
俺はいつ殴られてもいいよう身構える。
「それと、朝は、その。
...ごめんなさい。」
そう言って彼女は足早に去っていった。
...なんだか彼女を少し誤解していたのかもしれない。
ほんのちょっとだけ認識を改めとこう。
...ほんとにちょっとだけ。
そんなちょっとした感動をしつつ、俺も教室を後にする。
さて、どうしようか。
「...何処いきゃいいんだ。」
ギリギリ学校に到着したため、教室の確認などしていないし、あの暴力エルフのお陰で誰もいない場所に一人ぼっちである。
まずいな、これは。
取り敢えず移動しよう。
そう思った俺は取り敢えず体育館まで戻ることにした。
「あれ、君は確かさっきの式で話してた、御影くんじゃない?」
体育館への道中で話しかけられた。
話しかけてきたのは同じ学年だろうか。
男の子である。
助かった。
「どうも。
あの、道に迷っているんだけど、よかったら一緒に行かない?」
この男の子は体育館側からやってきた。
おそらく最後の一人だろう。
何していたのか知らないが助かった。
「お、丁度いいねー。
じゃ、行こっか。」
そう言って歩き始める彼。
背は低い方だろうか。
160ないくらいだが、高1ならそんなもんだろうか。
「あ、僕は山岡康介。
君と同じ一組だよ。」
なんで知ってるんだろう。
「そうなんだ。
よろしくね。」
「僕たちはいい友達になれると思うんだけど、君はどう思う?」
急にどうしたんだろうか。
確かに知ってる人がいない俺にとっては嬉しい言葉だけど。
「そ、そうだね。
そうだと嬉しいよ。」
それにしてもなんか掴めない人だな。
表情には全く変化はないし、何考えてるんだろう。
「あは。
硬いね御影くん?」
無表情で笑う山岡くん。
何か普通の人と違う空気を放っている。
「そして、ハクちゃんもよろしくね。」
そう言って俺の近くを飛んでるハクを指差す。
え?
「な、見えるの?
てか、何で名前知ってるの?」
「はははー。
何でだろうねー。」
全く変化のない顔だ。
能面でも被ってるんだろうか。
何だか底知れない何かを感じる。
「ま、そんなに身構えないでよ。
これからの高校生活楽しく行こうよ。」
そう言って手を出す山岡くん。
...関わるべきじゃない。
脳が警戒を強める。
差し出された手を掴むべきかどうか考えていると彼は手を引っ込める。
「あちゃー。
嫌われちゃったかな。
残念だなー。」
全然残念そうじゃない顔で棒読みだ。
何考えてるんだ。
「あー、もう直ぐ着くよ?
仲良くしてくれると助かるんだけど。」
どうしたものかと悩んでいると、教室に着いたみたいだ。
「あ、ありがとう。
あの、君は何者なの?」
そう言うと彼は初めて、笑った。
その笑顔にびっくりしていると彼は直ぐに表情を無くし、話し始める。
「そうだね。
僕は、そうだな。
ただ、君と仲良くしたいだけなんだけどなー。
それじゃダメかな?」
「...ダメじゃないけど。
何でハクを知ってたの?」
そう言うと彼は顎に手を当て悩み始める。
もちろん表情に変化はない。
「今は言えないかな。
でも、いつか絶対言うよ。
それじゃだめかな?」
「うーん、本当に?」
結局何もわからなかった。
ま、いっか。
悪い人には見えないし。
...謎だけど。
「じゃ、行こっか。」
そう言って教室に入る。
教室にはもう殆どの人が座っていた。
後ろの方の席に、あの暴力エルフも座っている。
大体お前一人で帰るなよ。
「じゃ、席について。」
先生にそう言われ、二人で席に着く。
「じゃ、今日はオリエンテーションで終わりだから。
取り敢えず、自己紹介からよろしく。
じゃ、1番から。」
そう言って自己紹介が始まった。
一人一人聞いていくがやっぱり知り合いは一人もいない。
はあ。
落ち込んで机に顔を埋めていると、何だか視線を感じる。
「早乙女瑠璃です。
趣味は読書。
よろしくお願いします。」
うん?
何か聞いたことある気がする。
そう思って顔を上げる。
...あ。
そこにはいつかのお嬢様がいた。
え、同い年だったの?
てか同じ学校だったの?
何で今まで気づかなかったんだ。
驚いて見つめてしまう。
向こうも気づいているようで二人で固まってしまう。
「あのー、もういいかな?」
「あ、はい。
もう大丈夫です。」
そう言って早乙女さんは席に着く。
あれ?
新入生代表で壇上にいた筈なのに、あの暴力エルフに気を取られすぎて全然気付けなかった。
そういえば、早乙女さんの言葉聞いた記憶がない。
...まあ、あんなことがあって、まともに式に集中できなかったしな。
そんな誰に向かってかわからない言い訳をしつつ、知っている人が一人でもいたことに安堵する。
ちらりと早乙女さんを見る。
向こうもこっちを見ていた。
目が合うと一瞬で逸らされてしまった。
...嫌われてしまった。
そうだよね。
今の今まで気付けなかったなんてあり得ないよね。
「じゃ、次は御影くん。」
そう言われハッとする。
いつの間にか順番は俺まで来ていたみたいだ。
「はい。
俺の名前は御影繡。
趣味は読書。
好きな食べ物はハンバーグです。
よろしく。」
無難に終わらせる。
すっごい視線を感じる。
やっぱ悪目立ちしている。
それもこれも全てあの暴力エルフのせいだ。
そう思って暴力エルフを睨みつける。
その最中に目が合う。
彼女は首を傾げると睨み返してきた。
何でだよ。
「よし、じゃあ自己紹介も終わったことだしこれからの学校生活について説明する。」
そう言ってプリントを配り始める。
それからは特にこれといったこともなく、オリエンテーションは終了した。
***
「あの、早乙女さん。」
オリエンテーション終了後、俺は意を決して話しかけてみることにした。
すると、彼女は顔を赤くして答える。
「な、なんですか?」
やっぱり怒ってるよね。
話しかけないでオーラがすごい。
「あ、いや、何でもないです。
ごめんなさい。」
そう言って立ち去ろうとする俺の腕を掴まれた。
「ま、待ってください。
本、本は読まれましたか?」
そう言って下を向く彼女。
...なんていい子なんだ。
怒ってるにもかかわらず会話をしてくれるなんて。
早乙女さんとはあの日以来一度も会っていない。
何回か図書館に行き来していたが、遂には会うことはなかった。
そんな彼女と学校で再会することが出来るとは思ってもいなかった。
てか、やっぱりお嬢様だったんだ。
「あ、はい。
とても面白かったです。
早乙女さんが言ってた最後のシーンも好きでしたけど、僕は主人公が病院で彼女に縋るシーンも好きでした。」
「あ、私もそこ好きです。
じゃ、じゃあ、あそこの主人公が友だちに見捨てられるシーンとかはどうでしょうか?」
「お、いいですね。
どうしようもなく哀しくて好きです。」
キラキラした目は前に会った時を思い出させてくれる。
このお嬢様は本のことになったら本当にイキイキするな。
「で、ですよね。
み、御影繡さん。
また会えてよかったです。」
なぜフルネームだし。
でも、本当によかった。
「そうですね。
早乙女さん。
今まで気付けなくて本当にごめんなさい。」
そう言って頭を下げると彼女はポカンとしたまま固まった。
「え、えと、気づかなかったんですか?
本当に?」
あ、墓穴を掘ってしまったみたいだ。
やっちまった。
「あ、はい。
本当にごめんなさい。」
再度頭を下げる。
するとホッとため息が聞こえた。
「そ、そうだったんですね。
よかったです。
嫌われたのかと思って、ずっとこっちを見てくれなかったから。」
そう言って笑う彼女。
本当にごめんなさい。
「そんなことないですよ。
また会いたいと思っていたんですから。」
そう言うと彼女は顔を赤くした。
あれ?
「...その割には今まで気付けなかったんですね。」
そう言って下を向く彼女。
ぐっ、そう言われると痛い。
「すみません。
いろいろあって全然意識が回らなくてですね。」
慌てて言い訳を並べる。
そんな俺が可笑しかったのか、彼女は笑った。
「いいですよ。
許してあげます。」
「ありがとうございます。」
二人で話し込んでいると視線を感じる。
「変な組み合わせね。
てか、あんた達なんでどっちも敬語なのよ。」
そう言ってきたのは暴力エルフことアリスさんである。
いや、最初に会った時、年上かと思ってたから。
早乙女さんは高1にしては中々に大人な雰囲気を醸し出している。
高嶺の花みたいな印象で、暴力エルフな彼女とは雲泥の差である。
「そういえばそうですね。
御影繡さんはどうして敬語なのですか?」
だからなんでフルネームなのさ。
「あ、いや、初めて会った時大人な女性だなあと思いまして。」
そう言うと彼女はムスッとして睨んでくる。
なんだ?
「そんなに老けて見えますか?
ひどいです。」
「最低ね、御影のくせに。」
そ、そういうつもりではないのですが。
なんとかしなければ。
そして御影のくせにってなんだよ。
「いや、違うよ!
大人の魅力が滲み出てるんですよ!
すごくお綺麗で、大人びてるって意味ですよ!」
「うわ、きも。
セクハラじゃないかしら。」
う、うるさい!
大体お前はなんで会話に入ってくるんだよ。
あっち行けよ。
「う、うるせーな。
さっきっからお前は何の用だよ。」
「は?
用がないと話しかけちゃダメなの?
私の勝手でしょ。」
そうだけど。
「さっきっから邪魔しかしてないじゃねーか。
そんなんならどっか行けよ。」
「何であんたの言うこと聞かなきゃ何ないのよ。
それにあんたが変なこと言うのが悪いんでしょ?」
そう言われると何も言えない。
怒鳴りあって意識的に無視していたけど決心して、さっきっから黙り込んでいる早乙女さんをちらりと伺う。
真っ赤になってフリーズしていた。
「さ、早乙女さん!
ご、ごめんなさい!
大丈夫ですか!」
そう言って身振り手振りで揺り起こす。
「あ、はい。
大丈夫です。
それでは私はこれで。」
そう言ってフラフラと帰っていく彼女。
完全にやっちまった。
最悪だ。
「かわいそうに、何しちゃってんのよあんた。」
「う、うるさい!
元はと言えばお前が!」
「何よ、人のせいにするつもりなのかしら?」
くそ。
何でそんなに楽しそうなんだよ。
「あらら、御影くん嫌われちゃったね。」
そう言ってやってきたのは山岡くんだった。
相変わらず無表情である。
「嫌われてないよ!
何なの君たち。」
「あれで嫌われてないはないよ、御影くん。」
「そうね、もう顔も見たくないんじゃないかしら。」
何でそんなに息ぴったりなんだよお前ら。
「ああそうかい。」
疲れた。
もう帰って寝よう。
そう思って荷物を纏める。
「ちょっとどこ行くつもりよ。」
「あ?
帰るんだよ。」
八つ当たり気味に返す。
...はあ。
「女の子にそんな言い方しちゃモテないよー。」
「そうよ、最低ね。」
うるさい。
何なんだこいつら。
「...もう帰るよ。
悪かったな。」
そう言って教室を後にする。
はあ、すっごい疲れた。
シンとリョウがいるクラスは何組だったっけ。
そうやって廊下を歩いているとヒソヒソと話し声がする。
なんだ?
耳を澄ましてみる。
「でもさー、早乙女さんって感じ悪いよねー。」
「私、中学のとき一緒だったんだけど、あいつ友達いなかったんだよ。ウケるよね。」
聞き逃せないことを聞いてしまった。
完全に僻みじゃねーか。
あーもう今日は嫌な気持ちになることが多いな。
「アリスさんもなんか悲劇のヒロイン気取りよねー。」
「あ、わかるー。
あのイケメンに近づきたかっただけじゃないの、って思った。」
おう?
なんだなんだ。
もっと言え。
「やっぱ、頭いい人ってどっか人と違うよねー。」
「あ、わかるー。
本当に可哀想よね。」
お前らのほうが可哀想だぞ。
...でも、言いたい気持ちもわかる。
あんなに完璧な人間がいたら僻みの一つや二つ言いたくなるよな。
まあ、共感はしても許せはしないけど。
「ちょっと君たち。
言い過ぎじゃないかな。」
「え、あ、ご、ごめんなさい。」
ササっと逃げていく二人。
なんだ?
陰で言うだけか?
何よあんた!みたいな展開を予想してたんだけど。
まあ、こんな背の高いやつに言われたらそうなるか。
けど、早乙女さん友だちいないのか。
いっぱいいそうなんだけどな。
そんなことを考えながら歩いて行くと人だかりが見えた。
なんだ?
「どうしたんですか?」
近くにいた人に尋ねる。
「あ、きみは。
ああ、なんか喧嘩みたいだよ?」
「ありがとう。」
そう言って人混みをかき分けて行く。
今日はなんか色々あるなー。
そんなことを呑気に考えていると聞き覚えのある声が聞こえた。
「てめー、謝りやがれ!」
「あ?
勝手にぶつかっといて倒れただけだろうが。」
うん。
聞いたことある。
「おーい。
リョウどうなってんの?」
「あ、ヌイ良いところに来てくれたね。
あいつが早乙女さんにわざとぶつかって吹っ飛ばしたんだ。」
早乙女さんだと?
見てみればシンの後ろに尻餅をついた早乙女さんの姿が見えた。
...許すまじ。
「おい。
てめえ、謝りやがれ。」
男の後ろから肩を掴む。
「あ?
また、なんか出てきやがった。
大体お前らには関係ねえだろうが。」
「うるせえ!
女の子にぶつかっといてなんだその態度は!」
シンが吠える。
いつにも増してアツイ。
「あ?
だったらそこの嬢ちゃんが言えよ。
外野からワーワーうるせえんだよ。」
何言ってんだこいつ。
怖くて言えるわけねえだろ。
そう思ってチラリと早乙女さんを伺う。
そこには獲物を見つけた狩人の姿があった。
思わず一歩下がる。
「そうですね。
では、決闘を申し込みます。
私が勝ったら謝ってください。
負けたら好きなようにどうぞ。」
え。
何言っちゃってんのこの子。
「ちょ、ちょっと早乙女さん!
何言ってるの!
ダメだよ、危ないよ!」
そう言って彼女の前に出る。
「あ、御影繡さん。
大丈夫です。
勝ちます。」
何が大丈夫なんだろうか。
「はん!
聞いただろう。
お前ら外野は引っ込んでろ。」
確かに、こうなったらどうしようもない。
「本当に大丈夫なの?」
「はい、何も問題はありません。」
その力強い眼差しに俺は何も言えなかった。
***
場所は体育館。
ギャラリーがたくさんだ。
とんとん拍子に進んで行ったけど大丈夫かな。
決闘っていうのはそんなに珍しいことではない。
特に、高校に入れば寧ろよくあるといっても過言ではない。
その理由としては【スキル】が大きく影響しており、自分の【スキル】を試してみたいやつらが沢山居るのだ。
完全に【戦闘スキル】が優位に立つと思われるが、決闘内容は挑まれた側が設定する。
今回の場合は早乙女さんが挑んだため、あの男が決闘内容を設定した。
そのため、純粋な決闘を体育館で行うこととなったわけだが。
...大丈夫かな。
彼女の【スキル】がどんなもんか知らないから何とも言えないが。
「じゃあ、始めます
ルールは降参したほうが負け。
それだけです。
良いですか?」
「はい。」
「おう。」
...心配だ。
早乙女さんは木刀を持っている。
学校に置いてあったやつだ。
男はニヤニヤとしている。
ぶっ飛ばしたい。
「では、初め。」
宣言した瞬間男は走り出す。
なかなかの迫力だ。
そのまま腕を振りかぶり突進する。
それと同時。
早乙女さんが少し前に出る。
たったそれだけの動きで避けきる。
すごい。
そのまま男の後ろに回り込み木刀を一閃。
男は地面に沈んだ。
...え?
体育館を沈黙が支配した。
俺の周りには強い女の子が溢れてるらしい。




