零 人生は楽しく無いものです
I三日月ライトは多才だ。
まず、テストはほとんどが満点。さらに、運動神経バツグンで武術も極めたと言えるレベルだ。格闘よりも剣技の方が得意ではあるが。ライトにとっては正直言って人生楽なモノである。
ライトはI何時も疑問に思っていた。自分は産まれる世界を間違えたのではないか、と。ライトは何時も思っていた。自分がもし、ラノベでいう異世界へ行けたら、と。
そんなライトの願いは唐突に叶うこととなる。
ライトが教室に入ると、Iいじめっ子達(ゴミ共)が絡んで来る。
(邪魔なんだよ…)
そう考えつつも、顔に出さずに無視する。
ライトが何故絡まれるのかというと、イケメンで運動神経バツグン、さらに頭が良いからだ。しかもライトは友達が一人しかいない。盾になってくれる人もいないのだ。
本人は気にしていないが。
午前の授業が終わり、昼休みが始まる。ライトはブレザーの内ポケットを探る。
(何…だと?金が…ない!?……まさかリビングの机の上か?)
金がないことに驚きつつも、頭を切り替えて机に伏せ寝始める。
夢の世界
不思議な声が聞こえる。
「ライト君。君の願いはなんだい?」
(この声は?誰だ…?…夢だな。きっと。……にしても、願いか。決まってる。剣と魔法の世界だ!俺は自分の力が最大限に使える世界に行きたい!)
それがライトの願い。
「その願い、聞き入れました。」
謎の声は新しい玩具を貰った子供のような声でそう言った。
現実世界
ライトは目を覚ます。
(やっべ!爆睡しちまったか…?)
ライトは黒板を見るために顔を上げる。
「何だ?この感じ……」
ライトの首筋が電気が通っているかのようにピリピリする。ライトの鍛え抜かれたI第六感(危機察知能力)が、ヤバいと告げる。
(俺が死にかけたときと同じだ…一応戦闘準備しとくか。)
ライトは自分の鞄から、小太刀と暗器を取り出して戦いに備える。
そして、突如授業中の教室の中心にポリゴンのようなものが集まりはじめ何かを形成していく。それと同時にクラスの女子が悲鳴をあげる。
「おいおい…まじかよ…」
ライトは呟く。形成された幻想とされるその化け物の名を。
「ドラゴン…じゃねえか…」
体長三メートル弱の西洋風のドラゴンだった。