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裏切り

「ハッ!どうしたんだよ!?ティーグレもそんなんに成ちまったのか!?」

「うっっやっぱり…強ぇ…」

「弱ぇ…弱ぇ!もっと強ぇ奴はいねぇのか!?」

ザギィの回りはすでに死体の山だった。

「じゃぁ、僕が相手してあげるぅ。テネブラの幹部さんが来たんじゃぁ、ティーグレの幹部さんが出てあげないとねぇ。こんな弱いヤツらと戦うよりぃ、僕みたいにぃ、強いヤツのほうがぁ、楽しぃでしょぉ?」

そう言って出てきたのは身長150センチくらいしかない子供だった。

「?お前が…幹部?」

さすがにザギィでもこれは驚く。

「あのねぇ、僕のことぉ、あんまり子供って思わないほうがいいよぉ。僕はぁ、ちょっとぉ、ちっちゃいだけだよぉ。中身はぁ、あの頃の君と同じだよぉ。ザギィ。」

「!!テメェ…なんでそれを知ってやがる。」

「あのねぇ、僕達のボスはぁ、調べることが大好きでねぇ、君たちのこともぉ、調べちゃったんだよぉ。」

「…!!ルミナーレ!!」

「そうそうぉ。彼女のこともぉ、全部ねぇ。」

その子供は黒く不敵な笑みだった。

ザッ

サッ

(速い!?)

ザギィが動いた瞬間、子供とは思えないスピードで子供が前に立ちはだかった。

「ダメだよぉ。彼女のところへは行かせないよぉ。行くなら僕を倒してから行ってねぇ。」

「うっ…」

さすがにザギィでもこの子供のスピードには勝てない。

「そうだぁ。僕の名前ぇ、教えてなかったよねぇ。僕の名前はぁ、フォートってゆうんだぁ。あんたを壊す男ぉ。よろしくぅ。」

フォートは笑っているが、後ろにはどす黒いオーラが放たれている。

「ま。いいか。遊んでやるよ。」

ザギィの眼はさっきの冷たい目から楽しい目、簡単に言えば鬼の目に変わっていた。

「ふふふぅ。」



「ここでいいの?」

ルミナーレはライヤナの言われた通りに進んだ。

そして目の前には大きなドアがあった。

ライヤナが頷くとドアを押した。

ギィィィィ…

鈍い音を立て、扉が開いた。

カチャッ

銃の音にルミナーレは反射的にクナイを構えた。

「パパ!!」

ライヤナが叫び、ルミナーレの背中から下りた。

そして椅子に腰掛けている男の人のほうへ走っていった。

「!!ライヤナ!?」

男の人はライヤナを抱きしめた。

ルミナーレを囲んでいた銃は降ろされ、周りの人は後ろへ下がった。

「そうかそうか。私はトゥロンバファミリーのボス、ハッド・トゥロンバだ。君がライヤナを運んできてくれたのか。ありがとう。だがライヤナをここへ置いておくわけには行かない。ライヤナを連れ出してどこか安全な場所へ行ってくれ。」

ライヤナの話を聴いたハッドは、ルミナーレにライヤナを頼んだ。

しかしルミナーレは

「いいえ。その依頼は受けません。ハッドさんはここに居て戴いて結構です。外に居るティーグレは私とザギィで倒します。貴方はここで、ライヤナと一緒に居てあげてください。このトゥロンバは、私たちが命に代えてもお守りします。」

深く会釈するとドアノブに手をかけた。

「…?君。どこかで見たことがある。名前はなんと言う。」

ちゃんと思い出せないハッドはルミナーレに問い掛けた。

「名前など、貴方様に言うようなものではございません。それでは。」

ルミナーレはこれ以上顔を見られないように背を向けた状態で答え、そのまま外へ出て行った。

(念のために…)

そう思いルミナーレは札を貼った。

封印(スィジッラトゥーラ)

(これでこの札をはがさない限り出てこられない。すぐに倒すから。それまで…)

ルミナーレはドアに背を向け走り出した。


ザッ

廊下を少し行ったところで敵と遭遇した。

「何!?ここにもだと!?外はダミーか!」

「遇っちゃったか。まぁいいや。暇してたんだ。」

ルミナーレはそう言うとヒラリと敵を軽く飛び越し

【氷の(ギアッチォ・タッリオ)

忍術で敵を切り刻んだ。

「うぉぉぉ…ぉ……」

男は声をあげ息絶えた。

「何事だ!!」

その声を聞きつけたのか他の奴らが集まる。

その数、ざっと五十人といったところだ。

「多っ。ま、いいか。」

【氷の(ギアッチォ・ドゥラーゴ)

ルミナーレが術を出すと四方八方に氷の龍が飛んだ。

「楽勝楽勝♪」

「あらあら。やられたの?ホント、お馬鹿さん達ね。」

「誰だ!?」

何処からか女の声が聞こえてきた。

「うふふ。気がお強いのね、黒猫さん。」

ルミナーレの前に現れたのは着物を着た黒髪の女。歳は軽く二十歳を越えているだろう。

「…!!お前は『骸骨の沙梨華(さりか)』。そうか。ティーグレの一人だったね。」

「あら。知っていてくれたの?さすが情報屋さん。嬉しいわ。」

沙梨華がルミナーレに笑顔を向けた。

そこら辺の男なら簡単に引っかかるくらい美人だ。

「さてと。もう少しお話していたいけど、私も仕事だし、それに貴女、骸骨が似合いそうもないわ。だから私から死体をプレゼントしてあげる。」

【骸骨の逆襲(シェレトゥロ・コントゥラーレ)

沙梨華が扇子をルミナーレに向けると周りに転がっていた、屍がルミナーレを取り囲み、攻撃してきた。

「うぅ……」

【炎の(フィアンマ・イングイネ)

ルミナーレの周りから炎の塊が鼠のように屍の身体を這った。

「ふーん。考えたわね。そうよ。屍は燃えやすいの。というより、人間が、ね。でも勘違いしてない?私は『骸骨の沙梨華』。骸骨のほうが専門なの。」

沙梨華が笑う。

(どうしよう…骸骨に…何が効くの?)

ルミナーレの頭のなかは混乱していた。

「そうそう。貴女も可哀相だけど、貴女のパートナー、鬼神さんのほうが可哀相よね。だって…彼、あの子に気に入られちゃったみたいだから。」

沙梨華はクスクスと笑う。

「あの子…?」

「ええ。ティーグレファミリー幹部の歴史上、最強で天才と呼ばれている男の子。年齢14歳にしてティーグレの幹部、任務は全て無傷。返り血も汚れ一つ付けて帰ってこない。天才少年、フォート。」

敵には絶対回したくないわね。と笑いながらも、怯えた表情で説明する沙梨華。

「フォートって…『写しのフォート』!?あの…一度見た技はすべコピーするって言うあの!!?」

ルミナーレは驚きを隠せない。

殺した物は星の数以上と言われている天才少年。

一度見た技、それが剣術であろうが、忍術であろうが、その人の特殊の能力であろうが、全てをコピーする。

「おやおや。人の心配をする余裕が何処にあるの?他人の心配より自分の心配をなさい。」

(そうだった。ザギィを助けに行くにしてもまずこの女を何とかしないと。)

そうは思ってもいい方法が浮かばない。

ザンッ

「大丈夫か!?ルミナーレ!!」

「ザ…ギィ?」

刀で切った音の後、ルミナーレの後ろに現れたのはなんとザギィだった。

「なんて間抜けな顔してやがんだ。こんなの斬って斬って粉々にすればいいだろうが!!」

「う…うん。」

ザギィが何時になくルミナーレを怒鳴るものだからルミナーレは不思議で仕様がなかった。

「後ろは任せたぞルミナーレ!」

ザギィがルミナーレに背中を渡した。

「うっうん。」

ルミナーレもザギィに背中を渡した。

グサッ

「!!?何…これ…?かた…な…?」

音と共にルミナーレの腹部へ刀が背後から刺さった。

「……?ザ…ギ…ィ……??」

ルミナーレがその刀をたどっていくとザギィへたどり着いた。

ズボ

刀が抜けるとルミナーレは、力が抜けその場に膝をついた。

「な…んで…?」

刺されたところからは血があふれ出ている。

「ザギィ…操られ…てるの…?」

ルミナーレが下からザギィに聞くと

「操られてなんかいねぇよ。」

「じゃ…あ……なん…で?」

ルミナーレは腹部から出る大量の血を手で抑えているが全て抑えるには無理がある。

「何で?分かんねぇのか?はぁ。これだからお前は…面倒癖ぇな。簡単な話だ。俺はお前を裏ぎ――」

「嫌ぁぁぁ!!それ以上…言わないで……そんなこと……言わないでぇ………」

ザギィが“裏切った”の言葉言おうとしたとき、ルミナーレがいきなり耳をふさぎ悲鳴をあげた。

そして泣きじゃくった。

「嫌ぁ…ヒッ…裏切ら…ない…でぇ…もう…ヒック…一人は…嫌…だぁ……。」

「あらあら。昔を引きずっているのね、カリネ・ムリネッロ。」

「嫌ぁぁぁ!その…名前で…ヒッ…呼ば…ない…で…ぇ……」

バタン

そこでルミナーレは気を失った。


ザギィの裏切り!

弱弱しいルミナーレでした。

次回は、やっとルミナーレの過去話!

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