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気遣い

 ザギィは刀に手をかけ、ルミナーレはライヤナを背負いながら、森の中を走っていた。

 「妙だな。敵が誰もいねぇ。」

 ザギィが眉間に皺を寄せながら言う。

 「……隠れてる気配は無いけど…。? ライヤナ?」

 ルミナーレの背中に背負われているライヤナの手がガクガクと震えている。

 「怖い?」

 ルミナーレが聞くと、

 「あたし……どうしよう…パパが…皆が居なく…なったら。」

 ライヤナは今にも泣き出しそうな震えた声で言う。

 「…大丈夫。私たちがトゥロンバは守るよ。」

 ルミナーレはニコッと笑って励ました。

 「……。」

 ザギィはそれを痛いような目で見ていた。

 


 「今日はここまでにしよう。」

 ルミナーレはそう言ってライヤナを背中から降ろした。

 「え?行かないの?まだお日様昇ってるよ!?」

 ライヤナが驚いたように聞く。

 「うん。でもそろそろ沈むから。夜の森は危険だよ。それに今のうちに食料も取っておかない」

 「やだ!!やだやだ!!早く行こうよ!!!早くしないとパパっっっ」

 ルミナーレが言い終わらないうちにライヤナがダダをこねた。

 そしてそのライヤナをザギィが手刀で気絶させた。

 「?ザギィ?」

 「この方が良い。これ以上ライヤナが駄々をこねるとお前が昔を引きずる。」

 「!!……」

 「何も考えるな。無になれ。お前はマフィアだルミナーレ・ビジュ。」

 「………」

 ザギィの言葉にルミナーレは何も言わない。

 ただ俯いているだけだった。

 「ライヤナを見てろ。俺は食いもんを取ってくる。火も熾しとけよ。」

 ザギィはルミナーレに命令すると食料探しに行った。

 「パ…パ…ママ…み…んな…」

 ライヤナが涙を流しながら呼んだ。

 「……無理だよザギィ。そんなこと…。だってライヤナは…ライヤナのお父さんは……」

 そこまで言ってライヤナの方に目線を向ける。

 「…守ってあげるよ。あんたは…私みたいには…絶対にしないから。」

 そう言ってライヤナを持ち上げ、寝かせてから火を熾し始めた。

 


 パチパチ

 いつものようにザギィとルミナーレは焚き火を間に向かい合ってザギィがとってきた魚を食べていた。

 だけどいつもと違うのは二人の隣にライヤナが寝ていることと、二人の間に会話が無いこと。

 

 「先に寝ろ。」

 ……コクン

 少し間があってルミナーレは頷いた。

 いつものように焚き火を消したら交代で見張りをする。

 今回はザギィが先に見張りだ。

 毎回先か後を交代でやっていて、この前ルミナーレだったからだ。

 「……。」

 “おやすみ”の一言もなしにルミナーレは寝た。

 (仕様ねぇか。ライヤナはルミナーレの…たった一人の従妹だもんな。それに…写真でしか知らねぇが、あいつにも…)

 ザギィはそう思いながら見張りをした。

ザギィの優しい?一面。

次回はいよいよ突入です!

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