二人
「やあ。ご苦労だったね、二人とも。」
そう言って、ハッドは頭を下げた。
「これでティーグレはもう来ないと思います。念の為、こちらのものを寄越しますので、御安心ください。」
ルミナーレは淡々と話した。
ザギィは隣で、面倒くさそうに突っ立っている。
「ああ。ありがとう。ところで君、ルミナーレ・ビジュと言ったかな。君、カリネじゃないかね?」
ハッドは優しい眼差しで、ルミナーレに訪ねた。
「……その通りです、叔父さん。お久しぶりです。」
ルミナーレは一礼した。
「本当に久しぶりだね。十年ぶりかな。大きくなったものだ。名前、変えてしまったんだね。でもそれもすてきだよ。また前みたいに遊びに来ておくれ。ライヤナも喜ぶからな。」
ハッドはルミナーレを嬉しそうに見た。
「もちろんザギィお兄ちゃんもね!!」
ライヤナが付け足した。
「それじゃ、今日は失礼させていただきます。もうライヤナを離さないでくださいね。」
そう言って、二人はトゥロンバを後にした。
「さてと、帰ったら何作ろうか?おなか減ったもんね。私が作るよ。」
帰り道、ルミナーレがザギィに言った。
「お前、人ん家で食う気かよ。」
ザギィが呆れていった。
「だから私が作るって言ってるじゃん!」
ルミナーレが膨れた。
その顔を見てザギィが笑った。
それにつられ、ルミナーレも笑った。
「ねぇ、強くなるのには…過去を捨てちゃいけないんじゃない?過去を受け止めて、乗り越えて強くなるんじゃない?」
ルミナーレが空を見上げながら言った。
太陽が沈みかけて、とてもきれいな夕焼けになっていた。
「そうだな…。俺も豹変した俺を押さえられるようにしねぇとな。」
ザギィも空を見上げた。
「なぁ、ルミナーレ。お前は何のために戦う?」
「決まってるじゃない。自分の為。」
ルミナーレはきっぱりと答えた。
「言っとくけど、自分が死にたくないから戦ってるわけじゃないわよ。」
そしてその後に付け足した。
「じゃ何だよ?死にてぇのか?」
「そりゃ、死にたくないよ。でもね、仲間がいなくなって、自分が寂しい思いをするのはごめんだから。」
ルミナーレがザギィに笑いかけた。
「結局、自己中心的じゃねぇか。」
「その通り。」
そして笑いあった。
「あ、そうだ!私、殺し屋と情報屋、辞めることにしたから。」
突然、ルミナーレが手を叩き、言った。
「は?じゃぁ、お前仕事は?」
金好きのルミナーレが仕事から手を引くなんて、あり得ないと思ったザギィは、訊いてみた。
「仕事?仕事はね、ザギィの相棒として働くことにした!そのほうが、楽しいもん!!」
「はぁ!?勝手に決めてんじゃねぇ!!」
ザギィが怒鳴った。
「一人より二人、二人より三人ってね!二人のほうが早く終わるし、楽でしょ?」
「そりゃ、楽だけどよ…。一人のほうが気楽だ。」
ザギィが冷たく言い返した。
「まぁいいや。勝手にあの家に住み着いてやる。」
ルミナーレが密かに笑った。
「てめぇ!」
「まぁ、そう言うことでよろしくね!ザギィ!!」
ルミナーレはそう言って走り出した。
「誰がてめぇとなんか組むか!!」
ザギィはルミナーレを追いかけた。
のちに、この二人が名をあげ、その名を世界中に轟かせた。
そのコンビに肩を並べるものが出てくることは、なかったとか………。
最後に後書きにお付き合いください。