間奏Ⅰ
『もしもし?』
「もしもし。砂名だけど」
『砂名? 久しぶり、でもないか。どしたの?』
「……友羽ちゃん」
『高梨とは上手くいってる? ってお互いすきじゃないんだもんね。進展なんてしないか』
「友羽ちゃん」
『……はい?』
「わたしに何か謝ることない?」
『……あります』
「どうして高梨にわたしの家を教えたのかな?」
『……ごめんなさい』
「ていうか何で彼氏も友羽の連絡先教えてんだよ!」
『いやそれがね、彼が高梨に同窓会どうだった? って聞いたら、気になるコがいたんだけど連絡先聞けなかったんだよね、って言われて、高梨に女の影なんて一切ないから協力してあげようと思ったらしくて、もしかしたらあたしなら連絡先知ってるかもってことで、あたしのアドレスを教えたらしいんだよね』
「彼氏もそんな性格か……」
『ごめん、彼氏も悪気はないんだよ』
「それはわかってるよ。でも、じゃあ何で高梨から連絡がきた友羽はわたしの家を教えたわけ?」
『え、だって高梨が砂名が風邪引いたからお見舞いに行きたいって言うから』
「ちょっと待て。わたし、風邪なんか引いてないんだけど」
『えっ、マジで? あたしだまされた?』
「何でそのとき大丈夫? とか聞いてくれなかったんだ薄情者!」
『あはっ、ごめんねぇ。ほら、砂名って健康だけが取り柄だし、すぐ治るかなーって思って』
「だったらそもそも風邪なんか引かないと思え!」
『あっ、そうだね。ごめん』
「……まあもう過ぎたことは仕方ないよ」
『次からは気をつけるね!』
「うん、あんまり信用できないけど、努力はしてね」
『うん! って何かさりげに酷くない?』
「はあ……」
(ホントに悪い意味でバカップルめ!)
(やだなぁ、あたしたちが超ラブラブだからってひがまないでよ)
(いや、ただのバカだった)
(酷いっ!)




