表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
change  作者: 虚虎 冬
科学都市編
37/98

13:談話…科学都市来訪第三日目?

※9月3日、一部修正

「……ああー、暇だー」

 親友が、そうぼやいて、木の床をごろごろと転げまわる。

「暇だけど、その年になって床を転がらないでよ」

 青い髪の男の子は、呆れた目でダンゴムシの様な彼女を見ていた。

「うるさいぞリュウ」

「いつもうるさいのはリゼ姉でしょ」

 視線で火花を散らし始めた二人を、ムーシャは何とか宥める。

「まあまあ、二人とも。……何か作ろうか」

「おっ! ムーシャの手作り料理ですか」

 ムーシャの言葉を聞いて、ダンゴムシ――もとい、リゼリアはぴたりと動きを止めた。

「ムーシャの料理はおいしいよね~」

「ムー姉は料理上手なんだ。……どこぞの金髪さんは得意なことあるのかねえ」

「むかっ。私だって取り柄あるし! 剣道上手なんだからね」

「へーそうなんだすごいね」

「全く凄いと思ってねーな!」

 よく口喧嘩をするリゼリアとリュウだが、それはそれで仲がいいのかもしれない。

 言ったら、二人ともに全否定されそうだが。

「剣道か……最近竹刀振ってないな」

 リゼリアは、少し懐かしげな表情をした。

「というか、そのケンドーって何なの」

第一位世界こっちにはないかあ。剣持って戦う」

「説明がアバウトだね」

「どうせ説明しても聞かないんでしょ」

 リュウが目を最大限に開く。

「……なんと。よく分かったね」

「本当に聞かねーのかよ」

 また、ばちばちと弾け出す火花を、ムーシャは消火しようとする。

「そ、それはそうとさ、アル君はどうしているかな」

「……あいつなんてどうでもいい」

 ……しようとしたが失敗した。リゼリアにこの話題は禁句だったようだ。彼女は、どうでもいいと言いつつ、寂しげな表情だ。

「『アル』って誰」

 事情が分からないリュウが尋ねる。何故か、少し顔をしかめている。

「ヘタレ。とだけ覚えておけばいいよ」

「ふむ。リゼ姉はバカ、ムー姉は料理上手、二人の知り合いのアルって人はヘタレ、と……」

「バカ!? バカっつったかリュウ!」

「合ってるでしょ」

「覚え方が酷い! 私そんなバカじゃないし。せめて……えっと……何か他のにしてよ」

「自分のいいとこが分からないバカ」

「それ、バカなのは変わってないし」

「いい所はあるんじゃない? 正義感強いとか? 人に甘いとか?」

「二つ目は微妙……」

 リュウが「いい所がある」と言うことは稀だ。そう言われたリゼリアが、リュウの中でどんなに大きな存在なのかは、ムーシャも言われたリゼリアも、リュウ自身も分かっていなかった。


「アリさん……まだかー」

 リゼリアはドアを見つめて貧乏揺すりをしている。

「そんなに見ていても変わらないけど。やっぱバカ?」

「いちいちバカとつけるな」

 二人の言葉の応酬を聞きながら、ムーシャは昨日の事を思い出していた。


 アリは、ムーシャ達三人を、すぐに国から脱出させた。このままだと壁の警備が強まるという理由で。

 ムーシャは、国に残っている院長、他の子供たちの様子が不安だったが、アリが説得した。

「君たちが出国したと分かれば、その人たちの命も危ないだろうね。大丈夫、僕が全員探しだして、<科学都市>から出してあげるから」

 そうして、ムーシャ達三人と、ミドリ、レンジの二人は、孤児院に帰ったのだった。


 因みに、ミドリとレンジは別の部屋で寝ている。二日間、寝ずに動きっぱなしだったのだから、疲れ切って眠ってしまうのも仕方が無い。

 リュウは何故だか起きていられるのだが、カミだから睡眠は少なくてもいいのかもしれない。院長が「リュウ君は朝早くて夜遅いから不安」と言っていたが、心配はないようだ。

「<科学都市>ではゆっくり寝られないでしょう? 子供たちは疲れているし、孤児院ここまでの道のりも長いし、着くのは遅いんじゃない?」

 そうムーシャが考え考え言うと、

「分かってはいるけどさ……。もし何かあったらと思うと」

 そのままリゼリアは黙りこんでしまった。ムーシャの心がざわめく。

 何かあったら。アリが間に合わなくて、誰かが捕まっていたら……。

 つかの間の沈黙の後、リュウが言う。

「……そうだ。ムー姉、何かお菓子作ろう」

「お菓子?」

「そう。皆が帰って来た時、お菓子があると喜ぶよ」

 リュウは相変わらずの無表情だ。リゼリアには感情を見せることがあるのだろうか、などと考えつつ、ムーシャは自然と笑顔になっていた。

―――帰ってくると思っていた方が、いいじゃない。

 またアリには楽観的だとさとされそうだが、それはムーシャの欠点で美点だ。

 腕をまくりつつ、ムーシャは台所へと向かった。

次回更新、9月7日

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ