6:強行突破…科学都市来訪第二日目
白い壁というのは、光を反射するから白く見えるのである。逆に黒い色は、光を吸収するから色が無いように見える。
つまり何が言いたいのかというと、床も壁も天井も、目がちかちかするほど白い部屋では、光なんて出れば人の目がつぶれかける。
リュウとリゼリアも、危うく盲目になるところだった。
「もう少し、抑えられないの、それ」
「知らんよ! 光は一緒に出て来るんだってば!」
リゼリアがレーザービームのように走る光を手から放ち、それをそこらじゅうに当てていた。
彼女のカミは雷であり、そのレーザーは電気のはずだが、ただの眩しい棒に見える。
「イメージ通りに出て来るはずだけどね……。リゼ……姉、雷見たことある? そんなんじゃないよ、本当は」
「貴族様でも世間知らずでもありませんー。雷は見たことあるよ。
……かなり眩しかった」
「え。眩しい訳ないのに。ただの黄色の淡い光でしょ」
「白いでしょ?」
「……」
「……」
リュウは仕方ないとして、リゼリアはすっかり忘れていた。ここは第一位世界であって、第二位世界の常識とは違う部分もあるということを。
雷の認識の違いはともかく、リゼリアが光(雷)を壁に当てているのには訳がある。ちょっとしたリゼリアの案だ。
無言で歩きまわるリゼリア。黙ってそれを眺めるリュウ。
変わらない状況に、リゼリアがしびれを切らした。
「もう! 早く開けよな!」
「そうやってれば扉が現れるかなんて、リゼ……姉の仮説でしょ」
「科学だもの! 絶対電気は関係してるんだよ! 魔法じゃないんだから!」
そのまま腕を振り回す。彼女の腕から光は伸びている訳で、腕を振り回すということは……。
「ひっ」
光は無差別に飛んでいく。その様は、暴発した銃のごとし。リュウに当たりそうになり、彼は必死で避けた。青い髪の先っぽは、暴走リゼリアの生贄となる。
「危な……危なすぎるよ、だだっ子みたいに暴れないでよ馬鹿リゼ姉!」
「馬鹿って酷くね!?」
リュウの必死の努力により、暴走は解除された。
「やけになっても変わらないでしょ、馬鹿リゼ姉」
「馬鹿ってつけんな。……あれ、上手くいったんじゃね?」
そう言ったリゼリアの視線の先には、物凄い勢いでスライドし、そのまま勢いで外れて転がった扉があった。
開けた(壊した)ドアの外で、何人かが走り回る音が聞こえた。
「『龍』が逃げるぞ! ドアをぶっ壊した!」
「なんて馬鹿力だ……化け物め……」
「早く集まれ! 捕獲するぞ!」
どうやら、ここのドアが外れたことを感知したらしい。
憎き機械め。リゼリアは心の中で呟くと、リュウの腕を引っ張って、部屋の外へと飛び出した。
「ちょっと、リゼ姉!?」
「行くよ、強行突破だ!」




