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change  作者: 虚虎 冬
科学都市編
28/98

4:捕まったが危機感なし…科学都市来訪第二日目

 リゼリアが目を開けると、いやに白い壁が見えた。<白の街>を思い出す。あそこよりもさらに味気なくて、物悲しい。

 隣にいるリュウの生存確認。

「リュウー、起きてる? というか生きてる?」

「死んでたらビックリだよ。おはよう」

 どうやら互いに無事なようだ。

 ほっとして、リゼリアはおどけたように言う。

「いやはや、捕まったはいいが、食料が無いとは恐れ入った」

「僕の『力』で水は飲めるけどね…… 普通の人なら、死んでるなあ」

「おいおい、我らが普通でないみたいではないか」

「キャラ違くない? ……実際僕ら普通ではないし」

 確かに、リゼリアもリュウも、唯人ではない。

 二人は、窓もドアもない(とは言え、科学都市なので見た目には(・・・・・)ドアがないだけ)、白い部屋にいた。ムーシャや他の子供の姿は無い。

 手足が縛られていないが、抜け穴が全くない部屋で自由でも、意味が無いのだ。

 二人は閉じ込められているのである。

 彼らがこうしている理由は、一日前にさかのぼる。



 防衛副長は、にたりと嗤ってから、ある提案をしてきた。……提案というより、脅しである。

「この餓鬼をぉ、解放してあげるからぁ、そこの青髪と金髪をちょーだい」

 ムーシャは、リュウとリゼリアの腕を掴み、行っては駄目だと引きとめたのだが、防衛副長が再び子供を振り回す様子を見て、渋々離した。

 子供は解放されたが、代わりにリュウとリゼリアが捕まったのだ。

 二人は、今いる部屋に投げ出され、食べ物も水もないまま閉じ込められた。

 そのまま一晩がたって、今に至る。



 暇で仕方が無いリゼリアは、よくしゃべった。普段なら煩わしくて無視し始めるが、今はとにかく暇なので、リュウもきちんと会話をしている。

「そういえばさ、あの緑髪の女の子と、橙髪の男の子って、名前何て言うの?」

「ミドリとレンジだよ、一応」

「自分の名前言うときも『一応』ってつけていたよね。何で?」

「科学都市のやつが記号としてつけるから。名前、適当でしょ」

 髪が緑だからミドリ。(オレンジ)だからレンジ。リュウは、「龍」だからそのまま。

「お姉さんがこの国に生まれていたら、『キキ』か『リュウ』だろうね」

「へー。確かに安直なネーミングだね。

 ときにリュウよ」

「何」

「お姉さんとは他人行儀な。名前で呼びたまえ」

「さっきから語尾がおかしいけど。混乱してるけど」

「気にせんで良い。そんなことはどーでもいいのだよ。

 『お姉さん』だとムーシャを呼んでいるのか、私なのか、分からんではないか」

「別に良……」

「良くない。じゃあムーシャならなんて呼ぶ?」

「……ムー姉さん」

「じゃあリゼねえで良くね?」

「やだ」

「なんで」

「……それなら呼び捨てる」

「ひっでぇ。年上の威厳カムバック!」

「もともと無いよ」

 ぽんぽんと続く会話。ここまで人と話したのは初めてだ。リュウはそう思った。



 「防衛員」が部屋の外から声をかけてきたのは、話が弾みかけたときだった。

「ひゃっひゃひゃ! 機嫌はいかが? ケダモノ達ぃぃ!」

 その声を聞いて、リゼリアと揃って顔を顰める。防衛隊はろくでもないやつしかいないのか。

「腹を空かして呻いているかなぁ~? あっひゃっひゃ!

 それももうすぐ終わるけどねぇ! 解剖されちゃうから! 解剖!」

「……防衛員の一人だ。牢屋の番人のはずだけど」

とリュウは囁いた。

「……へえ。防衛隊はろくでもないのしかいないんだね」

 リゼリアと感想が全く一緒だった。誰でもそう思うのだろう。リュウは少しだけ、防衛隊を馬鹿にして笑った。

「内臓はばーらばらっ。脳もぐーじゅぐじゅっ♪ 血もたっくさん飛び散るかなぁ~?

 おまえらケダモノは、心臓を取り出しても動いているだろうからねぇ、ぐちゅっと握り潰してあげよう♪」

「……こいつのせいで『残酷描写』云々を追加しなければならなくなった。くそう」

 リゼリアが訳の分からぬ事を言う。

「じゃあ楽しみにしててねぇ。あひゃひゃっ」

 それだけ言うと、牢屋の番人の気配は去っていく。

「何しに来たんだ……」

 リュウが呆れて言うと、

「知らないけど、まあ有難いね」

 リゼリアがにやりと笑う。

「ここから逃げなきゃいけない訳だ。 ……リュウ、ちょっと」

 二人の脱出作戦が始まる。

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