2:いきなりつまづく二人
時は経ち、アルバイト初日である。
アルバイトがあるまでの間、ムーシャの口に食べ物を突っ込んだり、牛が逃げたという北の森の様子を見に行ったり、ムーシャの口に食べ物を突っ込んだり、露店の店主たちと話をしたり、ムーシャの口に食べ物を突っ込んだりした。
……とても大変な日々だった。
恰幅のよい中年男が、バイトとして集まった若者たちに叫ぶ。
「はい、はい。皆さん集まってくれて感謝するよ! うちの牛はちょっと凶暴だし、北の森は危ないからね! 魔法を使えるならいいけど、使えない人は何か武器を持って行ってね!」
リゼリアとムーシャが唖然とする中、依頼主の話は続く。
「10頭無事に集まったら、皆さんが普段口にできない牛肉をあげるからね! 楽しみにするんだよ!」
バイトの者たちが鬨の声をあげる。どうやら牛肉食べたさで集まったらしい。
「それでは解散! 探してね! 一頭も見つけなかった人には牛肉をあげれないよ!」
一斉に若者たちが駆け出す中、少女二人は立ち止まって考え込んでいた。
「魔法って何?」
「……知らない。しかしまずいな、このままだとただ働きだ」
見つけても、今の二人では捕まえられないに違いない。武器となるものも持っていない。
二人は一度宿に戻った。宿は、布団の質は良いものの、質素な造りで、一泊の代金が安い。
「……作戦会議を始めます」
「おー」
とてもテンションは低い。武器は、占い師がくれたお金で買えるほど、安くはなかった。もっとくれれば良かったのに……とも思うが、詳しく訊かなかったリゼリアとムーシャも悪いので、仕方ない。
「魔法かー。使えればいいけどね」
「……そう思って、本を買っといた」
「なんと! 本は安いの?」
「……焼き蛙鳥肉5本分」
ムーシャは口に押し込まれた蛙鳥を思い出したか、顔を顰めた。
「……はい。私は読んでやってみたけど、意味なかった」
「リゼは神様宿ってるし、何か違うのかもね。さて……」
ムーシャが本を読みながら、リゼリアに尋ねた。
「第二位世界の住人が、第一位世界の魔法使えるかな?」
リゼリアは目を逸らして答えた。
「……さあ」




