世界はつながる。だからアザとーは一人ではないのです。
アザとーが愛用しているのは小型のノートパソコン。リュックサックにひょいと入る可愛いやつなのですが、もちろん、この旅行にも携帯なのです。
実は……海外でケータイを使うのはめんどくさい上に高いので家に置いていくことにしたのです。でも、誰とも連絡が取れないのは不安なので無線LANが入っている宿を探しました。
ホテルの部屋に入ってはじめにパソコンをつけた瞬間、いつもと変わらぬ使用環境に少なからぬ感動さえ覚えました。
アザとーが子供のころ、海外とのリアルタイムでの通信といえば一般のためのものではありませんでした。
「海外にいるレポーターと衛星が繋がっています。聞こえますかぁ?」
「……(聞き辛そう)……あ、はい、聞こえますぅ」な、イメージなのです。
それが今や本当に……
(ネットってのは、本当に世界をつないでおるのだな)
アザとーがこちらについてから、ちょろちょろとツイッターに出没したり、この旅行記をアップしたりできるのは、ホテルに無線LANがあったからなのです。むちゃくちゃ重宝しました。
大体が一人一台通信端末を持つ時代、ちゃんと海外契約さえすれば通話だって普段どおり。それが通信手段はこのノートパソコンのみという環境が、余計にネットの利便性を浮き彫りにしたのです。
それは帰国一日前、空席状況を確認した旦那が言い出しました。
「うう~ん。飛行機、乗れないよ?」
予約が一杯になってしまったため、空席が無いのです。空きがあるフライトは翌日の便……余分の休みを一日取っていた夫とは違い、ぎりぎりの休暇申請しかしていないアザとーは大騒ぎです。
パート先に連絡をとろうとしたのですが、部屋の電話の説明どおりにしても、国際電話がかかりません。
そこでアザとー、パソコンを持ってフロントに走ります。
ツールは翻訳サイト。がちがちと日本語を打ち込みます。
【国際電話をかけたいのですが】
フロントのお姉さんが「ウープス」なんて可愛らしいことを言いながら、かちゃかちゃと文字を打ち返してくれます。
それをトンチンカン翻訳されちゃうのはいつものことなのですが……補足を加えてもらって解ったことは、『コーリングカード』をリカーショップで買わなくてはならないということでした。
あわてて近くのリカーショップ(コンビニ的存在)に飛び込み、そのカードを入手したのですが、今度はかけ方が解らない。手順どおりにプッシュしても、「その番号は使われておりません」に繋がってしまうのです。
フロントのお姉さんが見かねて代わりにコールしてくれたのですが、やっぱり繋がらない。ピンチです。
とりあえず、『別の方法を試してみますので』とのお断りをエキサイトに翻訳してもらいます。
(むうう、手持ちの手段はツイッター、電子メール、LINE……フェイスブも使えるか?)
とりあえず実家の父に電子メールを送ります。
(くうっ! 心もとないな)
父のフェイスブアカウントにもメールを送りました。
高校生に頼るのも如何なものかとは思いましたが、背に腹は変えられない……リア友を頼ってLINEにも『誰か助けてくれ』と打ちます。
誰も気づいてくれないとしたら?
(まだ! いざとなったらツイッターもある!)
幸いに、父がフェイスブックのメッセージに気づいて返信をくれました。
【どうした?】
【至急、パート先に連絡を取って欲しい。詳細メールを送る】
がちゃがちゃと大慌てで電子メールを打ち込みます。あんまり焦って誤変換がめっちゃあったことは、内緒ですよ?
急な休みを謝って欲しいということと連絡先を送って一安心したところで、LINEにも反応がありました。何とか手配できたという文面とスタンプを送れば、いつもどおりの気さくな反応が返されます。それに、どれほど俺の不安が拭われたことか……。
実を言うと、ツイッターのお友達にも感謝なのです。
いくら俺の順応力が高くても、やはり異郷で気張ってばかりでは精神がつぶれてしまっていたでしょう。そんなときにネットを開けば見知った顔がいる。気さくに挨拶を交わし、励まされ、うるうるっとすることもあったのです。
正直に言います。
アザとーがこの旅行中のピンチに前向きに立ち向かい、全てを楽しい思い出として昇華できたのは、ネットを通じて見守ってくれる人が居たからです。
だから……改めて言うのも恥ずかしいけれど、ありがとう。
そして、「無事に帰って来い」と言ってくれる人達が待っているから……アザとーは帰りの機上でこれを書いています。帰宅したら真っ先に更新するつもりです。
あ、パート先にも謝りに行かなくちゃだし、ネコを預かってもらったお宅にも行かなくちゃだし、まだまだ旅は続くのか。
ま、『家に帰るまでが遠足』って名言もあることだし?
と、言うことで……帰国後に旅の総括を書くつもりではありますが、アザとーのアメリカ無鉄砲旅はここで締めなのです!