ぱっときました ラスベガス!
サンフランシスコ空港から国内線に乗ること1時間、アザとー一家はついにその地に降り立った!
歓楽と興奮の町ラスベガスっ!
さて、宿はカジノもあってファミリー向けである『サーカスサーカス』。ラスベガスでも名の知れたホテルのひとつだ。
ラスベガス空港から『サーカスサーカス』まではタクシーを使うが、これがラスベガス・スタイルというものだろうか、どのタクシーも窓を全開にしたままで走っている。砂漠地帯特有のからりとした空気の中を走るのだからこっちのほうが快適なのだ。
空港からハイウェイを通ってホテル街へ。道沿いにはさまざまな趣向を凝らした巨大な建物が立ち並んでいる。
とんがったピラミッドの形に作られたもの、ただ見上げるしかないほど大きなもの、金色のマジックミラーで外壁すべてを飾って巨大な金塊のように見せた建物、そして件のサーカスサーカスは、子供用のアミューズメントを内包するメタリックパープルに光るドームがデーンと幅を利かせている。
カジノ側――つまり表へ回ればピエロの電飾看板がそびえたつ。もちろんこれもでかい。
しかし部屋は意外にシックで、少し古風な色模様のじゅうたんがアメリカ映画のワンシーンを思わせる。すなわち、すこし画質の荒い80年代アメリカンホラーな雰囲気を、だ。
ちなみに部屋に部屋のシャワーは『サイコ』を思わせる厚手のシャワーカーテンを備えたバスタブ無しなのだから……アザとー、恐怖に震えながらシャワー浴びました。
しかし、悲しいかなジェネレーションギャップというものがありまして、息子と娘には説明しても伝わらないこの恐怖心! トイレのドアを閉めることさえ怖くて開けたままで用足ししていたら、二人ともに怒られちゃいました。
……と、あざとーがチキンだと言う話はどうでもいいのです! 大事なのはカジノですね。
カジノに関しては、実はアザとーは子供たちとゲームコーナーに通うほうが楽しくて、ほとんど行っていないのです。何事も経験なのでちょこちょことスロットを打ったり、ブラックジャックを数ゲーム楽しむことはしましたが、総負け額100ドル程度という、しょぼくれギャンブラーでしたので先にラスベガスの町並みのレポートを。
街を観光するというときは息子が活躍してくれます。これはアザとー家のお出かけのときはいつでものことなのですが、行き先を決める夫は目的地の名前を連呼するだけでまったくの無計画、行動力で乗り切る母はとんでもない方向音痴で、せっかく道案内されても右と言われた道を左へ曲がるタイプ。だからこそ身に付いた息子の特技なのです。
幸いに今回は夫が見物したいホテル名を事前にあげてくれたので、息子がガイドマップを見ながら道を覚えます。
「えっと、ホテルの表の通りがルート~~だから、地図はこういう向きか……」
くるりくるりとマップを回しながら経路を指でなぞり、大まかな地理を手早く記憶する。
彼のこの能力にはしょっちゅう助けられている。何しろちょっと大きなスーパーに行けば自分が車を止めた場所すら分からなくなるのだから、道に関しては息子の後ろを素直に付いて……
「ねえ、かあちゃん、なんかおいしそうなもの売ってる!」
「おお! 見て見て、すっげえかっこいい建物! 入ってみよう!」
「予定変更! MGMホテルも見に行こうぜ! 息子、MGMどっち!」
うん、いつもの我が家のパターンではあるが、こうしててんでに好きな方向に歩き出そうとする家族をまとめ、誘導して目的地まで連れて行ってくれる息子は、実はすごく忍耐強いのではないだろうか。
ともかくこうして目的地である『ホテル・ベオグラード』にたどり着くことができた。ここはドラマ好きでミーハーなダンナがどうしても見たがった、某ドラマの劇場版で使われた噴水のあるところなのだ。
ホテルの前、通りに沿って人目では見渡せないほど大きな池が作られている、音楽をガンガンに流し、それにあわせて池を右へ左へ、時にやわらかくうねりながら、生き物のように水が踊るショウはすばらしく、いつもうるさい家族が口をぱかんと開いて声もなく見とれるほどだ。
「こういうのを見ちゃうとさあ、『でっかいことはいいことだ』って言葉の意味が分かるよね」
どのホテルもそうだが敷地は広く、建物は大きく、こうしてただの噴水ショーですら豪華な娯楽として目を楽しませてくれるのは、ここが娯楽の街だからだろう。
サンフランシスコで泊まったのは実用の街、商業施設は大きくて品揃えも多く、それだけに買い物に特化した機能性を感じるものだった。
しかしラスベガスはふっきって娯楽に特化している。街そのものが娯楽に集中して構成されているのだ。
このメリハリのせいなのか、アメリカという国はいくつかの都市を回っただけでも『地域性』というものが色濃く感じられる国だと思う。
日本にももちろん地域性というものはある。それもひどく狭い範囲で、例えば都内など見て回れば新宿と調布では空気の感覚からして違うように、街歩きをするときに感じる『肌触り』が違うのだ。日本よりも都市が広くて大きいのだから、それが濃縮されて色濃くなるわけだ。
ちなみにラスベガスはみんながバケーションを楽しみに来た人であり、物乞いと大道芸は多いが強引ではなく、治安はイメージしたほど悪くない。ふらりと街歩きを楽しむにはむしろ見所多くていいところなのだ。
まさに楽しみと娯楽が凝縮した街、ラスベガス!
しかし、この街は決して財布には優しくない町であると、それだけは付け加えておこう。




