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二章 物語の幕開け(友人)

「あーあ、びしょ濡れ。格好付けんじゃなかったな」


現在、二限も終わった休み時間、湊は屋上から教室の前まで来ていた。


結局、あれから二限が終わるまで湊はあそこから一歩も動こうとはしなかったのだ。


「ちーす、誰かタオル貸して。ついでにおはよ」


おかげで全身びしょ濡れ、着いた教室での第一声がこれだ。


「うおっ、びしょ濡れじゃん。ほい、タオル」


現れたのは、比較的親しい友人の古川ふるかわ あきら


湊よりも大柄な体格に、何故だか誰もが惹かれてしまう屈託のない笑顔が似合う男だ。


短い髪型とも相俟って爽やかなイメージもある。


それに、魔法に逸脱したものはないが、辛うじて秀才の部類には入るようだ。


ただ、魔法の才能はそこまで無いにしろ、それを補って余りあるほどの才能を古川は持っていた。


それが誰とでも親しくなれるという才能だ。

だが、古川の場合これがまた質が悪い。


それが、極道だろうが世界的に有名な著名人だろうが関係無い。本当に誰とでも親しくなってしまうのだ。


ちなみに古川のモットーは、「世界中の人みんな友達」なのだそうだ。


「あんがと。ふぅ、制服も着替えなきゃ駄目か」


古川から大きめのタオルを借りた湊は、髪を拭きながら被害状況を確認する。


「んなもん、魔法でどうにでも出来るでしょ」


湊が古川と話していると、また新たに声を掛けてくるものがいた。


古川の恋人、おおとり 涼風すずかだ。


通称、パパラッチ。


本人曰く、ジャーナリスト。


世の記者たちも青ざめるほどの実力者らしい。


魔法の腕は、パパラッチと呼ばれるだけあり、隠密系と情報収集系のものに特化している。


その魔法で、可愛らしい顔とは裏腹に、かなりえげつない事もするそうだ。


彼氏曰く、小さい凹凸のあまりない身体とポニーテールはチャームポイントとか。


「……そういう魔法の力加減が、出来ないの知ってて言ってるんだよな? パパラッチ」


「ぶっ、まだ苦手なの? 小学生が習うような魔法だよ?」


拗ねたように湊が顔を背ければ、鳳は思わず噴き出してしまい腹を抱えながらもからかう。


「言うな。惨めだ」


「いい加減、戦闘系の魔法以外のも勉強し直せって。今回は俺がやってやるけど、今度からは自分でやれよ? まったく」


素で落ち込む湊を哀れに思った古川は、説教混じりだが代わりに魔法を掛け始める。


「流石、私の彼氏。優しいわね! 湊は感謝しなさい。私に」


「彰あんがと。三限目は何だったっけ」


「ああ、魔法理論だけど、今日教師がいないから自習らしいぞ」


「んじゃ、三限目は寝れるな」


「おいおい、来た早々寝るなよ」


二人は鳳の話をあえて聞かず、次の三限目について話している。


「私を無視するな!」


弄られてるのは分かっていたが、鳳は我慢ならず突っ込んだ。


「うおっ、吃驚びっくりした。大声出すなよ」


「彰、私を弄るとはいい度胸じゃないの」


そして、古川の胸ぐらを誰かの椅子に立って掴み掛かる。


「何で俺一人!? 湊は」


あまりの展開に助けを湊に求めた古川であったが、


「居ねぇ!?」


当の本人はさっさと自分の席へと辿り着いていて、古川を助ける気など毛頭なかった。


「さぁ、覚悟は良いかしら」


「さぁ、寝る支度っと」

鳳と湊の声が揃って発せられたそれが合図だった。


古川は鳳の見事なまでのアッパーを清々しいまでに受け入れ、倒れ伏す。


「きゃっ」


ただ、アッパーを決めた鳳を抱き締めながらではあったのだが。


「この馬鹿ぁ! 離せぇ!」


「あはは、離すかぁ!」


周りは何時もの事だと気にした様子もなく、凸凹カップルを暖かく見守った後、自分たちの話しに戻っていった。


(……何時もの光景、日常。魔物も神兵ドールもいない世界。僕は、もう――――じゃない。僕は、何時までも湊でありたい、生涯を通して。例えそれが偽りだとしても)


湊は二人のじゃれ合いに眠気を持っていかれてしまい、

自身の席である窓際の真ん中の席で、ぼんやりと考え込んでいた。


ふと、二階に位置するこの教室から窓の外を眺めていると、一瞬空間が歪んだように見えた。


しかし、湊は見間違いだろうと特に気にする素振りも見せなかった。


否、無意識にそう思い込んだのだ。


心の奥底で違うと否定したかった。


この世界には湊が知っている限り、何の前兆もなく空間が歪む魔法など有りはしない。


ただ、勿論例外のようなものもあるにはある。


空間干渉系と言う字の如く、空間に干渉する事が出来る魔法も存在するのだ。


しかし、それも前兆は多かれ少なかれ確かにある。


今のケースには当てはまらない。

湊には他にも心当たりはあったのだが、やはり今のことは忘れようと思考を放棄して机に突っ伏した。


ふぃぃ、疲れた。


いや〜、行き当たりばったりな話しですね。

自分で読み直して実感しました。


しかし、完結までがんばります。

皆様方、まだ序盤ですが飽きずによろしくお願いします。

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