ハズレギフト?ならば活かしてみせましょう!
ギャグです。あくまでもギャグです。
大事なことなので二回言いました!!
特定の個人や団体を思い浮かべた人は、気の迷いです。
架空の設定として笑い飛ばしてください。
この世界では、12歳になると神からの祝福…ギフトが与えられ、子供達は自分のギフトに応じた仕事に就くのが習慣となっていた。
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ショクーギョの街にあるアーテンショ孤児院では、12歳になる子供達が集められ、教会に向かう準備をしていた。
「俺は剣士のギフトがいいな。冒険者になって、世界を旅するんだ!」
「俺は農家か大工だな。結婚して家族を養うんだ」
「私は料理か裁縫が良いな。可愛いお嫁さんになりたいわ」
口々にに希望するギフトを言い合う子供達。
「ワークはどんなギフトが良いんだ?」
一人の子供に、仲間の孤児が尋ねる。
「俺は…ハズレギフトでなければ何でも良いや」
ワークと呼ばれた子供が、冷めた感じで答えた。
ハズレギフトとは、仕事の役に立たないギフトを差し、このギフトを授かった子供は、まともな仕事に就くことは困難となる。
「ワークなら、どんなギフトでも大丈夫だろうな。何をやらせても、人より上手くできるもんな!」
ワークに話しかけた子供が、羨ましそうにワークの肩を叩いた。
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教会の礼拝堂では、神父が水晶に手をかざし、子供達にギフトを告げていた。
「やった〜!剣士のギフトだ〜。これで冒険者になれるぞ!」
「私は家事のギフトだわ。良いところのお嫁さんになれそう!!」
あちこちで、喜びの歓声が上がる。
だがその反対側では、「何だよスピーカーって。声がデカいだくで仕事にならないじゃないか!」
「私が剣聖って…嘘でしょ?」と、一際小さな自分の身体を見る。
「重すぎて剣なんて持てないし、こんな小さな身体で戦いができるわけないわ!」
「ポップって何だよ。どうやって活かすんだ?」
と、授かったギフトに絶望していた。
そして、ワークの番がやってきた。
神父に差し出された水晶に、祈りながら手を乗せた。
『お願いです。何卒役に立つ良いギフトを!!』
その願いに水晶が虹色に光を放ち、ワークのギフトが告げられた。
『ワークのギフトは……【マッチング】』
その声に、礼拝堂は笑いに包まれ、その笑い声を聞きながらワークは静かに意識を手放した。
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【マッチング】
それは『お見合いギフト』とも呼ばれ、良縁を求める貴族であれば、少しは需要もあった。
しかし、自由恋愛が基本の平民の間では『お節介ギフト』と呼ばれ、ハズレギフトの代表とも言えるギフトだった。
ましてや、孤児のワークには使い道のないギフトと言える。
『お前ならどんなギフトでも大丈夫』と言った孤児院仲間は、ワークのギフトを聞いて馬鹿にするように、「面倒見の良いワークにピッタリのギフトで良かったじゃないか!」と言いながら、自分の剣技のギフトを自慢した。
孤児院内は、だんだんと当たりギフトとハズレギフトの派閥に分かれ、お互いに話すことも無くなっていった。
「ワーク、お使いを頼めるかしら!」
院長先生がワークの気を晴らそうと、郊外にあるジャンの店にお使いを頼み、買い物の一覧をワークに渡した。
「ずいぶんと、種類がありますね」
ワークがその書き付けを見て院長先生を見た。
「えぇ、一ヶ所で全部揃うのはジャンの店しかないのよ。遠いけどお願いね」
ワークが広間に戻ると、バーネットとタキータがワークに話しかけてきた。
バーネットもタキータもハズレギフトと言われるギフトを授かったため、孤児院で仲が良かった。
「ワーク、お使いか?」
「ジャンの店か。あそこは遠いけど何でも揃うし、安いからな!」
ジャンの店に向かいながら、ワークはバーネットとタキータのギフトを考えていた。
『バーネットのギフトは【ポップ】か。見たらわかることを、わざわざ文字にするだけでは、お店では使い道がないか……』
『タキータのギフト、【スピーカー】も人前で声を上げるのが得意なだけか…』
ワークが沈む気持ちを堪えながら、ジャンの店の前に着くと、店の前でジャンが悲しそうな顔でワークを迎えた。
「ワーク、この店は3ヶ月後に閉める事になった。院長先生には申し訳ないが、これからは他の店で買い出しを頼むよ。」
「え?どうして…」
広い店内にうず高く積まれた商品を見て、ワークが怪訝な顔をした。
「いくら安くて品揃えが良くても、こんな郊外の店には客が来ないんだよ」
ジャンが悲しそうに呟いた。
その時……
『ピコン』と通知音がワークの脳内に響き、『ギフト マッチングが使えます』と声が聞こえた。
その声にワークが考える。
『そうだ!!』とワークがジャンに笑いかけた。
次の日、街の一角で明るい声が響き渡る。
「はい!冒険者ならこの鉄の剣、匠の技が光るこの剣だよ〜!今なら古い剣を下取り中!!」
「ポ〜ション!ポ〜〜ションなら、全種類…全種類がお買い得!!しかも…今なら2本買えば2本目は半額!半額だよ〜〜!!」
バーネットが商品の特徴を書いたポップを街の人に配り、タキータがスピーカーのギフトを使って、独特の節を付けながら大声で商品を宣伝する。
「それで、売り物は何処にあるんだ?」
タキータを取り囲んだ人達が周りを見渡す。
「今日注文した商品は、明日うちの倉庫から届けるよ!」
ジャンが大声で答える。
「お届けが明日になる代わりに、値段は何処よりも安いし、品揃えもたっぷりだよ!!」
「慌てて必要でもないし、安いし届けてくれるなら注文しようか」
その一言が呼水となり、どんどんと注文が入る。
バーネットのポップは、カラフルに彩られ、タキータの喋りはさらに滑らかになり、大衆の心を掴んで離さない。
やがて、ジャンとバーネット、そしてタキータの店は街の人からジャン・バーネット・タキータの店と呼ばれ、街の子供達も『♪ジャンバーネット ジャンバーネット〜 夢のジャンバーネットタキータ〜♫』と口ずさむ、街一番の店となっていく。
更に、商品を自宅に届ける宅配と言う仕事が新たに誕生し、アスクールやクロキャット、サガーワといった配達ギフトを持つ者が街中を走り回わり、ショクーギョの街の商店や物流を大きく変えることになるが、それはもう少し先のお話である。
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「ねえワーク、私もバーネットやタキータみたいに助けてよ!!」
それは、当たりギフトのはずの剣聖を授かったアジヘーヌだった。
【剣聖】
それは、剣技の最高峰を意味し、あらゆる剣を我が物として扱うギフトであり、最上位のギフトだった。
しかし、そのギフトを授かったアジヘーヌは、身長が150センチほどで、力もなければ、魔物と戦う事など考えたこともない、平凡な女の子だった。
「考えておくよ…」と声をかけると、食事を取る為に街に出かけた。
馴染みの店に入り、いつものランチを注文する。
「ほらよ、ランチだ!!」
この店の店主、ヤマーカがワークの前にランチを置くと、小さくため息をついた。
どうした…と尋ねるワークに、向かいに出来た食堂を指差した。
「あの店のカイーバラと言う料理人が作る『9色のメニュー』と言うのが人気でな、客が全く来なくなったんだ」
「そうか、ヤマーカの料理は味は悪くないんだけど、具材の歯触りと言うか、歯応えが微妙なんだよな」とワークがランチを口に運ぶ。
その時……
『ピコン』と通知音がワークの脳内に響き、『ギフト マッチングが使えます』と声が聞こえた。
『そうだ…もしかしたら!』
しばらくして、ワークが昼ご飯にヤマーカの店に行くと、店の前には大行列が出来ていた。
「この店の料理は、食材の断面が光り輝いているんだってな。何でも、赤と緑に黄色と白の光が輝いているらしいぞ!」
「食材のカットが良いと、味もこんなに良くなるんだな!」
男が食材の切り口をしげしげと見つめてつぶやく。
「食材の断面が四色の光に輝くから…この店の料理は四光のメニューと呼ぼうぜ!」
「あの料理している女の子を見たか。目にも止まらぬ速さで包丁を振るってたぞ!」
「アジヘーヌって娘らしいな。包丁さばきが凄いから…あの娘は包丁人アジヘーヌだ!!」
厨房でそんな客達の会話を聞きながら、ヤマーカがアジヘーヌに笑いかけた。
「剣聖が包丁人に変わっちまったな!」
「使えもしない剣聖より、包丁人の方が私は好きかも!!」
アジヘーヌが、まな板の上にある具材を、剣聖のギフトを使い切り分ける。
「しかし、剣聖の使う刃物に包丁も含まれるとはな……さすがはワークのマッチングだ!!」
ヤマーカが、満席の食堂を笑顔で見渡した。
その食堂で…
「だけど、カイーバラの『9色のメニュー』も美味いよな。どっちの料理が上なのかな?」
そんな何気ない一言から、カイーバラ対ヤマーカの料理対決…『9色のメニュー!vs 四光のメニュー!』が開催されることになるのだが……それはまた別のお話。
やがて、ショクーギョの街にあるアーテンショ孤児院に行くと、ハズレギフトでも最適な仕事を斡旋してくれるらしいと噂が流れ出す。
今日もハズレギフトを授かった女の子がアーテンショを訪れた。
「ハズレギフト?ギフトにハズレなんかないよ。どんなギフトでも俺がマッチングで活かしてあげる!!」
ワークの笑顔に、不安そうだった女の子に笑顔が戻る。
その笑顔にワークが明るく宣言した。
「仕事を探しているみんな!今すぐショクーギョの街にあるアーテンショ孤児院を尋ねて来てね!!」




