ホットケーキミックスを用いた古早味蛋糕
挿絵の画像を作成する際には「Ainova AI」と「AIイラストくん」を使用させて頂きました。
それはある日の大学の帰り道の事だったの。
「王美竜さんったら、台湾カステラを売っているキッチンカーの事が気になってたでしょ?横を通る時に何度もチラ見してさ。やっぱり故郷の味には惹かれるのかな?」
そう指摘するゼミ友の口元には、得意気な微笑が浮かんでいたんだ。
「やっぱり蒲生さんには分かっちゃうか…地元じゃ『古早味蛋糕』って言うんだけど、夜市でよく食べたもんだよ。とはいえ夜市で買うよりも割高だから手が出なくてね。かと言って自分で作るのも手間だし…」
何しろ台湾の夜市なら、同じ金額で日本のキッチンカーの倍の量を買えるんだから。
台湾では気安く食べていた古早味蛋糕なのに、日本だと海外スイーツとして希少価値が付けられているんだから、何とも変な感じだよ。
「そうでもないよ、美竜さん。台湾カステラってホットケーキミックスで簡単に作れるらしいよ。炊飯器を使えば更に楽になるらしいし。」
「えっ!それって本当、蒲生さん?」
手作りなら安上がりだし、炊飯器ならオーブンに比べて遥かに手軽だからね。
ネットのレシピサイトを参考に試してみたんだけど、驚く程に簡単だったの。
「卵にサラダ油に牛乳に砂糖、そしてホットケーキミックスか…これだけで出来るのかな。」
何しろ私がやった事と言えば、レンジで加熱した材料を混ぜて炊飯器で炊いただけなのだからね。
「ははあ、見事に円柱型だね。問題は味なんだけど…」
炊き上がった黄色い円柱を切り分け、私は恐る恐る口に運んだんだ。
すると…
「成る程、こう仕上がるんだ…」
最初に感じたのは、シットリしたフカフカ感だったの。
夜市で食べた古早味蛋糕の蕩けるような食感とは違うけれど、これはこれで捨て難い良さがあるね。
「えっ、甘い…」
そして次に感じたのは、砂糖や香料のしっかりした甘味だったね。
材料が材料だから当然だけど、ホットケーキによく似ていたんだ。
夜市の古早味蛋糕は薄力粉を使っていたから、もっと卵の風味が効いてて素朴な味だったよ。
「本式の古早味蛋糕とは少し違うけど…雰囲気は良い感じだし、何より簡単に作れるのが有り難いね。」
細かい違いはあるけど、「古早味蛋糕っぽい台湾カステラ」として日本で食べるなら普通に有りって具合だよ。
今度の留学生同士の集まりに持っていったら、お国自慢にもなりそうだね。
とは言え他国の子達に、「古早味蛋糕はこういう食べ物なんだ。」って先入観を持たれちゃったら、それはそれで複雑だけど…




