1.この後美味しくいただきました
学校からの帰り道、かつて精肉店であった廃墟の前を通りかかると不意に声をかけられた。
見るとコック帽を被った豚が、どでかい肉切り包丁を右手に携えこちらに向かって来るではないか!
「お初にお目にかかる。私は食物連鎖反逆ピッグ。豚肉を食すことを当然の権利と驕り高ぶるホモ・サピエンスに鉄槌を下すべくこの地上に降り立った復讐の化身。」
自己紹介が進むとともにどんどん縮まる豚との距離!
心なしかぎらつきが増す、刃渡り1mは下らない肉切り包丁!!
「少年よ。ここで会ったも何かの縁。君を我が人類への反逆第一号としよう。君をトンカツならぬジンカツにしてサックサクに揚げてあげよう。さあお覚悟」
刃物を振りかざしていた時点である程度は察していたが、豚はこちらを料理する気満々だ!!
逃げようにも刃物持ったやつの前で背中を見せる勇気はない。不意を突いて掴みかかるにはちょっとこの豚は体格が良すぎる。(聞いたところによると、豚は全身筋肉の塊らしい。本当かどうかは知らない)
さあどうする!?
その時!!天啓走る!!
ばっと通学カバンを広げ、中から何やら赤いもの、片手でガバリと掴み取る。
すぐ目の前には豚with刃物!!
「無駄な抵抗はよしたまえ。君の日々の行動にて生じた因果を清算する時が来ただけだ。」
そこで言葉を打ち切ると同時に、物理的にも切って捨てんと、肉切り包丁持ち上げた。
そして振り下ろさんとしたその刹那!!豚の鼻・口目掛けて赤いもの、一掴みばっと投げ入れた。
不意を突かれた豚はしかし、その驚異的な嗅覚を持ってそれらが危険物でないと瞬時に判断。
むしろ塩・コショウの芳しい匂いに、やぶれかぶれに弁当の残りを投げつけたと理解を巡らす!こりゃご馳走様と大いに咀嚼。のち嚥下。鼻にも詰まらず全てを飲み込む。
ひとしきり美食を楽しんだのち、豚は再び少年に目を向ける。あわれ少年は怖気ついたか、たいした距離も動いてない!
豚は再び振り下ろさんと、肉切り包丁に力を込める。
その豚の眼前に、少年は何かを突きつけた!
それはカルパス!学校近くのコンビニで、間食用に買った駄菓子のカルパス!
それを目にした豚の胸中に、衝撃と絶望が押し寄せる!
カルパスの原料は合挽きお肉!!鶏肉・牛肉・そして豚肉!!!
ショックのあまり、肉切り包丁取り落とす!!
「復讐を謳いながら、同胞を食すとは何たる欺瞞!
贖罪のためには食材となるべきだ、豚まん!!」
少年の言葉が豚の心を打ちぬいた!!
豚はその場に倒れ伏すと共に、大きな豚まんへと姿を変える!!!
少年は肉切り包丁を地面に立てて墓標にするとともに豚まんを抱え持ち上げると、カルパス代わりの間食とすべく家へと持って帰るのだった。




