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悪役貴族よ世界の中心たれ  作者: ねこまた
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第二話

 毎回異空間から出る時には軽い貧血のような感覚を覚える。おそらく、異空間の中と外で時間の流れ方が違うからだろう。それにしてもー


 「体がだるい‥‥‥。」

 「マスターが私の忠告を聞かずに限界まで魔力を使うからです。」

 「ぐっ‥‥‥。」


 そうなのだ。異空間の中での実践訓練で俺は限界まで魔力を使ったのだ。

 この世界の人間は体内の魔力を使って無意識に自分の体を強化している。なので体内の魔力が少なくなると魔力による強化がなくなり普段よりも体がだるく感じる。もちろん俺も例外ではない。レヴィアナが言うにはこの魔力による強化は意識的にコントロールすることができるらしいのだが、意識の深い部分で行なっているのでかなり練度の高い者でないとコントロールできないらしい。ちなみに現在、人間でコントロールできる者はいないらしい。

 

 「次からは私の言うことを聞いてくださいね。」

 「‥‥‥わかった。」


 ーコンコン


 「坊っちゃま。お食事の時間でございます。すでにご主人様や奥方様は席に付かれておられますのでお早くお願いします。」 

 「わかった。」


 ノックの後に聞こえてきたメイドの言葉に返事を返し、俺はレヴィアナの方に向き直った。


 「今日はここまでだな。また明日よろしく頼む。」

 「はい。では、失礼いたします。」

 

 そういうとレヴィアナは魔法陣の中に吸い込まれるように帰っていった。


 「さて、俺も行かなければな。」


 浄化魔法で体の汚れを落とした俺は家族の待つ部屋に向かった。


 部屋の中に入るとメイドの言葉通り今世の父であるゴルド・ヒーヴィルが上座に、その右側に正妻であり今世の母であるカレナ・ヒーヴィル、その横に妹のシャルロット、弟のグレイがすでに座って俺を待っていた。


 「お待たせしてしまい申し訳ありません父上。」

 「かまわん。さっさと席につけ。」

 「はい。」


 俺が席についたのを合図に料理が運ばれ食事が始まった。カチャカチャと食器の鳴る音だけが響き、会話はひとつもない。どこか冷たい空気が漂うがもう慣れっこだ。このままいつも通りに食事が終わるのだろうと考えているとー


 「レイス。話がある。」

 「はいっ。」


 珍しく父から話しかけられた。


 「お前は確か今年で6つになるんだったな。」

 「はい。」


 子供の年齢くらい覚えておけアホ。と思ってしまう。


 「近々、お前には剣術の指南役をつけようと思う。」

 

 わお。予想外の言葉が出てきた。


 「こちらである程度候補を絞ってあるが何か希望はあるか?」

 

 好都合だな。これをうまく利用すればレヴィアナを常にそばに置いておける。よし。決めたら即実行。


 「でしたら、ぜひお招きしたい方がいるのですが。」

 「ほう。」

 「少し前に使用人が会話をしているのを聞いたのですが、なんでも女性でありながら剣技だけでドラゴンを単独討伐し、尚且つ魔法の腕も一流の冒険者がいるらしいのです。さらに、最近安定した職も探しているらしいのです。どうでしょう、メイド兼私の剣術の指南役として冒険者ギルドを経由して呼んでも良いでしょうか?」

 「‥‥‥あまりにも話ができすぎではないか?」

 

 チッ。盛りすぎたか。だがなんとしてでもレヴィアナを常に近くに置いておきたい。ここは攻め方を変えるか。


 「ですが父上、もしこれが本当だとしたら、それほどの力を持つ冒険者を囲い込んだと言うことで我が家の評価を上げることができますし、その冒険者を通して冒険者ギルドへの影響力を持つこともできます。これを逃す手はないでしょう。もし、噂が嘘だったのなら父上の選定した方の中から選びます。

 「‥‥‥いいだろう。その代わり、その冒険者を見つけるのは自分でやれ。私は一切手を出さない。一月以内にコンタクトを取れ。」

 「はい。感謝いたします父上。」


 よし。家の損得で攻めたのは正解だったな。簡単に希望が通ったな。明日あたりレヴィアナにこの件を話して辻褄合わせをしなければな。

 その後、父は食事が終わるとすぐに執務室に戻って行った。その後に続くように母と弟も出て行った。実に冷たい家族だな。そこで妹のシャルロットがまだ残っていることに気がついた。シャルロットは俺と同じ黒髪を肩のあたりまで伸ばしておりとても綺麗な顔立ちをしている。今はその綺麗な顔を赤くして口をモゴモゴと動かしている。これは()()()()()()だろうな。


 「‥‥‥‥お兄様‥‥。あの‥‥その‥‥‥。」

 「今日は一緒に寝ようか、シャル。」

 「!はい。」


 俺がシャルロットの言いたいことを汲み取って先に言ってやると、彼女はとても嬉しそうな表情を浮かべた。


 「入浴を済ませたら俺の部屋に来るといい。」

 「はい、お兄様。」



        ========



 ーコンコン

 

 「入っていいぞ。」


 入浴を済ませ部屋で待っているとノックが聞こえたので入室の許可を出す。すると、入浴を済ませた後すぐにきたためだろうか、頬をほてらせたシャルロットが入ってきた。シャルロットはテテテッとベッドの近くまでくると勢いよく俺の隣にダイブした。なんだこいつ。可愛いな。


 「ふへへ。今日もお兄様のお話が聞きたいです。」

 「ああ。もちろんだとも。」


 こうして、いつもと少し違う一日は過ぎていった。

 


 

 


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PS.次は今回登場したシャルロットが主人公に懐いている経緯についてシャルロット目線で書いていきたいと思います.

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