第一話
この小説の投稿頻度についてですが、週に1話か2話投稿します。
一章のプロットはできているので基本はこの投稿ペースを守れると思います。
レイス・ヒーヴィル。それが俺の二度目の人生での名前だ。
この世界に転生してはや5年。特にこれといった問題なく過ごしている。
だが、それも当たり前の話だろう。俺が転生したのはガルダニア王国の三代公爵家の一角であるヒーヴィル家。その嫡男なのだから。
といっても、嫡男なので将来公爵家の跡取りとなるために妹や弟よりも遥かに多くの知識を身につけなければいけない。問題はなくとも一日の多くの時間を学習に当てなければいけない。それでも、この体はかなり優秀なので夕方までには学習が終わり、自由になる。
自由になった俺が何をしているのかと言えば‥‥‥
「召喚。レヴィアナ。」
体から何かが抜けていく感覚を得ると同時に地面に魔法陣が浮かび上がる。
その魔法陣が禍々しい光を放ち始めるとそこから1人の人間‥‥いや、悪魔が現れる。
「お呼びでしょうか、召喚主」
その悪魔はゴシック調のメイド服を見に纏い、艶やかな漆黒の髪を背中まで伸ばした女の姿をしている。
基本的な見た目は普通のメイドとそう変わらないが、頭の横から生えた2本の角が彼女が人ならざるものであることを示している。
「今日も魔法を教えてもらいたい。頼めるか?」
「もちろんでございます。マスター。」
俺がレヴィアナに魔法を教わるようになったのは2年前。
俺が3歳だった頃に書庫で見つけた古い本を開き、自分の血を垂らして彼女を召喚し、「レヴィアナ」の名前を与えたことが始まりだった。
以来、俺はほぼ毎日のようにレヴィアナを召喚し魔法の研鑽を積んでいる。それもひとえに理想の"悪役"になるために。
ちなみに、この世界で魔法とは神々が人に与えた力の一つと考えられている。主な属性は火・水・地・風・光・闇だ。これらの主な属性は人々が生きていく中で特に関わることの多い事象と結びつきやすいために魔法の中心となっている。もちろん他にも多くの属性があるがここでは割愛しよう。
そして魔法を発動するためには体内にある魔力を使うことがほとんどである。さらに体内の魔力の量は生まれつき決まっているとされているので全く魔法を使うことができないという人もいる。
だがー
「それでは本日も魔力量上昇の瞑想から始めましょう。」
悪魔に言わせればそれは大きな間違いらしい。体内に持つことのできる魔力とは持久力と同じようなものらしい。適切な鍛錬を重ねれば上昇させることができ、鍛錬を怠れば自然と落ちていくものだという。なので生まれた時の魔力量というものはほとんど意味を持たないものらしい。
そして、人間にとっての魔力量を上昇させる適切な鍛錬が瞑想なのだ。俺はこれをレヴィアナと出会った時から続けているので魔力量はすでに国の宮廷魔術師に匹敵するほどだ。
だが、そんなもので俺は満足しない。俺が目指すはもっと上の高み、"悪役"なのだから。
========
「そこまで。お疲れ様でしたマスター。」
「ふぅ‥‥。今回は長かったな。また伸ばしたのか?」
「はい。これまでの時間では魔力量が上昇しにくくなってきていたので。」
瞑想の時間が長く感じたので尋ねてみるとそんな答えが返ってきた。このまま上昇させ続けたら丸一年瞑想しなければいけなくなるのだろうか。それは嫌だ。
「それじゃあ、次は魔法理論か?」
「いえ。魔法理論は今後行いません。」
「?何か問題があったのか?」
問題があったのなら直さなくてはいけない。こんなことで止まっている暇はないのだ。
「いえ。そうではなく、前回で魔法理論を全て教え終わりました。」
「は?」
「ですから、全ての魔法理論を教え終わりました、マスター。」
「それは本当か‥‥‥?」
「はい。」
「‥‥‥‥‥すぅー‥‥‥少なすぎないか?」
理解したくない。そんな思いが俺の中で渦巻いている。たかだか2年で全て学び切れるほど魔法理論は少ないのか?だとしたら俺が望む魔法を作るのは確実に不可能だ。こんなところで俺の望みは潰えるのか‥‥‥?
「‥‥スター、マスター。」
「あ、ああ。なんだレヴィアナ。」
「ですから、学び終わった魔法理論はあくまで人間のものですので、そんなに落ち込まないでください。」
「本当かッ!?」
「はい。これからは悪魔の魔法理論を学んでいただきます。人間の魔法理論より遥かに優れていますのでマスターにもご満足いただけるかと。」
よかった‥‥‥!これで俺の望みが潰えることは無くなった‥‥‥!
「じゃあ、早速始めよう。」
「マスター。そのことなのですが‥‥。」
「なんだ?」
「悪魔の魔法理論は悪魔の言葉でなければ説明できないことが多いのでこれからは実践形式で学んでいただこうと思うのですがよろしいでしょうか?」
「構わない。魔法理論が学べるのならばなんでもいい。」
「承知いたしました。では、異空間を作りますので少々お待ちを。」
レヴィアナのことは悪魔ということもあり、誰にも話していないので実践形式の訓練を行うときはこうしてレヴィアナに異空間を作ってもらいその中で行なっている。異空間の中は時間なんかもいじれるのでかなり便利なのだ。
「できました。どうぞ。」
「ありがとう。」
ああ、そうだ。そういえば今日はまだ言ってなかったな。レヴィアナには将来的に俺のハーレムに加わってもらうつもりなのだからこうした細かいことを欠かしていけないな。
「レヴィアナ。」
「はい。」
「いつもありがとう。愛してるよ。」
「はうッ!!!!」
レヴィアナが胸を押さえて崩れ落ちた。
普段クールなのでこうした姿を見るために色々工夫をしていたりする。
「き、今日は言われないと思っていたのに‥‥‥!不意打ちはズルい‥‥‥‥っ!」
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