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空と煙とついでに君と  作者: 長居夜仁
5/5

強風注意報

ごゆるりと

個人的にはタバコのお供はコーヒーが一強だと考えている。初めてタバコとコーヒーを合わせた時、何となく大人になった気がしたものだ。


と言う訳で、買ってみましたコーヒーメーカー。

これさえあればタバコのお供は自由自在という訳ですよ。

粉を入れ、水を入れて後は放置。本格的なやつはめんどくさがりの俺には合わん、自動最高。


スマホを置き、人との関わりを断ち、コーヒーを持ち、空に煙を吐き出す。

美味すぎると言う訳でもなく、不味い訳でも無い。

可寄りの不可無し。

買って良かった。

タバコにより彩りが加えられる気がする、素敵。


隣の部屋からギシギシと窓の開く音が聞こえる。

「秋斗さん、おはようございます。」と、律儀に挨拶をしてくる。

「おはよう」とだけ返し、余っていたコーヒーを飲み干す。

「また、タバコ吸ってらっしゃるんですか?」と、聞き馴染みのある声色で聞いてくる。

声色に引っ掛かりを感じながらも、深めに一吸いし、未練たらしく手元のタバコを消しながら、

「悪い、すぐ消すよ。支えなもんでね、これが無いと生きていけん」と返す。


「嫌味な言い方になってしまってすみません。そういう意味ではなく、ほら、タバコって健康に悪いじゃないですか。何故吸ってるのか少し気になって、、、」と焦った様な少し早口な返事が返ってきた。


「何故、か」と呟きながら一つの明確な自分の中の答えを隠す為の答えを探す。

「そうだな、美味いからかな。」と見つけた答えを呟く。


「美味しい、、、ですか?」と少し不快そうな彼女の声。

空いていくようで縮まる彼女の距離感に疑念を抱きながら、「ああ、美味いから」と、返す。

「健康を害したとしても?」と、少しトーンが下がった声がかけられる。

これ、面倒くさいやつだ、と思いながら「ああ」と、適当に返事をする。


「分かりました、秋斗さんタバコを辞めませんか?」と、あまり理解したく無い提案をされる。

「はい?」と口からもれる。

「秋斗さんの身体が心配なんです。秋斗さんが辞めたいと思っているならお手伝いしますので、辞めませんか?」と重ねて提案が。

「いや、別に辞めたいとまでは、」とまで言いかけた瞬間、ふと脳裏にタバコ代のせいで借りれなかった映画、映画館で観れなかった映画を思い出す。


「思わないことも無いが。」と、言ってしまった。

「であれば頑張って辞めましょう!」と嬉しそうな声が。何が嬉しいねん。生き甲斐やぞこれ。

流石に本当に面倒くさくなりそうなのでしっかりと訂正を入れる。

「いや、思う時もあるが辞める気は無いぞ」

「え、辞めないんですか?」

「え、うん」

「ですが、身体に触りますし、辞めたいと考えるときはあるんですよね?」

「まあ、はい」


「であれば」

あ、なんか嫌な予感する。すっごい面倒臭くなりそう。

「いかにタバコが害のあるのものなのかを理解して頂きます。そうすれば辞められるでしょう」


覇気に満ち溢れた声が聞こえる。とても面倒。

「また次の機会にでもお願いするよ、それじゃあ。」と言い残し、立て付けの悪い窓を無理やりこじ開けて、急いで部屋の中へ逃げ帰る。


「あ、ちょっと」と引き留める様な声が聞こえたが無視だ無視。

吸うもん吸って飲むもん飲んだなら寝るだけだ。

やたらめったらに交友関係なんて作るもんじゃなかったな、全く。と思いながら床についた。


一回ベランダに出ると3本以上吸わなければ満足出来ない男が、今日はたった1本で満足していた事には本人さえも気付いていなかった。

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