クラスメイトside:6
「負けたぜ」
涼介は負けを認めた。少し前までなら実力は涼介の方が上であった。しかし今では梨花が少しばかり上回っているようだ。
一方、少し離れた所で勇輝と七香の戦闘が繰り広げられていた。
「はぁ……はぁ……はぁ」
「どうしたの?勇輝!あなたの力はそんなものじゃないでしょ!」
その戦いを見ていた周りの者達は驚いていた。何故なら勇輝が押されはじめていたからだ。
「たぁぁぁあ!」
「くっ!だぁ!」
七香はスピードを生かして勇輝を押していた。勇輝の体には無数の傷が入っていた。由衣が治癒により何度も治していたが治してもまた傷が入る。
「はぁ……はぁ、もう限界かも」
何度も治癒能力を発動していた由衣だがそろそろ魔力に限界が来ていた。しかしそれは奏多も同じ、七香の治癒を何度も行なっていた事で魔力の限界が来ていた。つまりここからは治癒なしの戦いとなってくる。
両者、激しい攻防を続ける。勇輝も押されてはいるが何とかくらい付いていた。
「七香、まさかここまで強くなってるなんてな」
「そう?でもいいの?勇者が私なんかに負けてて」
「確かに今は負けてるな、だがこのままやられるつもりはない」
勇輝もこのままやられるつもりはなかった。両者、全力で剣を振る。
「だぁ!」
「やぁっ!」
両者、数分間激しく撃ち合っていた。そしてついに決着の時がきた。
「隙あり!」
「がぁっ!」
七香が勇輝の隙をつき勝負を決めた。そして勇輝はそのまま地に倒れる。
「勝負あり!西園寺チームの勝ち!」
勝ったのは七香、梨花、奏多のチーム。誰も予想していなかった結果に周りのクラスメイト達は驚きの表情をあらわにしていた。
「まさか、勇輝が負けた?」
「嘘でしょ?」
クラスメイト達は勇者である勇輝が負けた事に疑問の言葉を放つ。
「これは予想外だな」
クラスメイト達だけではなくリトナーもこの結果は予想できなかった事だった。しかしこの結果に驚いてはいたものの他の者達程取り乱してはいなかった者が数人いた。
「まあ、こういう事もあるでしょ」
「そうね」
「ああ、宏太や来綺、瑠璃の例もあるし」
真希、佳穂、龍弥の三人だ。この三人はリュウガ達とルーベルクにて一度再会していた。その時にみた実力、リュウガはともかく、神職者でも勇者でもない宏太、来綺、瑠璃があそこまで強かったのだ。勇者の勇輝を遥かに凌駕する程に。だからこの結果にもさほど驚いてはいなかった。
「負けたよ、七香」
「ギリギリだったけどね」
勇輝、七香は共に疲れはてていた。
それから龍弥チーム対覇龍チームの試合が行なわれた。試試合開始から数分で決着はついた。勝ったのは覇龍チームだった。
「嘘だろ?」
「龍弥、お前は強くなっただが俺には届かなかった」
「ここまで強いのかよ、もうこの強さ勇輝や七香以上じゃ……」
王馬覇龍、身長百八十五センチメートルと高身長で青髪、筋肉質の男子生徒、聖剣士で実力はクラスの中でもトップクラス、龍弥もルーベルクでの戦闘を得て強くなっていたがそれでも勝てない程だった。
「勇輝に勝った七香に勝利しクラス最強の座を得る」
「そうか、確かに今のお前の強さなら七香や勇輝にも余裕で勝てるだろう」
「ああ、だが七香を倒しても本当の意味でクラス最強ではない」
「どういう意味だ?」
「本当のクラス最強は七宮龍牙だ」
覇龍はリュウガに勝つ事こそが真のクラス最強になる事だと言った。だが龍弥はそんな事を望む覇龍にため息が出た。
「馬鹿か?お前」
「何?」
「七宮に勝てるわけねぇだろ」
「あ?やってみないとわかんねぇだろ」
「やらなくてもわかる!お前なんか七宮にかかれば瞬殺だ」
龍弥は真剣な表情で言う。実際にリュウガの強さを目の当たりにしたから言える、あれば別次元の強さ、挑もうとするのすら馬鹿馬鹿しく感じるのだ。
「ふん、まあいい次の試合、俺は一分で終わらせる」
「は?流石に厳しいだろ」
そして数十分の休憩を挟んだのちに最後の試合、七香チーム対覇龍チームの試合が行なわれた。試合開始早々覇龍は七香に激しい攻撃をする。
「おらぁぁ!」
「くっ!」
七香はなすすべなく押されている一方だった。そして試合が開始されてわずか一分、覇龍チームが勝利した。
「はぁ……まさかこんなに強いなんて」
「勇輝に勝ったのは驚いたが俺の方が上だったようだな」
七香は勇輝に僅差で勝った。しかし覇龍はその上をいっていた。
「驚いたな、まさか本当に一分でけりをつけるとは」
「ふん、いったろ」
「だがそのぐらいの実力では七宮どころか他の三人の誰にも勝てない」
「だろうな」
「なに?分かってたのか?」
「ああ、俺は確かに強くなったがあいつらは実戦を何回も経験して強くなってんだろ?」
どうやら覇龍は最初から勘づいていたようだ。自分の今の実力ではリュウガ達に勝てない事を。
リュウガは単独で魔族皇を倒せる程に瑠璃、宏太、来綺も数人がかりではあるが上級魔将を倒せる程になっている。そんなのに勝てるとは思っていなかったようだ。
「今は無理だがいずれ越えてやる」
「ま、無理だと思うがな」
覇龍はこの世界に来てから強さを求める事に真剣だった。最初はクラスの中でも中位レベルの強さだが徐々に強くなってクラス上位の強さにそして今回の戦いでこの場にいるクラスメイトの中では最強という事を証明して見せた。
「では、今日の授業はここまでだ」
リトナーは授業の終了を伝えて去る。クラスメイト達も各々、この場から去っていく。
「覇龍、ちょっといいか?」
「勇輝か、なんだ?」
「特訓に付き合ってくれ」
「いいだろう、相手してやる」
その後、勇輝と覇龍は剣による撃ち合いの特訓を始める。勇者である勇輝は誰よりも強くなる為に、覇龍はリュウガ達の強さを目指して。




