リーナVSルビオ
オレと来綺は観客席の方に戻って歩いていた。
「来綺、強くなったな」
「まだまだだ、リュウガには全く歯が立たなかった」
「十分凄いぞ、短期間でこれだけの成長は」
実際、来綺は確実に強くなっていた。予選の試合を見ても明らかだったが実際に戦って改めて体感出来た。
来綺はこれからもっと強くなる、それこそ剣技だけならば将来、オレを超える事すら可能だ。
「それはそうと来綺に話しておかなければならない事がある」
「何だ?」
オレは来綺に話した。魔族がおそらく今日このコロシアムをせめて来る事をそして魔族の奇襲に対抗する為にクレアが強者を手配してくれている事も。
「分かった、勿論オレも協力するぜ」
「ああ、おそらく敵の神職者も来るだろう、だがそれはクレアさんに任せる。来綺は中級魔族、下級魔族を頼む」
「了解だ」
来綺の実力は中級魔族と同等かそれ以上、今の来綺は加護発動前のオレよりも強い。十分戦力になってくれるだろう。
それからオレと来綺はリリス達がいる観客席の方へと戻った。
「お疲れさん、二人とも」
「ああ、完敗だったがな」
「仕方ねぇよ、相手がリュウガだったんだから」
「まあそうだよな」
来綺はあまり悔しがっていなかった。まあ宏太の言うように相手がオレだったのだ、他の相手ならともかくオレに負けたのであれば仕方がないと思っているのだろう。
「リュウガ、お疲れ」
「ありがとうリリス」
「へへ」
リリスはオレに飲み物を買って置いてくれた。オレが頭を撫でるとリリスは嬉しそうに笑った。「ああ、可愛いな」とオレはそう思った。
「リュウガもリリスも何イチャついてんのよ」
「別にイチャついてないだろ、なぁリリス」
「うん」
「つまり二人にとってこれはイチャイチャの範囲ではないと」
瑠璃に言われたがオレ達は別にイチャイチャしているつもりはなかった。だが周りから見るとどうやらイチャついてるように見えていたらしい。今度からは気をつけたいところだ。
ここで宏太は試合の準備の為、控え室へと向かっていった。
そろそろ第二試合が始まろうとしていた。ステージ上には既にリーナとルビオの姿が見受けられた。オレが思うにこの二人の実力はほぼ互角と見ている。おそらく白熱した戦いが見れるだろう。
「それでは第二試合、リーナ対ルビオ•サーマル、始め!」
開始と同時にリーナは物凄いスピードでルビオに迫り剣を振りかざした。しかしルビオはその剣を拳で止めて見せた。流石は来綺に勝っただけの事はある。
「凄いねあんた中々のスピードだよ」
「それはどうも」
ルビオはリーナのスピードを賞賛していた。リーナの速さはルビオとほぼ同等といっていいだろう。
それからは二人の激しい打ち合いが始まった。両者ともに良い動きをしていたが少しリーナの方が押しているように見えた。
「レイブン流……”昇り風龍”」
「ちっ!」
リーナの剣から風の魔法が発動された。その魔法は風の龍となってその剣に纏わり付き、リーナはその剣を下から上へと振りルビオに攻撃した。
ルビオは反応はしたが上手く避けきれずダメージをおってしまった。
「さすがは剣帝といったところだね」
「何でわたしが剣帝だと分かったの?」
「その力、明らかに剣王の力を超えているよ、だから簡単に分かったね」
ルビオに鑑定は出来ない。つまり、これまでのリーナの戦い振りで剣帝だという事を見破ったのだろう。
オレはこの勝負、珍しく真剣に見ていたがこの二人の試合は中々見応えがある、大抵の試合ははやい段階でどちらが勝つか予想が着くがこの試合は全く予想がつかなかった。
「この試合、ここからあの騎士団員は厳しい戦いになるだろうな」
「何で?……あ、獣化か」
「そうだ、リリス」
ルビオにはまだ獣化が残っている、それを使えばこの互角の勝負もルビオの優勢になるだろう。そうなればリーナの勝利は難しくなってくる。
「こっからが本番だ!……かぁぁぁぁぁぁぁあ!」
「やっぱりそうくるわね」
ルビオは獣化し、全身が獣の姿となっていた。リーナもこの事を予想はしていたが顔から冷や汗が滲み出ていた。
「この姿になったからには手加減は出来ないよ」
「上等よ、かかってきなさい」
「いくよ!」
ルビオはリーナに向かって飛びついた。先程までよりもはるかにスピードが上がっていた。ステータスで見ると俊敏性は三千近くだ。
「速い!」
ルビオはリーナに向かって拳を放つ。リーナは何とか目で追っていたが身体の方が防御に間に合わず攻撃をもろに受けてしまった。
「かぁっ!」
リーナは倒れはしなかったがかなりのダメージを受けてしまった。どうやら急所には入っていなかったようだ。もし、急所にでも入っていたら今ので終わっていただろう。
「へぇ〜驚いたよ、まだ立てるなんて」
「私は……負け……ない」
「そんなボロボロの身体で何ができる?」
ルビオの言う通り既にリーナの身体はぼろぼろだ、この状態で戦ったとしても勝つ可能性はほぼないに等しい。だがリーナの目からはまだ闘志は消えていなかった。何か奥の手でもあるのだろうか。
リーナは剣を構えて何やら集中を始めた。すると剣は光り出した。
「レイブン流奥義……”覇龍混絶”」
そう叫ぶとリーナは残りの力全てを振り絞って攻撃を始めた。しかしリーナは動いていなくその場に立ったままだ。だがリーナの剣からは先程の技と同様に龍が纏わりついているようにみえた。今度は一体だけではなく複数の龍が纏わりついていたのだ。
その龍は剣先からそのままルビオに向かって飛びついていった。その威力はかなりなものだろう。使い手の強さに目を向けず単純な技の威力だけを見るならオレの紫炎滅剣よりも上であろう。
「面白いね、でもそんな遅い攻撃当たるわけないよ」
ルビオは向かってきた攻撃を軽く避けた。今の攻撃は相当な速さだっただろうがルビオからしてみれば余裕で躱せる範囲だったようだ。
しかし、リーナの目は死んでいなかった。
「掛かったわね」
「?……何!うぁぁぁぁぁ!」
突如として龍は軌道を曲げ、ルビオの方に向かっていったのだ。しかしそれに気づかなかったルビオはその攻撃をもろにくらってしまったのだ。さすがに獣化していてもあれほどの攻撃をくらってしまえばいくらルビオでも倒れてしまう。
「これで……起き上がられたら…私の負け」
リーナはかなり息が上がっている、これで立ち上がられてしまえばリーナに勝ち目はない。
「ぐっ!……はぁ……はぁ」
「嘘でしょ!」
「負けてたまる……」
ルビオは何とか立ち上がったと思ったがそのまま獣化がとけ倒れてしまった。
「勝負あり!勝者リーナ!」
次の瞬間、会場中から大歓声が聞こえた。無理もない、この試合はルビオが勝つと予想していた人がほとんどだっただろう。その予想をリーナは覆して来たのだから。
「凄かったですね」
「リーナとルビオ二人ともとてもよかったわ。でも正直驚いたわ、ルビオは全てにおいてリーナを上回っていたわ。リーナが勝てたのは最後の奥の手が決まったおかげね」
クレアの言う通り、確実にルビオはリーナの事を攻撃力、速さ、動体視力などにおいて上回っていた。最後のあの技、くらえばオレでも多少ダメージを負うだろう。
第二試合が終わり次は第三試合、宏太と秋の試合だ。二人はそれぞれ入場し、ステージの上に向かいあっていた。
「それでは第三試合、篠原宏太対大森秋、始め!」




