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初戦闘

 オレが気配感知でモンスターを確認してから数分、気配があった方向に歩いているとモンスターらしき影が現れた。


「いたぞ!」

「見た目は狼みたいだな」


 宏太の言う通り、現れたモンスターの見た目は狼にそっくりだった。現在、四人は木陰に隠れて様子を伺っていた。


 オレは能力創造を使用して能力を造り始めた。そのほんの数秒後、オレは鑑定の能力の作成に成功した。オレはすぐさまモンスターに向かって鑑定の能力を発動させた。


―――――――――――――――

黒狼(ブラックウルフ) レベル 6

種族  狼族

攻撃力   57

体力    56

俊敏性   55

魔力    62

魔法耐性  59

物理耐性  54

―――――――――――――――


 鑑定の結果そのモンスターは黒狼ということことがわかった。ステータスから察するにオレ達の敵では無かった。


「あのモンスターは狼族の黒狼って言うモンスターだ。ステータスは俺達よりも圧倒的に下だ。能力も無いみたいだから警戒することは無いだろう」  

「もう分かったのか!流石だな」

「で、どうするの?誰がやる?」

「そうだな。敵の数は七匹だし、それぞれ二匹ずつでいいだろう。俺は一匹でいい」


 好都合に敵の数は七匹、四人全員が戦闘経験を積むことが出来る。オレはここまで歩いてくる際に様々な能力を造っていた。その中には経験値の上がりを速くせる高速成長という物もある。そのためオレは三人により多くの戦闘を積ませようとしているのだろう。


「じゃあまずは俺から行っていいか?」

「ああ」


 まず最初に出るのは宏太だ。宏太の才職はトリプル魔術師。宏太にはここまで来るまでにオレが火水風属性の初級魔術をそれぞれ一つずつ教え込んだ。


「よし、行くぞ。まずは火魔術からだ」


 そう言うと宏太は魔法を発動させる為に詠唱を始めた。実は魔法も本来は詠唱無しで発動出来る筈なのだがどのように発動するのか実際に見ないと分からないことから最初は詠唱ありで発動する方が良いとオレが言ったのだ。


「来たれ炎よ、敵を焼き払え ”火球(ファイアボール)”」


 宏太が詠唱を唱えると右手に火の球が現れ、宏太はその火の球を黒狼に目掛けて飛ばした。すると魔法が命中し黒狼は倒れてた。


「よし、やったぞ!」

「やったわね宏太」

「よし、じゃあ次は詠唱無しでやってみろ」

「分かった」


 オレにそう言われると今度は詠唱無しで魔法を発動させるために今の感じでもう一度 ”火球” を発動させようとした。だが何も起こらなかった。


「駄目だ。発動しないぞ」

「……よし、じゃあ魔法名だけ唱えて見てくれ」

「分かった。 ”火球(ファイアボール)”」


 すると魔法が発動し、黒狼目掛けて火の球が飛んだ。それは直撃して黒狼は倒れてた。


「なる程な。面倒な詠唱は要らないが最低でも魔法名は必要と言うことか」


 どうやら魔法は本来、面倒な詠唱は要らないようだが最低限魔法名だけは唱えなければ発動しないらしい。


 とにかく宏太の初戦闘は無事成功したようだ。その後も瑠璃、来綺共に何の危険もなくそれぞれ二匹ずつ倒した。


「最後は俺だな」

「リュウガ、あんまり強い魔法とかは使うなよ」

「そうよ、私達にまで被害が及ばないようにね」

「ちゃんと加減しろよ」

「ったく、それぐらい分かってる。みんなして俺を何だと思ってるんだ」


 オレのステータスはこの世界の平均を五十倍以上上回っている。三人はオレが加減しなければ自分達にも被害が出ると心配したのだろう。


「さてと、何を試そうかな」


 オレは何を試そうかと考えていた。すると黒狼がリュウガに向かって襲いかかって来た。


「リュウガ!危ない!」


 来綺がオレに向かって注意を促した。だがオレにはそんなこと当然分かっていた。オレは未だ何を試そうかと考えていたが考えごとをしながらもオレは黒狼の攻撃を余裕平然と避けていた。その光景を見て三人は全員「凄い」と声を上げていた。


「よし、やっぱりここはあれにするか」


 どの魔法で黒狼を倒すかが決まった。次の瞬間、オレは黒狼に向けて右手を構えた。


「”氷菓聖天(アブソリュートヘブン)”」


 オレは氷属性の魔法を放った。氷属性は水族性の派生で水属性の適性を持つ者なら扱うことが出来る。


 オレの放った魔法により黒狼は凍りつき、その周りおよそ半径十メートル程の地面も凍りついていた。戦闘が終わり三人もオレに近づいて来た。


「リュウガ、今の魔法は何だ?」

「ああ、今のは氷属性の中級魔法 ”氷菓聖天(アブソリュートヘブン)” だ」

「そうかもう中級魔法を使えるのか。お前の事だから驚かないが、詠唱していなかっただろ?何でだ?使うのは初めてだろ?」


 そう宏太の言う通りオレがこの魔法を使うのは当然初めてなのだ。なのにオレは中級魔法を詠唱無しで使用した。


「簡単な事だ。俺の才職は創造神、創造力に関して言えば俺の右に出る者はいない。確かに魔法本を読んだだけでは正確な動作は分からない。だが俺の創造力を持ってすれば分からない部分をイメージすることなど簡単な事だ」

「……相変わらず凄い奴だなお前は」


 オレは圧倒的なイメージ力で魔法の細かな部分を想像して初めての魔法でも無詠唱で発動することに成功したのだ。


「で、この黒狼どうする?」

「そうだな、素材になる部分だけ持っていけば街で売れるだろう。それとこいつの肉は食えるみたいだから二匹程は持って行こう」


 今のオレ達の所持金はゼロ、街に着くまでに金になりそうな素材を集めて行かなければ飯を食う金すらない。


 四人はそれぞれ素材になりそうな黒狼の毛皮、牙、爪を切り取った。それと今日の晩御飯になる黒狼二匹程をオレの空間収納に閉まった。


 空間収納にはどんな物でも入り、容量についてはほぼ無限といった感じである。さらに中の時間は止まっていて、食べ物などは腐らないようになっている。


「よし、じゃあ出発するか」


 オレ達は再び東に向かって歩き出した。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 

 あれから五日程経ち、現在四人はオレが物体創造にて造った家にいた。


「王城を出てからもう五日か。街にはいつ着くんだろうな?」

「どうだろな。でも流石にもうちょいで着くんじゃないか?」


 あれからオレ達はひたすら東に向かって歩いていた。途中何度もモンスターと出くわしたが脅威になりそうなモンスターには遭遇していない。


 戦闘経験もかなり積む事ができて四人共、大分戦いに慣れて来ている。


「それにしても私達ここ数日でかなりレベル上がったわね」

「そうだな。ここに来るまでかなりの数のモンスターと戦ったからな」


 そう、四人のレベルは順調に上がっていた。来綺、宏太、瑠璃はレベル9にオレはレベル11にまで上がっていた。


「ていうかリュウガの高速成長ずるいだろ。倒してるモンスターの数は一緒なのに俺達よりニつもレベルが上だし」

「それは仕方ないだろ、俺に備わっている能力なんだし。お前達もレベルを上げていけば時期に習得できるかもしれないだろ」

「そうであれば良いんだけど」


 来綺の言う通り四人の倒して来たモンスターの数はほぼ同じだ。それでもオレのレベルが高いのはやはり高速成長があるからだろう。この能力は本来の約1.3倍の経験値が貰えるようになっている。


「それじゃあ明日も早いしそろそろ寝ようぜ」

「ああ、おやすみ」

「おやすみ」

「おやすみ」


 四人はそれぞれ自分の部屋に戻り眠りに着いた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 

 あれからさらに四日経った。


 脅威になりそうなモンスターにも遭遇せずに順調に進んで来られた。現在四人は街の入り口前に到着していた。


「やっと着いたわね」

「ああ、ここに来るまで十日近く掛かったな」

「ここはどんな街なんだろうな?」

「えっと、ルーベルクって書いてあるな」


 この街の名前はルーベルク。この街が四人の新たな拠点となるようだ。


「街に入ったらまずはギルドを探すぞ」

「ああ、そこで冒険者登録だな」

「楽しみね」

「胸が躍るぜ」


 四人はそれぞれ冒険者になることが楽しみなようだ。オレ達は再び歩き始める。目の前のルーベルクに向けて。

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