圧倒
「Bブロック予選決勝、リュウ•セブンスター対バリス始め!」
試合開始の合図とともにバリスはオレに向かって全力の速さで飛び掛かってきた。確かに速いとは思うのだがルビオと比べるとやはり劣っている。
それに、オレにとってはたとえルビオが相手でも全くもって問題がなく対応が出来る。
「ふん、やはりこの程度か」
「なに!」
オレが軽々攻撃を防ぐとバリスは驚いていた。いくつかのフェイントを入れて攻撃してきたようだがその程度の攻撃防ぐのは当然だ。
「なら!」
「ほう、限界突破か」
限界突破で能力値を上げ攻撃をしかけてきた、先程よりも速い拳がオレの顔面目掛けて飛んできたがオレは軽くその拳を手のひらで受け止めた。
「なに!」
「おら!」
「がぁっっっはぁっ!」
オレはバリスの腹に目掛けてかなり強めの拳を当てた。次の瞬間バリスは後方に吹っ飛び強烈な痛みを感じていた。
なんとか立ち上がったバリスは口から大量の血を吐き出し、顔からは大量の汗が出ていた。
「強すぎます!セブンスター選手」
「そうね、まさに圧倒的ね」
その光景に会場中が静まり返っていた。実況のハオも呆然としていたが事情を知っているクレアは勿論平然といしてた。
「くっそ!化け物め!」
「どうした?さっさとこい」
「舐めるな!やってやる」
バリスは魔力を高めた。そして次第に身体が光り出し次の瞬間、見事な変貌を遂げていた。
「へぇ〜」
バリスはこの土壇場で初めての獣化に成功したようだ。今までのバリスは獣化が出来なかったようだがここにきて追い詰められ力が上がったのだろう。
「ここにきて獣化だ!バリス選手!」
静まり返っていた会場もバリスの獣化により再び大きな声援に包まれていった。
「獣化ね、果たしてどれ程のものか」
「いくぞ!」
バリスは先程までの速さを遥かに上回るスピードで攻撃を仕掛けてきた。その速さで残像が出来る程にだ。
「やっぱこの程度か、それじゃあ終わりにするぞ」
「がぁっ!」
オレはいとも簡単にバリスの高速攻撃を防ぐと急所に全力の一撃を放った。あまりの激痛にバリスはその場で意識を失い倒れた。
「勝負あり!勝者リュウ•セブンスター!」
オレは余裕の勝利を手にした。確かにバリスはこの世界でもかなり上に位置する強さだろう。少し前までのオレなら苦戦を強いられるだろうが今となっては余裕で倒せる相手なのだ。
「凄すぎです!」
「ええ、楽しみだわ」
「はい、本戦での活躍非常に楽しみです」
クレアの「楽しみ」という言葉はおそらく本戦での活躍という意味ではなく直接対決するのが楽しみという事だろう。
試合を終えたオレは会場を後にし皆んなのいる控え室へと戻っていった。
「リュウガやりすぎじゃない?」
「あ?本気は出してないぞ」
瑠璃にやりすぎと言われてしまったが、流石のオレもあそこまで力を出す必要はなかっただろうと思っていた。
「相変わらずの化け物地味た強さだったな」
「まあな」
宏太達も充分強いと思うのだが身近にオレという存在がいる事で自分達の強さも相当なものだという事が自覚出来ていないのだろう。
「それじゃあ行ってくるわ」
瑠璃は次の試合の為、控え室から出て行った。オレはリリスの隣に座ると目の前のモニターを見始めた。
しばらくするとステージ上に瑠璃と秋の姿が現れた。
「赤羽さん、勝てせてもらうわよ」
「先生、残念だけどそれはないですよ」
これまでの試合を見てオレ達の圧倒的な強さは分かっているはずなのにそれでもまだ諦めていなかったようだ。教師としての責務というものだろうか。
「それではCブロック予選決勝!大森秋対赤羽瑠璃始め!」
開始と同時に瑠璃は弓と矢を作成し火属性の魔法を纏わせ秋に向かって放った。その威力はかなりの物だった。
「召喚!赤鬼」
秋はすかさずモンスターを召喚した。召喚したモンスターはなんとAランクの赤鬼だった。
その赤鬼は瑠璃の放った矢を腕で叩き落とした。
「嘘でしょ!」
瑠璃は驚いていた。いや、これに関してはオレやリリス達も全員驚いていた。まさかAランクモンスターを召喚するにまで至っていたとは思ってもいなかったのだ。
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大森秋 24歳 女 レベル 40
才職 召喚士
攻撃力 522
体力 669
俊敏性 601
魔力 679
魔法耐性 652
物理耐性 605
能力:召喚術・魔術•魔物召喚・火闇属性適性・火光属性耐性・魔物鑑定・契約・以心伝心・魔力感知・気配感知・言語理解
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ステータスをみたところ他の生徒達よりも高くなっていた。それだけの覚悟があるということだろう。だが……
「”強風矢射”」
音速に近い速さの矢が赤鬼の額を貫きそのまま地に倒れた。
「そんな……」
呆然としていた隙だらけの秋に対してすかさず距離をつめ腰に装着していた短剣を突きつけた。
「降参よ」
なす術がない秋は手を上げ降参を宣言した。
「勝負あり!勝者赤羽瑠璃!」
召喚したモンスターには驚いたが勝負は瑠璃の圧勝という形で終わった。
「これで分かりましたよね」
「ええ、私の実力では例え本戦で当たっても勝てないでしょうね……でもまだリーナさんがいるわ」
「その口ぶりだと先生より強いんでしょうけど宏太には勝てないと断言できます」
リーナとかいう者はおそらくだが同じ騎士団のエルミスよりも強いのだろう。しかしエルミスが大した事がなかった事からリーナの方も知れているだろう。
「でもAランクモンスターを召喚出来るのは驚きました、どうやって契約したんですか?」
確かに今の秋の実力ではAランクモンスターと契約する事など不可能だろう。
「悪いわね、それは言えないわ」
「そうですか、ならいいですけど」
それから二人はそれぞれステージから降り会場を後にした。これで瑠璃はCブロックの一位通過者となった。そして残す予選の試合は一試合だけとなった。
Aブロックはかなりいい試合となっていたがBブロック、Cブロックはお互いの差があって一方的な試合となった。
試合が終わった瑠璃は皆んなのいる控え室へと戻ってきた。
「よくやった瑠璃」
「当然よ」
瑠璃は宏太の隣に座った。
「さてと次は俺の番だな」
そう言って宏太は控え室を出て会場の方へと向かっていった。
(なんだ?この気配)
オレは今まで会場全体に気配感知を張っていた。オレは魔族に目を付けられている上に常に奇襲に気を付けるようにしていた。
その気配感知に強力な邪気を放っている者が引っかかっていた。
「悪い、ちょっと外す」
「何?トイレ?」
「いや、ちょと野暮用だ」
「試合は見ないの?」
「どうせ宏太が勝つ」
「まあそれもそうだな」
オレは控え室を出て強力な邪気を放つ者の方へと向かっていった。
「ではこれより予選最終試合を始めたいと思います!」
これが終われば今日の予選全試合が終了となる。
本来準決勝が終了した時点で本戦出場者が出揃って決勝は意味のないものだと思われるが決勝も行なう事で本戦トーナメントの組み合わせがそれに沿ったものになるということだ。
「Dブロック予選決勝!篠原宏太対リーナ始め!」




