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異世界召喚された俺は最強職を得て無双する  作者: 鬼丸海
第二章 総合トーナメント編

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リュウガの余裕

 試合は終わったがテルシアの腹には大きな穴が空いていて血が大量に出ておりかなり危険な状態となっていた。


「仕方ない、俺が治そ……」


 オレがテルシアの傷を治そうとリングに出向こうと思った矢先、既にクレアがリング上に姿を現していた。


 だが、オレがリングから目を離したのはほんの一瞬、その間に解説席からリングに移動したという事になる。

 

(なんてスピードだ)


 オレはクレアの脅威的な速度に驚いていた。転移魔法を使ったという可能性も考えられるがその魔法を使ったという痕跡が一つも見受けられなかった。


「待って、私が治すわ」


 クレアは担架で運ぼうとしていた者達を止めてテルシアの治療に入った。しかし次の瞬間には既に治療が完了しておりテルシアの腹はすっかり元通りになっていた。時間にしてほんの一秒か二秒程、その一瞬で治してしまったのだ。


 オレは正直この数日でクレアとの差はかなり縮まったと思っていた。だが実際は全く違っていてその差は現在も大きかったのだ。


 治療が完了して数十秒後、テルシアは何事もなかったかのように立った。


「ありがとう、クレア」

「いいのよあなたは私の大事な親友なんだから」


 どうやらテルシアとクレアはお互いに良き友人、親友らしい。話し方から察するに相当仲がいいのだろう。


「いい試合だったわありがとう」

「こちらこそありがとうございます」


 テルシアと来綺は握手を交わした。テルシアの表情からは悔しい気持ちも感じられたがそれよりも喜びの感情の方が強く感じられたのだ。


 これはオレだから分かる、戦う事が何よりも好きな者に共通する感情、強い敵と戦う事に喜びを感じる、つまりテルシアもオレと同じく戦闘狂(バトルジャンキー)という事だ。


 それからクレアは解説席に戻り、テルシアと来綺はリングからおり退場していった。ちなみにこの試合は第十試合最後の試合だった為、すぐに次の第十一試合が始まった。


 それから数分が経ち、来綺が観覧席の方に戻ってきた。


「来綺、いい試合を見せてもらったぞ」


 オレは来綺に称賛の声をかけた。他の三人も「おめでとう」と声をかけた。


「でもよかったのかオレにとっておいたんだろ?あの技」

「まあな、あれを使ってなかったら負けてたのは俺だ」


 確かにあれを使っていなかったら来綺に勝算はなかっただろう。決め手となったのはあの技ではないが相手がそれに気を取られていたおかげで攻撃が決まっていたのだから結局、あの技なしでは負けていただろう。


 それから第十一試合から最後の第十六試合までが順当に行なわれた。途中第十二試合のDブロックに騎士団のリーナ、第十四試合のAブロックに龍弥が出ていた。


 二人とも、順当に一回戦を突破していた。このまま勝ち進めばおそらくリーナは宏太と龍弥は来綺と当たる事になるだろう。


 二回戦の準備が終わるまでの数十分程、休憩の時間となった。オレ達は軽く昼食を済ませて現在、賭けの最終倍率を見にきていた。


「どうなってるかしら」

「おそらく来綺がAブロック一番人気になってるだろうな」

「俺か?」

「それはそうだろう、優勝候補と言われてたエルフの剣王を降したんだからな」


 ついさっきまでの倍率はオレが6.1倍で来綺が6.2倍、瑠璃が7.5倍で宏太が5.9倍、果たしてこれがどのようになっているのかオレ達はその結果を見た。


「トータルの勝ち額はかなり減っちまったが上出来だろう」


 結果はオレが4.3倍、来綺が2.2倍、瑠璃が6.8倍、宏太が5.4倍となっていた。オレ達四人が全員一位通過出来さえすれば金貨二十枚が百枚近くになるのだから十分な勝ちと言えるだろう。


「やはり来綺の人気が上がってるな」

「本当ね」

「うん」


 来綺は試合前の時点で11番人気となっていた。だが現在は1番人気となっていてやはりテルシアを倒した事が衝撃だったのだろう。ちなみに試合前の1番人気はテルシアだった。


 それからオレ達はこの場を去り観覧席の方へと戻っていった。


「それじゃあ行ってくる」

「うん、また後でねリュウガ」


 オレは観覧席を外し、二回戦に向けて控え室の方へと向かっていった。自身の控え室の前まで行くと中から何やら気配が感じられた。気配から察するにこれはわざと気配を出している感じがした。オレは中にいる人物の正体を察し中に入った。


「やはりあなたでしたか」

「数日ぶりね、リュウガ」


 中にいたのはオレの予想通りクレアだった。しかし何故ここにクレアがいるのかは分からなかった。


「それで、俺に何のようですか?」

「私に勝てる自信はあるのかと思ってね」

「勝てるも何もまだ一回戦しか終わってませんよ」

「ふっ、あなたも分かってると思うけどこのトーナメントの参加者の中にあなたの相手になる人物は一人もいないわよ」

「まあ、確かにそうですね」


 クレアの言う通り、参加者の中にオレの相手になる者は一人もいない事は確かだ。これまでの試合を見てきても脅威になりそうな者は一人もいなかった。


「それにしてもあなたの友人達は凄いわね」

「ええ、俺もまさかこの短期間でここまで成長するとは」


 オレもクレアも三人の急激な成長には驚いていた。特に来綺はあの絶望的な状況から見事テルシアから勝利をもぎ取った。


 そして瑠璃や宏太もかなりの成長を見せていた。来綺は既に持っている力の全てを見せたが二人にはまだ隠している力があるだろう。


「それでもあなたにとっては脅威にはなり得ない」

「そうですね、力を制限すればいい勝負が出来そうですが」


 確かにこの数日で三人は大きく成長した。だがまだまだオレとの差は大きいままだ。戦闘技術はもちろんのことステータスで見ても圧倒的な差があるだろう。


「それで、二回戦も一撃で決めるつもり?」

「そのつもりですよ、雑魚相手に無駄な時間は使いたくないので」


 オレは予選の試合に関しては全て一撃で終わらせるつもりでいた。Bブロックに関しては特に注目する選手もいない為さっさと終わらせたいのだ。


「雑魚……ね、まあ私達からしたら殆どがそう見えるでしょうけど」


 神職者であるオレとクレアは普通とは程遠い力をその身に宿している。それ故にオレ達が本気を出せる相手は限られてくる。


「さてとそろそろ解説席に戻らないと行けないから……また明日リングの上で」

「ええ、また明日」


 クレアはそのまま姿を消した。転移魔法を使って戻っていったのだ。しかし先程、解説席からリング上まで一瞬で移動したのはこういう事だったとここで初めて理解した。今回は確実に転移魔法を使ったがその痕跡は一切無かった。つまりクレアは魔法の痕跡を残さずに魔法を使用する事が可能なのだ。


「それでは第二回戦を開始したいと思います!AブロックとBブロック第一試合に出場される方は入場をお願いします!」


 一回戦は四試合ずつ行なわれていたが二回戦からは二試合ずつになるようだ。


 オレはリングに上がり審判の開始の合図を待った。そして審判により開始がなった瞬間、動き出し一瞬にして勝負を決めた。時間にしておそらく1秒にも満たないだろう。


 それから特に注目される試合もなく進んでいき全ての第二回戦が終了した。宏太、瑠璃、来綺の三人も苦戦する事なく勝利を掴み、秋達も残っている全員が何とか二回戦を突破した。これにより予選各ブロックベスト8が決まり残り32人となった。


「クレアさん、二回戦一番凄かった選手は誰でしょうか」

「そうね、Bブロックに出てるセブンスター選手かしらね」

「セブンスター選手ですか……私には何が起きたのか分かりませんでしたがクレアさんの解説で凄い事は分かりました」


 オレがどうやって相手を倒したのかは常人には見えなかっただろう。しかしクレアにははっきりと見えておりオレが何をしたのかをしっかり解説していた。


 オレがやった事はただ一つ、火の中級魔法をゼロ距離で相手に放ったただそれだけだ。まず魔法を発動、その後相手に接近し放つ、その行動を僅か1秒にも満たない時間で行なったのだ。

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