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冒険の始まり

 オレ達が部屋から出て数分が経ち四人は王城の外に出て門の近くまで来ていた。すると走りながら来綺が心配そうにオレに尋ねてきた。


「なぁ、上手くここまで来れたが俺達がいなくなって今頃騒ぎになっていないかな?」

「ああ、おそらく騒ぎになってるだろうな。何も伝えずに四人も姿を消したとなればそこら中探し回られるだろう。だが安心しろそうならないように手紙を置いて来た」

「手紙?」

「ああ、だから大勢で探し回られることは多分ないだろう」


 そう言い渡すリュウガ。実はいつでも抜け出せるように昨日の内に手紙を用意していたのだ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 一方その頃、オレ達が居なくなった講堂では。


「まだ、発表していない者はいないか!いなければこれで終わりだが」


 ルドラがそう告げるが前に出てくる生徒は居なかったどうやら全員がステータスの公開を終えたようだ。


「あのー先生、七宮君と遠山君それから篠原君と赤羽さんが居ないんですけど」

「え!」


 どうやら由衣がリュウガ達がいつのまにか居なくなっていることに気づいてしまったようだ。その言葉を聞き秋先生は直ぐに部屋を見渡した。


「誰か七宮君達がどこに行ったか知らない?」


 秋先生が生徒達に尋ねるが誰からも返事はない。どうやら全員ステータス公開に盛り上がっていてリュウガ達が部屋から出たことに気づいた生徒は居なかったようだ。


「うん?これは何だ?」


 勇輝がリュウガが置いて行った手紙の存在に気づいたようだ。それを手にすると直ぐに秋先生に渡した。


「先生、机にこれが置いてありました。おそらく七宮が置いていった手紙でしょう」

「手紙?それじゃあ一先ず読み上げるわね」


 秋先生は勇輝から渡された手紙を開け生徒達全員に聞こえるように読み始めた。


「『俺達は俺達のやりたいようにする。探さないでくれ』」


 たった二言、リュウガが手紙に書いたのはそれだけだった。


「それでどうしますか先生?探さないでと書いていましたが」

「勿論探しに行くわ」


 秋先生はリュウガ達を探しに行くようだ。やはり教師として生徒のことが心配なようだ。


「待ってくれ、今から行ってもおそらく間に合わないだろう。この王城を誰にも気付かれずに出たと言うことは相当な能力を持っているはずだ。しかもこの短時間でそれを使いこなす技量、確かに我々としては是非とも欲しい逸材だ」


 ルドラは冷静にリュウガの実力を分析していた。この世界でも神職を除けばトップクラスの実力を持つルドラやアルテミスでさえ気付かなかったことからリュウガが相当の実力を持っていることに気付いたのだろう。


「それなら早く探しに行った方がいいじゃないですか?」

「探しに行くのはいいがその前に自分の才職について知って、少しでも腕を磨いてから行った方がいい。何も分からず自分自身がモンスターにやられるなんて事があるかも知れないからな。それにその七宮達は相当な力を持っているはずだ、簡単にくたばることはないはずだ」

「そういうことなら……」


 ルドラにそう言われ、納得するも秋先生は少し不安げな表情をしていた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 時間は少し遡り五分前。オレ達四人は門の数メートル手前まで来ていた。


「ちょっとこのデカい門どうするんだよ?あと二分くらいしかねぇぞ!」

「大丈夫だ、三人ともこのまま門に突っ込め!」


 オレの言葉を信じ三人は体を門に向かって突っ込んだ。すると体は門をすり抜け外に出ること成功した。


「どうなってるの?体が門をすり抜けたわよ!」

「話しは後だ取り敢えず街まで降りるぞ」


 瑠璃が不思議そうにオレに尋ねたが話しは後から、門の直ぐ外ではまだ見つかる可能性があるからだ。四人は街に向かって長い下り坂を駆け降りた。


 あれから十分程経っただろうか、既に透明過魔法の効果は切れていた。オレ達は街を歩いていた。


「何とか上手く抜け出せたみたいだな」

「そうね。ところでさっきは何で門をすり抜けられたの?」

「すり抜けられたのは当然だろ。俺が使った魔法の効果は透明と透過だからな。始めに言ってただろ、透明過魔法って」

「……あっ、そう言えばそうだったわね」


 オレは透明過魔法を使うと言った。透明は体を見えないようにする事、透過は壁をすり抜けられる事だ。


「それよりこれからどうする?」

「さすがにこの街には入れないよな。直ぐに見つかりそうだし」


 来綺の言う通りこの街は中央に王城があるので直ぐに見つかる可能性が高い。せっかく抜け出せたのに見つかって終えば全て台無しになってしまう。


「それなんだが取り敢えず東の方に向かって歩いてみないか?」

「いいんじゃないか。途中でモンスターがいたら戦いの練習になるかもしれないし」

「そうだな。戦う術は早い内に身につけていた方がいいしな」

「私も賛成だわ。リュウガがいたら危険はないだろうし」


 オレがそう提案すると来綺、宏太、瑠璃が三人共賛成した。それから四人は東に向かって歩き出した。


 あれから二時間くらい経っただろうか、オレ達は森の中で休憩をしていた。この森にはたくさんの木々が生えており森の外は中からでは見えないようになっていた。


「じゃあ、これからお前達には自分の能力を上手く使いこなせるようになってもらう。戦うにしてもまずはそこをしっかり抑えないといけないからな」

「つってもどうやったら使いこなせるようになるんだ?俺達はリュウガみたいには出来ないぞ」


 確かに来綺の言う通りオレのように直ぐに能力を使いこなすのは不可能だ。現段階で三人が使える能力は言語理解のみだ。


「安心しろ俺が能力の使い方を教えてやるから」


 そう言うとオレ達は東に向かって歩き出した。


「まずは来綺からだ。能力の剣作成だがこれは俺の創造の能力と似ているから教えやすい。まずは頭の中でどんなふうに造りたいのか具体的に考えるんだ。考えが纏まったら魔力を込めて剣作成を発動してみてくれ」

「分かった、やってみる」


 来綺は歩みを止めると目を瞑り、頭の中で考え始めた。その数十秒後目を開き右手に魔力を込め始めた。すると何もないところから剣が現れた。


「おー、出来たぞ」

「凄いな!まさか一発目で出来るとは思って無かったぞ!」


 どうやら来綺の剣作成は成功したようだ。現在、来綺の右手には片手直剣が握られていた。


「だが思った通りだった」

「何がだ?」

「ステータスをオンにして剣作成をタッチしてみろ」


 来綺はオレ言われた通りにステータスを表示し剣作成(中)の部分をタッチした。すると……


―――――――――――――――――――――

剣作成(中)

……… 効果    魔力による剣の作成

    詠唱    剣作成ソードクリエイト

    持続時間  20分

―――――――――――――――――――――


「これは、能力の説明欄か?」

「ああ、効果はどんなことが起こるのか。詠唱はどのように唱えればいいのか。持続時間はその能力が使える時間だな」

「リュウガはこれに最初から気づいていたの?」

「ああ」


 何とステータス欄の能力をタッチすればその能力の説明が表示されるようになっていた。オレは王城で始めてステータスを表示した瞬間に気付いていた。


「だが、俺は詠唱なんてしてないぞ」

「ああ、この世界の人間は殆どが基本詠唱が必要な能力には詠唱を行っているはずだ。だが本来は詠唱は要らない。この世界には当たり前のように魔力がある。だが、その分一人一人の想像力が欠けている。だから無詠唱で能力を行使すること何て考えてもいないんじゃないか?」


 オレは昨日、王城の書斎にてこの世界の知識について多くのことを調べていた。その中には能力の事についても書かれてい本があった。しかしその本には無詠唱で行使する方法はどこにも記されていなかった。


 その後、宏太と瑠璃共に持っている本来詠唱が必要とされている能力向上(弱)を無詠唱で行う事に成功した。その後も来綺は気配感知を宏太と瑠璃は気配感知と魔力感知を意識的にだが使えるようになった。


 四人がしばらく歩いているとオレは歩みを止めた。


「おい、お前ら気配感知に何匹か引っ掛かった。おそらくモンスターだ」

「『了解』」


 オレは気配感知を無意識に使えるが三人はまだ意識的にしか使えない。その気配感知によりモンスターを数匹感知したようだ。この世界には魔族以外にも人間に害をなす存在がいるそれがモンスターだ。そのモンスターの種類は数多く存在している。


「数は6、いや7匹だな」

「結構多いわね。どうするの?」

「丁度いい。このモンスター共を相手に初戦闘と行くか!」


 オレはモンスターを相手に戦闘経験を積んでおこうという考えた。

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