特級魔法
「さてと敵もAランク、そろそろあれを試してもいい頃合いだな」
「あれ?リュウガ、一体何をする気なの?」
オレとリリスは現在第百フロアに到達していた。目の前にいる敵はAランクモンスターの赤鬼でかなりレベルが上がってきていた。今までここまで来た者は一割程しかいない。
ちなみにリリスは支援がメインとなっているが万が一の時の為に攻撃の方も練習していた。勿論は基本は支援だが流れ弾や敵がリリスの方に行かないとも限らない。そういった時の為にオレは攻撃の特訓もしておいた方が良いと考えた。
「ああ、今から見せる」
そう言うとオレはその魔法を出す為に敵に向かって麻痺の魔法を掛けた。これで敵は数分の間動けなくなる。今から行なう魔法にはそれだけ時間が掛かるという事だ。
麻痺の魔法を掛け終えたオレは手を上に上げ全神経を集中させて魔法を練り始めた。
「リリス、念のためもっと後ろに下がってろ」
「分かった」
オレはリリスを後ろに下がらせた。今からやる魔法は最上級魔法のさらに上に分類される特級魔法だ。
魔法の階級は全部で六つあり下から順に初級、中級、上級、最上級、特級、そして神級に分けられている。上級までは使える者が世界に数えきれない程いるが最上級からは使える者は少なくなっている。最上級は世界に二百から三百程度、特級は三十人いるかどうかというぐらいで最高峰の神級魔法はほんの数人しかいないと言われている。
それ程に珍しいものの為、情報が少なくオレでも簡単に使う事は出来ないのだ。
(一番得意としている火属性で行くか!)
オレが得意とするのは火属性、勿論ほかの属性も難なく使いこなせているが一番相性がいいのは火属性なのだ。
(この程度じゃまだ最上級くらいか)
魔力を込め始めて数十秒経ったが未だに特級に必要な魔力が込められていなかった。徐々に敵に掛けた麻痺の魔法の効力が切れ始めて後数十秒後には動き出しそうだった。
「リュウガ!もう麻痺が切れそう!」
「分かってる!」
そして次の瞬間、ついに魔法発動に必要な魔力が溜まった。オレはすぐさま敵に手を向けて魔法発動の動作に入った。
しかしながらオレでさえ特級魔法を発動されるのにこれだけの時間を要するという事はそれだけ魔力が必要になってくるという事だ。
「よし!」
敵の上と下に二つの巨大な魔法陣が展開された。どうやらようやく準備の方が完了したようだ。
「喰らえ!我が最強の一撃を!”原子爆発”」
次の瞬間、展開されていた魔法陣から魔法が発動し半径二百メートルにも及ぶ凄まじい威力の大爆発が起こった。しかしリュウガはこの魔法を使うのに慣れていない、練習していけばさらに広範囲の大爆発を引き起こせるようになるだろう。
(まさかここまでとは……加減も出来るようにしておかないとな)
さすがにオレもこれだけ威力があるとは思っていなかったようだ。それだけにリリスを念のため後ろに下げておいて正解だった。
「リュウガ!」
戦闘が終わった事を確認しリリスが駆け寄ってきた。オレは念のため身体を見てみるがどこにも怪我がないようで安心した。
「凄い威力ね」
「ああ、だがこれはまだ序の口だ。練習すればこれの十倍の威力は出るだろう」
その言葉を聞いてリリスは驚愕の表情を浮かべた。無理もない、これの十倍ともなればたった一回の魔法で街が滅んでしまう威力になる。
「リュウガ、その魔法くれぐれも」
「分かってるて、ちゃんと周りが大丈夫なところでしか使わないから」
リリスは特級魔法を滅多な事では使わないように釘を刺した。勿論本人も分かっているが心配だったのだ。オレは常軌を逸した戦闘狂である事から強者と戦っている時こそ周りが見えなくなる事がある。そんな状況で今の魔法が放たれたりでもしたら辺りが大変な事になってしまう。
(だが妙だな、魔力が半分近くは持っていかれると思ったが三割程しか減ってないな)
魔力の減りが少ない事から疑問に思い自身のステータスを表示させた。あの中級魔族との戦闘以来オレは自分のステータスを見ていなかった。
何故見ていなかったかというとたまに見るぐらいにすれば喜びが大きくなると思ったからだ。
―――――――――――――――
七宮龍牙 17歳 男 レベル 56
才職 創造神(神職)
攻撃力 4777
体力 4833
俊敏性 5000
魔力 5103
魔法耐性 4453
物理耐性 4499
能力:魔法創造・武具創造・能力創造・物体創造・状態異常無効・全属性耐性・全属性適性・特魔術・超剣術・弓術・錬成・治癒術・透明・透過・気配感知・魔力感知・絶対鑑定・鑑定無効・魔力強化・攻撃力強化・創造力向上・俊敏性向上・超高速成長・自動治癒・限界突破・言語理解・創造神の加護
―――――――――――――――
「なっ!」
そのステータスを見てオレは驚きを隠さなかった。全てのステータスがあの時より二千程上がっており能力の数が増え、いくつかの能力が進化していた。
「リュウガ、自分のステータスの確認?……えっ!」
リリスもオレと同様に驚いていた。
増えていた能力や進化していた能力の詳細を見ている中で特に一番目を見開いたのが超高速成長というものだ。この能力は本来の二倍の速さで経験値が増えていくというものだ。
オレはこのステータスを見て分かった事があった。それはここまでのステータスの上昇は殆どがこの無限タルタロスでの事だと言う事、昨日までは全ステータスが三千台だったという事だ。
何故ならオレが上級魔族と戦ったのは昨日、そのステータスは四千に届かない程度だった。昨日の時点でこれに近いステータスがあればオレが負ける事は無かったのだ。
つまりここ無限タルタロスはレベル上げには最良の場所という事だ。
「まあ、これでもクレアさんには敵わないだろう」
「そんなに凄いのね」
「ああ、あの人なら間違いなく神級魔法を使えるだろうな」
確かにクレアならば神級魔法を使えてもおかしくない。
「あの人に勝つ為の可能性の一つとしては水属性の特級魔法を覚える事だな」
「何で水属性なの?」
「知らないのか、魔法にはそれぞれ相性があるんだよ」
「相性?」
そう、魔法には相性がある。火は風に強く、風は水に強く、水は火に強い。そして光と闇は相性がいい属性はないが相性が悪い属性も無い。
つまり火属性魔法を使うクレアにとって水属性の魔法は弱点になる。だがクレアの前ではたかが上級や最上級ではその相性も意味がないだろう。それ故に特級ならばいけるだろうとオレは考えたのだ。
「さてと、話しはここまでにして次に行きたい所だが今日はここでやめておかないか?丁度百フロアでキリがいいし」
「うん、そうしようか」
本来ならもう少し進む予定だったがキリがいい事と特級魔法の連習が出来た事で満足し、今日はここまでという事になった。
「じゃあセーブして帰るか」
「そうね」
次から百一フロアからスタート出来るよう忘れずにセーブを行ない二人は無限タルタロスを出て行った。
それからギルドへと向かった。ギルド内に入るとそこには来綺達がいた。
「おう、お前らここにいたのか!」
「ああ、リュウガ達は何やってたんだ?」
「ちょっと無限タルタロスに挑戦してだんだよ」
「無限タルタロス?」
「まあそれは後で説明してするとして……何で先生達もいるんだよ」
そう、来綺達の前には秋達が向かい合って座っていたのだ。




