クラスメイトside:2
時はリュウガと秋達が再会する数日前まで遡る。その時は丁度リュウガ達がダンジョン攻略を始めた頃だった。
「着いたぞ!ここがルーベルクだ」
王都ナーベラルを出て数日、秋達はようやくリュウガ達がいるとされるルーベルクへと到着していた。現在は馬車から降りて街の中を歩いている所だった。
「さて、まずはどこから行こうかしら」
「それならギルドに行くのがいいだろう」
秋がどこから探そうかと悩んでいるとエルミスがギルドへ行くのがいいと提案してきた。確かにギルドならば色んな情報が集まっている事から迷ったらそこに行くのが無難だろう。
「分かりました。では早速ギルドへ向かいましょう」
「では、案内しよう」
エルミスとリーナはルーベルクへ何度も来た事があるらしく街の構造もだいたいは把握している。勿論ギルドまでの道も知っているようだ。
歩き始めて数分程でギルドの前まで到着していた。
「ここがこの街のギルドだ!」
「七宮君達、無事かしら?」
「大丈夫ですよ先生」
「そうですよ、七宮に加えて赤羽もいるんですから」
秋が心配する中、梨花と龍弥はそんな秋を元気づけた。リュウガと瑠璃はクラスの中でもトップツーの頭脳を持っている。そんな二人がいれば無事に決まっていると確信していたようだ。
ギルド内に入ると中には風格のある男や筋肉質な男達が多く見受けられた。秋と生徒達は恐る恐る受付の方へと進んでいった。
今ここにエルミスとリーナがいなければ舐められて絡まれていた事だろう。実際リュウガ達も最初に入った時に絡まれているのだから。
「ようこそ!今日は何の用でしょうか?」
「ここに七宮龍牙、赤羽瑠璃、篠原宏太、遠山来綺という四人の少年は来ていないか?」
「ええ、そちらの四人でしたら我がギルド所属の冒険者です」
エルミスが四人の名前を出すと受付の女性はすぐに答えて四人がここで冒険者をしているという事が分かった。その答えを聞いた瞬間、秋と生徒達はそっと胸を撫で下ろした。
「今日はもう来たのか?」
「ええ、つい先程……大体三十分前でしょうか」
「そうか……次はいつ来るとか分からないか?」
「おそらくしばらくは来られないと思います」
女性の話しによるとリュウガ達はAランクダンジョンの方に向かって行ってその攻略には数日掛かるとされている。つまりそれまではこの街で帰りを待つ事になる。
「ダンジョン……しかもAランク!危険じゃないんですか?」
リュウガ達がAランクダンジョンに向かったという事を聞き秋は声を上げた。秋はリュウガ達の実力を知らない、心配するのも無理はないだろう。
「ええ、かなり危険ですね。でもリュウガさん達なら大丈夫なはずです」
「何で大丈夫だと?」
「リュウガさんはランクこそはBランクですが実力の程は確実にこのギルド内最強です」
そう、リュウガはこのギルド内最強の冒険者なのだ。ついこの前は試験官に擬態していた魔族の正体を見抜き討伐、更には神職者である事、それを聞いた秋達は驚愕の表情を浮かべていた。
「待て待て待て、神職者だと!?それは本当か?」
「ええ、間違いありません」
「何の神職かしら?」
「創造神ですね」
「創造神……聞いた事のない神職だ」
エルミスとリーナはリュウガが神職者であるという事が本当かどうか疑った。無理もない、本来異世界に来たばかりの者の才職が神職者である事など今まで一度もなかったのだから。
それから秋達は受付を後にしギルドを出て行った。リュウガ達はここにいると分かったがしばらくは帰って来ないだろうという事だったので当分はこの街に滞在する事になる。
そうなると宿を探さなくてはならない。秋達は街を歩きながら宿を探していった。しばらく歩いていると右手に探し求めていた宿屋が見えた。外の看板には「カール」と書かれていてた。
「ここの宿にしましょうか?」
「問題ないです」
辺りは暗くなり始めていて秋が皆んなに聞くとエルミスとリーナの二人は頷き、生徒達もその提案に賛成した。
中に入るとまず目に入って来たのは食堂で多くの人で賑わっていた。全員まだ夕食は取れていなかったので後で頂きたい所だ。
だがまずば部屋が空いているか確認しなければならない。秋達は真っ直ぐ受付の方へと向かっていった。
「部屋を五部屋頼みたいんだが」
「五部屋ですか……すいません今は四部屋しか空いてないんですよ」
「そうか……なら先生とリーナは一緒の部屋でもいいか?」
「私は構いませんよ」
「私も問題ない」
現在部屋は二人部屋が四部屋のみとなっていた。幸いにも秋とリーナが同じ部屋でも問題ないという事だったので部屋の方は無事確保出来た。
「こちら、部屋の鍵となります」
部屋割は先生とリーナ、梨花と佳穂、龍弥と真希、そしてエルミスとなった。
それから夕食をたっぷり堪能し皆んな明日に備えて眠りについた。
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あれから数日が経った、毎日かかさずギルドだけでなく街も見て周っていたがいっこうにリュウガ達には会える気配がなかった。そして今日もギルドに来ていた。
「今日は来てるかしらね、七宮君達」
「大丈夫ですよ先生、この街で冒険者をしている事は分かってるんですからいつかは会えますよ」
毎日ギルドに赴いていればいつかは必ず会える秋はそう信じていた。受付の方へと向かって歩いていると前方に何やら目立った姿の男が見えた。
身長は百八十センチメートル近くあり、髪は銀髪、目は青色でこの世界でも珍しかった。
しかし秋はその男の顔を見て少し首を傾げた。何故ならその男の顔がリュウガに似ていたからだ。顔以外は明らかに別人だったが顔が似ている事から秋は気になっていた。だが顔だけに目が行って他の事がまるで見えていなかった。
そして男が横を通り過ぎようとした瞬間、偶然にも目が合い思わず声を掛けた。
「七宮君……ですか?」
男は足を止めた。その顔からは汗が少し滲み出ていたように見えた。その表情を見て秋はより一層、男とリュウガが同一人物であるような気がしてならなかった。
「七宮?残念ですが人違いですよ」
「え!でも……いやよく見たら身長も目の色も声も違う」
「先生!どう見ても七宮じゃないですよこの人は」
「そうね、すいません人違いでした」
ここでようやく顔以外の事に目を向けて髪色も目の色、身長そして声さえも別人である事に気が付いた。髪色は染めれば変わるし目の色もカラーコンタクトを入れれば変わるが身長と声に関しては変えようがない。その事と真希の言葉でこの男とリュウガが同一人物である可能性はないと切り替えた。
そして男の横を通り過ぎようと歩き始めた瞬間、何やら後方の入り口付近から聞いた事のある声が聞こえてきた。
「リュウガ!聞くの忘れたんだけど晩ご飯の予算てどのくらい使っていい?」
「ばっ!瑠璃!今来んじゃねぇよ!」
「えっ!赤羽さん?」
聞こえてきた声は瑠璃の声だった。リュウガとは違って瑠璃の姿は変わっていなく間違えようがないので確信出来た。つまりこの男の正体はリュウガだったのだ。
しかし何故リュウガの姿がこれ程までに変わってしまったのか、それに何故他人の振りをしたのか秋は疑問でならなかった。




