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異世界召喚された俺は最強職を得て無双する  作者: 鬼丸海
第一章

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リュウガと瑠璃

 ランク昇格試験が終わりオレ達は宿の方へと帰っていた。昇格祝いと言う事でいつもより豪華な食事を注文していた。


「ランク昇格おめでとう!乾杯!」


 オレ達は乾杯し、酒を飲み始めた。前の世界では二十歳になるまで酒は飲めないと決まっていたが、この世界では十六歳から成人扱いとなり酒も飲めるようになっている。


 王城では秋から酒は飲まないように注意されていたが今となってはオレと来綺、宏太はすっかり酒にはまってしまっていた。瑠璃はたまに飲むがそこまではまってはいなかった。リリスも多少は飲めるらしい。


「く〜〜、やっぱうめぇな酒は」

「ああ、なんか癖になるんだよな」

「今までよく飲まずにいられたよな」


 現在、三人はベールと言う酒を飲んでいる。前の世界で言えばビールに似ている酒だ。三人共このベールがお気に入りの味となっている。


「それにしても驚いたわよね。まさかもう広まっていたなんて」

「ああ、魔族を単独で倒したのはそれ程凄い事なんだろうよ」


 瑠璃と宏太が言ったように既に魔族を倒した事が街中に広まっていた。いずれは街中に広まっていくと思われていたがもう知れ渡っているとは思っても見なかった。


 宿に入ってしばらくの間は大勢の人達に注目されて気を休める暇がなかった。


「で、リュウガやっぱり言えないのか?その……何で生き返れたのか」


 来綺にそう聞かれたがオレは「今は言えない」そう答えた。


「今は、って事はいずれは話してくれるの?」

「ああ、お前達ならいずれ知る事になるはずだ」

「……どういう事かよく分からないけど話すまで待ってる」


 リリスはオレの言ってる事がよく分からないでいた。いずれ知る事になる、つまりオレはこの四人全員が神職者になりえると踏んでいるのだ。


 それからしばらく話して気付けば数時間程経っていた。オレ、来綺、宏太は酒を飲みすぎてだいぶ酔っ払っていた。


「もう、三人共酔いすぎよ!少しは抑えなさいよ!」

「……ひっく……うるせぇ……俺は全然酔ってねぇぞ!」

「すんません!ベールおかわり!」


 瑠璃が三人に注意するが宏太は酔っていないと否定した。顔は全体が赤くなっていて誰からみても酔っ払っているとしか見えなかった。オレは瑠璃の言葉に聞く耳を持たずさらに追加でベールを注文した。来綺は飲み過ぎで眠りに入っていた。


「ちょっとリュウガ、まだ飲む気?」

「当たり前じゃねぇか、まだまだこれからだぜ!」


 リリスにも注意されるオレだったがこちらも聞く耳を持たなかった。


 普段は常に冷静な判断をして皆をまとめ上げているオレだが酒が入って酔っ払っている今はその判断能力を失ってまるで別人のようになっていた。


「そんなに飲み足りないならアルコールを弱める能力でも作ったら?」

「そんな事したら楽しめないだろうが」

「……そう」


 オレには現在、毒無効の能力がある。その能力があれば本来はアルコールも無効化され体には何の影響も及ぼさないはずだ。しかしそれが嫌なオレはその能力自体を一時的に解除する事で酒を飲んで酔えるようになっていたのだ。


「って、来綺は寝ちまったがいいとして宏太!お前もう飲めないのか?」

「……はぁ……まだ飲めるし!……すんません!こっちにもベール!」


 オレに煽られて宏太も追加でベールを注文した。オレも宏太もそれから来綺も既にかなりの量の酒を飲んでいた。


 オレは八本、宏太は七本、来綺も六本ととてもまだ十七歳とは思えない飲みっぷりをしていた。


「ちょっと!リュウガはともかくあんたはどう見ても限界でしょ!何注文してんの!」

「……俺はまだいける……まだ……」


 流石に限界が来てしまったのか来綺と同様眠ってしまった。


「宏太も寝ちまったか」

「で、どうする?注文したベール?」

「瑠璃も一本ぐらい飲んだらどうだ?たまには」

「まあ、そうね今日くらいは。リリスも飲んだら?」

「なら一本だけ飲もうかな」

「よし、そうかないとな。すんません!ベールもう一本追加で!」


 たまにしか飲まない二人だが今日ぐらいはと言う事で飲む事にした。注文したベールが全てテーブルに届くと三人はグラスを持ち「乾杯!」と言い飲み始めた。


「く〜〜、何度飲んでもうめぇ」

「確かに上手いわねこの酒」

「うん、初めて飲んだけど美味しい」

「だろ?」


 今回二人は初めてベールを飲んだようだがかなり気に入ったようだった。


 それから一時間程経っただろうか。オレはあれからかなりの量のベールを飲み、今飲んでいるので十四本目だ。瑠璃とリリスもベールにはまりお互いあれからおかわりもして三本目を飲み終えた所だ。


「……ひっく……流石に飲み過ぎた……」

「……当たり前よ……あんた今……何本目だと思ってるの?」


 流石のオレも飲み過ぎたようで頭が回らなくなって来た。瑠璃は普段あまり酒を飲まない事もあってか三本でかなり来ていた。


 だが瑠璃が酒に弱い訳では無くこれが普通なのだ。元いた世界ではまず酒を飲む事が出来なかったのだ。オレ達はこの世界に来て初めて酒を口にした。それなのに十七歳と言う若さで何本も飲めているオレはおかしいのだろう。


「リリスも寝ちまったし……俺ら二人になっちまったな」

「そうね……」


 瑠璃と同じく普段は酒を飲んでいないリリスは三本目を飲み終えた所で眠りに入った。


「ていうか何気に瑠璃と二人だけで話すの初めてかもな」

「言われてみればそうかも」


 思い返して見ればこの二人だけで話すのは初めてだった。二人共何を話せばいいのか分からずしばらく無言の空気が続いた。二人は水を飲みすっかり酔いも覚めていた。


「そういや瑠璃ってこの世界に召喚されたてどう思ってたんだ?」

「……そうだね、確かに最初は戸惑ったわ。私達をこの世界の事情に巻き込むなって腹も立った。だけど今となってはこの世界で生きる事も悪くないって思ってる」


 話しを聞くと瑠璃はオレと違って最初はこの世界に勝手に召喚をされて困惑していたようだ。だがこれが普通なのだ。おそらくクラスメイト達も先生も皆が最初は瑠璃と同じ気持ちだっただろう。オレを除いては。


「そうか。それならよかった」

「私はねリュウガに感謝しているのよ」

「感謝?」

「ええ、おそらくあのまま王城に残っていたらこんな楽しい毎日を送れなかったでしょうし、まあ今日は流石に駄目かと思ったけど」


 瑠璃は話しを続けた。王城に残って訓練を受ける日々を送っていたら一刻も早く元の世界に帰りたくなっていた。瑠璃はオレが王城から抜け出すと言った時「仕方ないわね、私も行くわ」と言ったが内心では感謝していたのだった。


 勿論、確実に抜け出せる保証はどこにも無かった。しかしオレなら何とかしてくれるそう信じていたのだ。


「そうか……そう思ってくれてるならよかったと思える。お前達に抜け出す事を打ち明けて」


 オレは内心、皆を自分の我儘に付き合わせているんじゃないかと心配していた。だが今回瑠璃から話しを聞いてその不安が無くなり安心した。


「で、リュウガはどうなの?この世界に来て?やっぱり嬉しかったの?」

「ああ、そうだな」


 オレはそれから話しを続けた。この世界に召喚されて皆が困惑している中、一人だけ内心わくわくしていた事。瑠璃が感謝しているようについて来てくれた事に同じように感謝している事。他にも強い者と戦う衝動が抑えられなくなる事を話した。


「リュウガが戦闘狂(バトルジャンキー)なのは前から知ってるわ」

「え!まじかよ」

「私だけじゃなくて皆も知ってるわよ」


 オレは自分が強い者との戦いを楽しんでいる事は皆には知られていないと思っていたらしい。あれだけあからさまに楽しそうな表情を浮かべていたら気付かない訳がない。


「あ!そうだったリュウガに言わないといけない事があったんだった」

「何だ?俺に言う事って?」

「私達、強くなりたいの」


 瑠璃はあのオレと魔族の戦いを見てから思っていた事をオレに伝えてきた。また、他の皆も同じように思っている事も。


「そうか、まあ強くなるのはいい事だ。俺が何とかしてやる」

「本当!ありがとう」

「だが特訓は数日空けてからにしよう。三日程は休暇にするつもりだ」


 流石に今日は色々あって皆疲れているだろうと三日間は休暇を取る事にした。それに今回の昇格により大金を手に入れた事もあってしばらくは余裕が出来るだろうと踏んだのだ。


「その休暇中にやりたい事があるんだ」

「やりたい事って?」

「家を建てようと思ってるんだ」

「家を?それって前造ったみたいな?」

「いや、あれは簡易的な物だからすぐ壊れただろ?今度はちゃんとした家だ」


 これは前から考えていた事でいずれは建てようと思っていたのだ。オレの物体創造は簡単な物ならすぐに造る事が可能だが、家などの大きな物となってくると難しくなってくる。


 前に造った家は近くにあった木などを材料にして創造していたがそれだけでは耐久性がなく一晩でぼろぼろになってしまっていた。


 オレの物体創造は物を造る力があるがその材料を造り出す事は出来ないのだ。それで今回はちゃんとした材料を揃えて家を建てようと考えていたのだ。


「そう、分かったわ何か手伝える事があったら遠慮なく言ってね」

「ああ」


 それからオレとリリスは少し話した後、眠っている来綺、宏太、リリスを部屋へと運び自分の部屋へと戻って行った。


 ちなみに夕食は金貨二枚に銀貨三枚とかなりの出費となってしまったがまだ金銭的には余裕があるので大丈夫だった。


(もうリリスも寝ちまったしあの件はまた明日にするか)


 オレはそう考えて深い眠りについた。

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