復活
リュウガが死んだ直後、魔族は笑っていた。
「ハーハッハッハッハ、ハーハッハッハッハ。創造神は倒した、ここにもう用はないが外の連中も一応殺しておくか」
この魔族やはり最初から約束を守る気などなかったようだ。魔族はフィールドの外へとゆっくり歩いて行った。
するとそれを察してアイク達が武器を構えてフィールド内へと入って来た。
「……あっ?お前ら俺とやろうってのか?さっきの戦いを見て実力の差は分かっただろう、わざわざ殺されに来てくれたのか?」
「逃げても無駄なんだろ?それに貴様リュウガとの約束を違える気か!」
「約束?そんなの守るはずないだろ」
アイク達は勝てないと分かりながら魔族に立ち向かう。せめて来綺達が逃げる時間だけでも稼ごうとしていた。
「おい!ギルドマスター達が時間を稼いでくれるみたいだ。早くこの場から逃げるぞ!」
来綺は涙を拭い、ギルドマスター達の意図を察し皆んなに声を掛けた。
「分かった。リュウガに救われた命、無駄にはできないからな」
「そうね……ここで死んだら……リュウガに申し訳ないからね」
「うん……早く逃げよう」
来綺にそう言われて宏太、瑠璃、リリスも涙を拭って立ち上がった。瑠璃とリリスはまだ少し涙声だったがそれでも前を向いて立ち直ろうとしていた。
そして来綺達はこの場から逃げようと、ふとフィールド内を見た。するとそこから衝撃の光景が目に入って来た。
その光景を見た瞬間、四人の目からは再び涙が溢れ出した。しかしこれは悲しみの涙では無く、嬉し涙だった。
フィールド内にいるアイク達もその光景を目の当たりにして立ち竦んでいた。
「おい!貴様ら何俺を前にしてぼーっとしてんだ!そんなに殺して欲しければ望み通りにしてやるよ」
「へぇー誰を殺すだって?」
「なっ!」
魔族がアイクに攻撃を仕掛けようとした瞬間、後ろから聞き覚えのある声が聞こえて来た。そして振り返るとそこには先程死んだはずのオレが目の前に立っていた。
「貴様何故生きている!貴様はこの俺が完璧に心臓を貫いて殺したはずだ!それなのに何故生きている!」
「お前に教える訳ないだろ」
魔族は酷く動揺していた。それもそのはず、先程自分の手で心臓を貫き殺したはずの相手が平然と生きているのだ。動揺しない方がおかしい。
しかしオレは教える気はなかった。いや教えないのでは無く教えられないのだ。神の加護を含めて神界で聞いた話しは全てアフラから他言無用と言われているからだ。
他の者達はあまりの事に声も出せない状態になっていた。
「それに何だその姿は先程までとはまるで見た目が変わっているぞ!」
「見た目だと?何の事だ?」
オレ自身は気づいていなかったが髪の色が銀髪に目が青色に変色していたようだ。おそらくこれは加護の影響だろう。アフラはこの事については何も言っていなかったがそれ以外に考えられなかった。
「まあいい、それよりも貴様、先程俺との約束を破って攻撃しようとしていたな」
「ふん、そんなの俺が守るとでも思ってたのか?守る訳ないだろ」
「分かっていたさ、魔族が人間との約束など端から守る気がない事ぐらい」
オレは最初からこの魔族は約束など守らないと分かっていた。
それからオレは魔族との戦いに集中する為にアイク達にフィールドから出て行くように促した。その後アイク達はすぐにフィールドを去った。
「まさかまた俺と戦うってのか?何故だか分からんが貴様の傷は完全に癒えて見た所魔力も完全に回復しているのは分かる。だがそれは俺も同じ事だ。つまり貴様は俺には勝てないという事だ」
「さて、それはやって見ないと分からないだろ」
「何度やっても同じ事だ」
そして次の瞬間、両者共に剣を出し相手に向かって勢いよく飛び出し、打ち合いが始まった。両者共に物凄いスピードで打ち合っていたが徐々にオレが押し始めて来た。
「ばかな!何故この俺が押されている?」
魔族は自分が押され始めている事に理解が及ばなかった。先程は完全に自分が押していたのに今度は自分が押されている。その事実が信じられなかったのだ。
一方、オレは余裕の笑みを浮かべいた。先程、アフラが言っていた事は本当だったらしくステータスは大幅に上昇していた。
このままではまずい、と判断した魔族は一旦距離を取った。本来得意としている魔法攻撃で攻めるつもりだ。
「くらえ、”獄炎”」
「”獄炎”」
両者の魔法はぶつかり合った。両者共譲らない勝負と思われたが、しばらくするとオレの方が押し始めた。
「何故だ!?どうなっている!?」
押され始めた魔族はオレの急な成長に違和感を持ち始めた。そしてこれはもう押し返せないと判断し魔法が直撃する前に身を躱した。
そしてすぐさまオレに向けて鑑定を行なった。
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七宮龍牙 17歳 男 レベル 30
才職 創造神(神職)
攻撃力 2888
体力 2700
俊敏性 2722
魔力 2928
魔法耐性 2670
物理耐性 2600
能力:魔法創造・武具創造・能力創造・物体創造・毒無効・全属性耐性・全属性適性・魔術・剣術・弓術・治癒術・透明・透過・気配感知・魔力感知・絶対鑑定・攻撃力強化・創造力向上・高速成長・自動治癒・限界突破・言語理解・創造神の加護
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オレのステータスは先程よりも大幅に上昇していた。これが創造神の加護の効果の一つなのだろう。
(馬鹿な!どうしてあの一瞬でステータスがここまで上がっているのだ!?……無理だ……殺される!)
ステータスの上がり具合を見て魔族はオレを恐れ始めた。顔には汗が滲み出て、表情は引きつっていた。
それに気付いたオレは顔に笑みを浮かべ始めた。
「どうした?顔が強張っているぞ」
「た……頼む見逃してくれ」
魔族は既に戦意を喪失していた。剣も魔法も全てを上回られて残された手もなく勝てないと判断したのだ。
魔族からは、最早先程までの余裕は全く感じられず、ただオレの事を恐れていた。
「見逃せだと?見逃す訳ないだろ、貴様は一度俺を殺したんた。それに俺との約束も破ったんだ、その代償は払ってもらうぞ」
「く……くそー!」
魔族は翼を広げ、全力で逃げようとこの場から立ち去ろうとした、しかしフィールドから出ようとした瞬間、いつの間にか展開されていた魔力結界に逃げ場を塞がれていた。
この魔力結界はオレが展開したものだ。魔族が逃げる可能性も考えてフィールド全体を覆う結界を事前に張っていたのだった。
「逃すと思ったか?」
「ちっ!くらえー!」
魔族は渾身の魔法を放った。直撃するが直前にオレは身体全体に魔力障壁が張っていた。
魔族は「くそー!」と叫んだ。オレはその隙を見逃さなかった。
「”鎖縛”」
「っ!くっ動けない」
魔族の立っていたすぐ下の地面に魔法陣が現れた。すると次の瞬間、そこから鎖が出て来て全身を縛った。
「どうだ?動けないだろ?」
「確かに……動けないな。だがお前は既に魔法を二つ使用している。もう魔法は出せないはずだ!」
「ふん、誰がいつ二つしか魔法を出せないと言った?」
「何だと?」
魔族の言う通り、同時に使用出来る魔法の数は二つまで。いや、先程までは二つだった。創造神の加護の発動によりオレの力は全体的に向上している。それは同時使用の魔法の数も例外では無い。今となっては三つ同時に使用する事も可能だ。
オレは地に両手を着けて全力で魔力を込め始めた。しばらくするとフィールド内の地面を殆ど埋め尽くす程の巨大な魔法陣が現れた。
「貴様……何をする気だ!?」
「さあな?」
魔族は酷く怯えていた。それもそのはず、これ程に巨大な魔法陣ともなれば上級魔法では収まらない。さらに上位の最上級魔法を使用するつもりだ。
しかし先程までのオレならば最上級魔法は扱えなかっただろう。大幅に魔力が上がった事により発動が可能となったのだろう。
「今度は魂さえも残らないだろう」
「やめろ!やめてくれ!」
すると巨大な魔法陣が赤く輝き出した。どうやら発動の準備が完了したようだ。そしてオレは自分自身が魔法に巻き込まれ無いようにフィールドの端、魔法陣が無い場所へと移動した。
「くらえ!俺の最強の魔法!」
「嫌だ!死にたく無い!」
「”炎帝”」
次の瞬間、フィールド全体が炎に包み込まれていた。炎の中は約三千度になっておりいくら魔族といえど肉体は愚か魂さえ残らない。
魔族の叫び声は聞こえて来なかった。おそらく叫ぶ暇すら無く炎を浴びた瞬間に死んでいったのだろう。
この強力な魔法により魔族は完全に死んでいった。一時はどうなるかと思ったが最後は呆気なく終わった。




