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プロローグ

 オレの名前は七宮龍牙ななみやりゅうが、大浜学園に通う十七歳の高校ニ年生、身長は百七十二センチメートルと平均的な体型をしている。現在の時刻は午前八時、今日もいつも通り学園に通っているところだ。


 オレは学校は好きではないが嫌いでもない。大半の授業、行事は嫌いだが、友達と話している時間や昼食の時間、テストの日は好きだ。


 ほとんどの生徒はテストの日やその期間中が嫌いだろうがオレは違う。そもそもオレにとっては高校生レベルの問題ならば、わざわざ学校で授業を受けずとも問題なく解けるのだ。現にこれまでのテストも期間中ほとんど勉強していないがそれでも学年1位を取り続けている。

 

 さて、時刻は午前八時十五分、今日もいつも通りの時間に教室についた。教室に入った瞬間、声がかかってきた。


「七宮くん、おはよう!」


 ニコニコと微笑みながら一人の女子生徒がリュウガに声をかけた。彼女の名は神崎由衣かんざきゆい、誰とでもフレンドリーに接するクラスの人気者だ。身長は百六十七センチメートルと女子にしては高くスタイルもよくてまるでモデルのような体型をしている。


「おはよう、神崎さん」


 オレは少し間を空けて笑みを浮かべ挨拶を返した。


 オレは友達が少ない方である。毎日のように話すクラスメイトもいるが、オレはその生徒のほとんどを友達だとは思っていない。オレにとっての友達とは話しが合う者のことを言う。しかし、周りの生徒に話しの合う者はほとんどいなくオレが話しを合わせて会話しているに過ぎなくオレにとってそれは苦痛でしかない。


 オレは由衣に挨拶を返し教室の後ろの方まで歩くと、窓側から二番目の席に腰を降ろした。席に着くと同時に鞄を下ろしていると左隣の席から声がかかってきた。


「おはよう、リュウガ」

「おはよう、来綺」


 オレは挨拶を返した。彼の名前は遠山来綺とおやまらいき。身長は百七十三センチメートルでリュウガとさほど変わらない、来綺とは1年の時も同じクラスでリュウガにとっては数少ない話しが合う友達だ。


「今日も眠たそうな顔してるな、リュウガ」

「ああ、昨日も夜遅くまでゲームしてたからな」


 そう、オレはほぼ毎日のように夜遅くまでゲームをしているのだ。そのため朝は大体寝不足になりがちだ。


「俺もやりたかったんだけど昨日は家の手伝いが合ったからな」


 来綺も大のゲーム好きでリュウガとはよくオンラインゲームでよく遊んだりしている。ちなみによくやるゲームは格闘ゲームやRPGロールプレイングゲームだ。

 

「じゃあ、今日はどうだ」

「ああ、今日ならいけるよ」

 

 オレにとってこの時間は学校生活の中でも数少ない楽しみの一つだ。


 オレと来綺がしばらく話していると二人の生徒がリュウガ達に話しかけてきた。


「おはよう、リュウガ、来綺」

「おっす、リュウガ、来綺」


 先に朝の挨拶をしてきた女子生徒の名前は赤羽瑠璃あかばねるり。ポニーテールにした長い赤髪がトレンドマークだ。身長は百六十センチメートルと女子の平均より少し高いくらいだ。


 次に朝の挨拶をしてきた男子生徒の名前は篠原宏太(しのはらこうた)。サラサラの青髪で身長は百八十二センチメートルと高身長だ。


「おはよう、瑠璃、宏太」

「よう、瑠璃、宏太」


 オレと来綺は挨拶を返した。瑠璃と宏太もオレにとっての数少ない友達で、オレにとっての友達はこの三人だけなのだ。


「お二人さん、今日も朝からお熱いねー」

「付き合ってるんだからこのくらい当たり前だろうが」


 来綺が冷やかすと宏太は平然とした態度で言葉を返した。これが付き合ってすぐのカップルなら照れる所だろうが、二人は付き合ってもう二年経つそうだ。


 ちなみに二人は小さい頃からの幼馴染だそうで家も近くよく一緒に遊んでいたそうだ。二人が付き合い始めたのは中学校の卒業式の日からだそうで、宏太の方から告白したそうだ。


 オレは学校では、ほとんどの生徒の前では偽りの自分を装って立ち回っているが、この三人に対しては素の自分を見せて接している。


「そんなことよりお前ら今日はテストの返却日だろリュウガはともかく来綺の方は大丈夫なのか?」


 そう、今日はテストの返却日だ。オレは毎回のように学年1位を取っているから問題はないのだが、来綺は毎度、赤点ギリギリなのだ。


「あ、ああ、多分大丈夫だと思う」


 宏太が聞くと来綺は自信なさげな声で答える。来綺は毎回自信があると「赤点は大丈夫」と言うのだが、そう言わないってことは相当やばいことが分かる。三人は内心「あ、今回はダメだな」と悟った。


「そう言うけどそっちはどうなんだ?」

「俺は英語以外は問題ないと思う」

「私は今回は結構自信あるんだ。今回こそは1位の座を貰うからねリュウガ!」


 来綺が聞くと宏太は英語だけ自信がなさげに答える。宏太も来綺ほどではないが勉強が苦手なのだ。特に英語は毎回赤点ギリギリのラインだ。


 それに比べて瑠璃は成績優秀だ。テストでも毎回上位3位以内には入ってくるので、毎度学年1位のオレをライバル視してくるのだ。


「俺は今回ももちろん1位になる自信しかないからな。1位の座は渡さないぞ!」


 オレは普段、授業は真面目に受けず、家でもテスト勉強などほとんどしたことはなかった。しかし、それでもオレがテストで1位以外を取ったことはなかった。


 それはオレが生まれながらの天才であるからだ。オレが八歳の頃には既に中学生レベルの問題を解けていた。そして、小学校を卒業する頃には高校生レベルの問題も完全に解けるようになっていたのだ。


 オレがなぜ天才なのかその理由は圧倒的な記憶能力にある。本来、人は1日前のことですら忘れてしまうことがある。だがオレは一度覚えたことは何年前のことであろうと絶対に忘れないほどの記憶能力を持っている。IQも非常に高く一般的には90から100辺りが平均と言われているが、オレのIQは200を超えている。これがオレが天才たる所以である。


 オレは本来テスト、順位など最初の頃は気にもしていなかったのだ。しかし、毎度1位を取ることでプレッシャーがかかり、必ずテストの前日にはテスト範囲を見直すようになったのだ。


 オレ達がしばらく話していると、始業のチャイムが鳴り教師が入ってきた。


「みんな、席についてください」


 教師が席に着くように促すと全員自分の席に着席した。この女性の名前は大森秋おおもりあき。生徒からは秋先生と呼ばれている。


 秋先生が朝の連絡事項を伝え終えると、さっそく1時間目の授業が始まる。今日の1〜3時間目の授業はテスト返しなのでリュウガにとっては気が楽だ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 時刻は昼の1時、午前中の授業が終わり昼食の時間だ。リュウガはいつも通り来綺、宏太、瑠璃と食堂で昼食を食べていた。


「そういやお前らテストどうだった?」


 オレが黙々とご飯を食べていると宏太がテストのことについて聞いてきた。


「俺はいつも通りの結果だったな。全教科満点の1位だったし」

「私は2位。国語と社会が満点だったわ」


 オレは今回も危なげなく学年1位だった。瑠璃も学年2位で2教科満点取っていることから相当勉強していたことが分かる。


「やっぱリュウガと瑠璃はすげぇな。俺は英語なんとか赤点回避できたぜ。来綺はどうなんだ?」


 宏太はなんとか英語を赤点回避できたようだ。後は来綺だが朝聞いた時は自身なさげな感じだったから三人とも心配していたのだ。赤点を取った生徒は補修授業が待っているからだ。来綺は表情を和らげて答えた。


「なんとか全教科ギリギリ赤点回避できたぜ!」

「まじか!よかったじゃねぇか」

「あんだけ自身なさそうだったのに」

「補修回避できてよかったじゃん」


 来綺はなんとか全教科の赤点を回避できたようだ。オレ達は来綺にそれぞれ言葉を返した。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 時刻は午後1時40分、5時間目の授業が始まる5分前だ。リュウガ達4人は教室の後ろで談笑していた。しばらくするとチャイムがなり教師が入ってきた。次の授業は社会だ。リュウガ達のクラスの担当は秋先生、このクラスの担任だ。


 俺が、また退屈な時間が始まるのかそう思った瞬間だった……


 教室全体が凍りついた。


 教室の中央辺りに純白に光り輝く円環と幾何学(きかがく)模様が現れたからだ。この非現実的事態は直ぐに周りの生徒達も気づいた。全員が驚いたような表情を浮かべ、輝く模様を直視する。


 その輝く模様、俗に言う魔法陣のようなものは徐々に拡大していき、教室全体を覆うほど大きく拡大した。


 多くの生徒が驚いている中リュウガは内心、胸が高鳴っていた。


(これ、アニメとかでよく見る……まさか)


 オレがそんなことを考えていると、教室にいた秋先生が咄嗟に「急いで!教室から出て」と叫んだ。それを聞いて急いで教室を出ようとした生徒がいたがドアが開かなかった。どうやらこの教室からは出られなくなっているようだ。


 次の瞬間、魔法陣が爆発したかのように光り輝きだした。数秒間輝き続けた光りが輝きをなくす頃、その教室には既に生徒も教師も誰一人としていなかった。椅子や机、散乱している教科書や筆箱はそのまま、人間だけがそこから姿を消していたのだ。

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