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【WEB版】無自覚な天才魔導具師はのんびり暮らしたい【コミカライズ連載中】  作者: 日之影ソラ
第二章

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33/67

33.ラスボスです

「全員無事だな!」

「はい。ゴーレムの残骸の撤去も終わりましたよ」

「サハギンも駆除完了っす!」

「こっちも平気、ってガルド、あんた腕を怪我してるわよ」


 イリスさんが気づいて指をさす。

 ガルドさんの右腕が赤く腫れ、わずかに出血も見られる。


「お、ほんとだ。気づかなかったぜ」

「防具を付けないからですよ」

「あれ重くて動きにくいんだよ」

「それは同感ですが……負傷しては意味ないですよ」

「大丈夫だって。これくらい唾でもつけときゃ治るっての」


 ガルドさんは平気をアピールするように怪我した腕をぶんぶんと回す。

 本当大丈夫そうではある。

 ゴーレムとの戦闘で打ち付けたのだろう。

 出血はしているが軽い怪我だ。


「あの、ガルドさん」

「ん? なんだフレア」

「よかったらこれ、使って下さい」

「なんだこれ? 腕輪?」


 私は緑色の装飾が施された腕輪をガルドさんに手渡した。


「つけてみてください」

「おう」


 彼は私に言われた通り腕輪を装備する。

 すると……。


「傷が治ったぞ!」

「回復の効果をもつ腕輪です。今くらいの軽い怪我なら治癒できます」

「すげぇな! こんなのもあるのか!」

「はい。でも時間がなかったので一つしか用意できませんでした」


 本当は人数分作りたかったけど、ブーツや他の魔導具を作るのに時間がかかった。

 余った時間で作成できたのは一つが限界だった。


「いえ十分ですよ。無茶をして怪我をするのはいつもガルドだけですから」

「オイラたちは自分で気を付けるから平気っすよ!」

「助かるわ。私は攻撃系の魔法は得意だけど、それ以外の魔法は苦手なの。回復もポーションと薬草頼りだったから」

「サンキューなフレア! これで思う存分暴れられるぜ」


 ガルドさんは力こぶを作る。


「勢い余って壊すなよ。せっかくフレアが作ってくれたんだ」

「お? なんだ殿下? 俺だけもらっていじけてんのか?」

「心配しているんだよ。腕輪の」

「俺のじゃねーのかよ!」


 楽し気な笑いが起こる。

 陽気な雰囲気は、ここがダンジョンだということを忘れそうになる。

 殿下も楽しそうだ。

 この人たちと一緒にいると、殿下は子供みたいな笑顔を見せることがある。

 

「楽しそうですね、殿下」

「ん? まぁな。最近はきな臭い事件ばかり追っていたから。そういうしがらみがない今回みたいな案件は気楽なんだよ。執務仕事も続いていたし、思いっきり身体を動かせるのは楽しい」


 無邪気に笑う殿下を見て、私も楽しくなる。

 殿下は身体を動かすことが好きみたいだ。

 

「さぁ、先に進むぞ」


 その後も、私たちの前にはダンジョンの仕掛けが立ちふさがった。

 しかし悉くを粉砕し、無傷で奥に進む。

 トラップもダンさんが見つけてくれるから引っかかる心配はない。

 順調すぎるほどあっけなく、私たちは最深部へたどり着く。


「なんかゴーレム多くねーか?」

「多いですね。ここがダンジョンであることを考慮しても多い。ここを作った偉人は、ゴーレム作りに精通した方だったのかもしれません」

「ゴーレム……」

「どうした? フレア」


 隣で殿下に声をかけられ、びくっと反応する。


「あ、いえ、ちょっと考え事を」

「そうか」


 最近ずっとゴーレムのことばかり考えているせいか。

 ゴーレムを見る度に連想する。

 前所長が残したコアを。

 徐々に完成へと近づいているけど、ここにきて大きな問題に差し掛かっていた。

 コアが完成しても、装着する器がない。

 ゴーレムはコアの精度に比例して、使用する器も変化する。

 今回作っている自立型ゴーレムなら、できる限り自由度の高い肉体が必要だ。

 私たち人間をそのままゴーレムにする……くらいじゃないとコアと釣り合わない。

 そんなの私でも作れない。

 魔導具で人間まで作れたら、それはもう神様と同じ領域だ。


「フレアは最近、よく考え事をしているな」

「え? そうですか」

「ああ。何か新しいことでも始めたのか?」

「そう、ですね。仕事以外で作りたいものができた……かなと」


 少し恥ずかしい。

 殿下にプライベートな話をするのは。


「そうか。よかった」

「殿下?」


 殿下は安心したようにホッと胸を撫でおろした。


「夢中になれるものはあるっていうのはいいことだ。現に、最近の君はどこか活き活きとしてるよ。初めて会ったころとは大違いだ」

「そ、そんなに違いますか?」

「全然違うよ。あの頃の君はただ疲れていた。けど今は、疲れと一緒にやりがいを感じているように見える」

「やりがい……そうですね。やりがいを感じています」


 殿下の元で働くようになって、自信を取り戻している。

 気持ちに余裕ができたおかげで、他にやりたいことへ意識を向けられるようになった。

 つまるところ今の私は……。


「殿下のおかげです」

「俺は何もしていないが?」

「そんなことありません」


 殿下の傍だから、こんなにも活き活きとしていられる。

 私がそう思えるから、きっとそうだ。


「そのうち教えてくれ。君のやりたいこと」

「はい」


 完成したら殿下にも見せよう。

 そう思いながら私たちは先へと進む。


 最深部。

 重厚感漂う鉄の扉を開けると、そこには広々とした空間があった。

 奥にはもう一つの扉が。

 そして中央には。


「出たな。ダンジョンのボス!」


 六本の腕を持つ巨大ゴーレムがどっしりと構えている。

 ガルドさんが剣を抜き、みんなも戦う体勢になる。

 それに呼応するように、ゴーレムは起動した。

 

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