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レベル上げ合宿 前日譚 『影に潜むモブ ~ 平凡な僕は最弱最強の漆黒の騎士 ~』 

修正 三連休 → 連休




 改めて俺のパーティーメンバー。

 色々手違いもあったがマリア、小町、千秋、カッコウ、翡翠。

 そして俺だ。

 

 カッコウと翡翠はメンバーでありながら主力メンバーではない。

 彼らは情報収集をメインでやって貰っている裏方専門である。

 最近カッコウに任せてるTDRが不穏な動きをしているが……

 とにかく、文字通り俺の黒子に徹してくれているメンバーである。

 しかし、彼らも強化は必要。

 今の俺の預金通帳を解放する事で、彼らのレベルアップも行いたい。

 時間は限られているので、どこまでレベルを上げられるのかは未知数だが。

 

「フフフ。天啓が……降りてきた」


 俺はいい事を思いついてしまったのであった。 


「計画を第二段階に進める必要があるな……最弱から始める最強のアレ計画」


 俺はニチャァァァと嗤った。


 ・

 ・

 ・


 俺はカッコウと二人で連休前の前日に会議をする為、銭湯に向かっていた。

 俺が単純に銭湯に入りたくなっただけだが。

 

 TDRの話はしない。俺は何も見てもないし、聞いてもいない。

 知らない事にしておく。あれは俺の見た白昼夢だと思う。

 そういう事にしておこう。


「連休の前って、入る前が一番ワクワクするよね」


「そうですか? 僕は入る前も入った後もワクワクしますよ。天内くん」


 カッコウは普通の男子生徒の風体になっている。

 いつもの黒ずくめの姿ではない。「閣下」呼びでもなく俺の事を「天内くん」と呼んでいるのだ。

 これは素の時は俺の友人であるからだ。


「明日は、合宿にカッコウを俺の友人として連れていく」


「ほう」


「もちろん翡翠も連れていくが、お前の妹か姉か恋人の設定にしておけ」


「翡翠さんも来るんですか!? しかも僕と、こ、恋人ですか!?」


「どうしたそんなに驚いた顔をして。まぁ落ち着け。あくまで設定、役割の話だ」


「い、いえ。少し予想外というか……その」

 カッコウは口ごもってしまった。


「まぁなんでもいいさ。取り敢えず俺の友人A、Bとして連いてくるんだ。てか本名ってなんだっけ?」


「ひ、ひどすぎる! 僕の名は薄井(うすい)(けい)ですよ!」

 カッコウは凄い剣幕で学生手帳を見せてきた。


「わかった。わかった。カッコウ。君の本名を見ると目が痛くなってくる。

 まるでかげが薄いと本能で訴えてくる。そんな名前だ。

 合宿中は『ケイ』。もうこれで統一しよう。

 もうその手帳は見せるんじゃないぞ」


 『ひ、ひどい』とカッコウは肩を落とし尋ねてきた。

「それで何をするんです?」


「カッコウと翡翠も強化せねばならないと思ってな」


「ほう。そういう事ですね」


 カッコウは頭の回転が速すぎるのだ。

「そういう事だ。影にも最低限の戦闘力は必要だと思ってな。いや違うな。強くなって貰おうと思っている」


 カッコウはまるで想定内であったという顔をしていた。

「……それで我々も強化合宿にという事ですね。諜報活動にも役に立ちますもんね」


「そゆこと」


 俺達はスーパー銭湯に着くと、お互いの背中を流し終わりサウナに入った。

 頭にタオルをかけて、おっさん共の中に混じり小声で会話を始める。 


「まず、下界に降りて俺の知る穴場ダンジョンで訓練を行う。ここは雑魚しか居ないから問題ない」


「なるほど。しかし雑魚を狩った所で大した魔素は得られないんじゃ」


「その通りだ。だが、」


 俺はカッコウにメタルペリッパなるモンスターを教えた。

 そして実践投資編も教えた。

 それには莫大な財が必要になるとも伝えた。

 彼は汗をダラダラ流しながら俺の話を食い入るように聞いていた。


「なるほど。そんなモンスターが……しかしなぜそんな事を知ってるんです?」


 まぁそうなるわな。

「それはトップシークレットだ」


 カッコウは一度目を瞑ると。

「わかりました。そういう事にしておきましょう。これ以上詮索しても無駄という事ですね」


「そうだね。話が早くて助かる。そしてここからが本題だ。俺の予定では、君には漆黒の騎士になって貰おうとも思っている」


「漆黒の騎士……ですか?」


「ああ。中間考査。つまり学園武闘祭にて上位ランカーになって貰う。

 君はその場で華々しく漆黒の騎士としてデビューする事になる。

 大会に現れた超新星。ダークホースの中のダークホース。なんなら優勝してくれても構わない」


 俺はカッコウを見据えた。

 

 なんの特徴もない外見。黒い髪に黒い瞳。

 ザ・日本人である。

 まるで個性を削ぎ落した一般の男子生徒を作ってくれ、とデザイナーに発注しデザインされただろう見た目の男。

 それがカッコウ。


 世間の一般男性の『平均』、『平凡』、『一般』、『普通』を抽出してこい、と専門機関に調査を依頼したらきっとカッコウがサンプリングされる。

 それが……カッコウ。


 そんな見た目が普通の奴にこそ、漆黒の騎士は相応しい。

 こいつには武闘祭で目立って貰う予定だ。

 最弱から最強を目指すアレをやって欲しい。


 『影に潜むモブ ~ 平凡な僕は最弱最強の漆黒の騎士 ~』。


 タイトルはこれでいこう。

 やばい。売れるなコレ。

 "名プロデューサー俺"の爆誕を感じ取ってしまった。


「な、なんですって!? 不可能だ!」


「可能だ。俺を信じろ。優勝は難しいかもしれんが、お前を必ず10番台に入着させる」


「し、しかし……」


「カッコウ。君の得手の武器はなんだったかな?」


「剣です」


「素晴らしい」

 俺は鷹揚に手を叩いた。


「普通ですよ。何の取り柄もない剣しか使えません」


「それでいいのだ。漆黒の騎士は王道騎士なのだ。逆に剣以外使ってはいけないというほどにな」


「……そうなんですか?」


「ああ。そして黒い刀身の剣も映えるな。それで得意魔術はなんだったけ?」


「才能ナシの精霊魔法です」


「それでいいのだ!」


 最高だ。

 メガシュヴァ最弱の魔法と謳われ、しかして特攻の魔法とも言われた魔法。

 この世界では才能ナシ判定されている精霊魔法。

 この魔術こそ大当たりなのだ。

 最弱から最強を目指すにはこの魔法が大当たり。

 精霊、つまりこの世界にあるマナとオドを操る魔法。

 陰陽五行から外れた能力(ちから)


 外部に火や水といったエネルギーを発現させるではなく、己の内のオド(内的魔力)と大気に満ちるマナ(外的魔力)を操る能力。それ以外できない非戦闘系魔法。

 サポート特化の魔法だ。


「精霊魔法にはドレイン(吸収)という技がある。この為だけに開発されたのが精霊魔法といっても過言ではない」


 それが精霊魔法の本懐。

 それはオドとマナの吸収と支配にある。

 そして俺が使えるようにして欲しい技。

 敵のオドを削り取る技……それがドレイン(MP吸収)だ。


「ドレイン? ですか。聞いた事がないですね。吸収という意味ですかね」


「フフフ。その通りだ。聡明なるカッコウくん。

 これからお前は武の極地を知る事になる。

 俺の"識"。唯識を伝授しよう。

 これとドレインを組み合わせる事でお前は黒き漆黒の暴風雨と恐れられる存在になるのだ」


「唯識。それと黒き漆黒……意味が重複してるような気が」

 ゴクリと唾を飲み込む音がサウナ室で流れた。


「だまらっしゃい!」

 俺は恥ずかしくなり取り敢えず吠えた。


 MPを削り取り、純粋な剣術とアーツのみで相手を追い詰める搦め手技。

 精霊魔法は非戦闘系過ぎて使いこなすのが難しい。

 超上級者にのみ許された魔法だ。

 

 飢饉と天秤を司るカイゼルマグスの基本攻撃であるMP捕食(ドレイン)の疑似再現。


「俺が鍛えるんだ。カッコウ。君は最狂の黒き剣士として生まれ変わる事になるだろう」


「は、はぁ……」

 不承不承な返答をするカッコウであった。


「カッコウの元来持つ影の薄さ。俺の基本体術と剣術。そしてドレイン。

 この三つが複合される事により、君は最弱から最強と呼ばれるサクセスストーリーを歩む事になるのだ!! 存分に『ざまぁ!』気分を味わう事になるだろう」


「後半の意味があまりわかりませんが、強くなれ、という事でいいんですかね?」


「まぁ。一言で言うと、そういう事だ! あのさ……もう暑いし出ようか」


「そうですね。僕もそろそろ限界だったんです」


「コーヒー牛乳飲む?」


「あ、僕ミネラルウォーター派なんで」


「りょーかい」


 俺達は2人してサウナ室を出たのであった。

 その後2人で飲み物を賭けた卓球をして帰ったのであった。


ハーレムタグ外そうかなと思ってるんですが……

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