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天内傑


/3人称視点/



 ―――天内傑とは?



 小町は嫌な顔をした。

「姑息で狡猾。卑怯で卑劣。金にとことん汚い男。一言で言うとゴミです」

 

 小町は一枚の写真を取り出す。


「ただ私には切り札があります。これ一枚でアイツは私の言いなりです。本物の弁護士に相談済みです」


 彼女の額に汗が滲み始める。


「アイツはもう絶対に逃げられません。責任は取らせます。最初に発見したのは私なんです。アイツは将来、私と農家になるんです。ならなかったら社会的に死にます。そう言う事になりました……」


 

 ―――天内傑とは?



 千秋はしたり顔で。

「最近ボクのお父さんにも認められたんだよね。家族公認になったんだ」


 千秋はスマホの画面を見せる。

 

「この土地。お父さんが使っていいってさ。学校を卒業したら、ここで、傑くんと2人で農業でもするんだ。ちなみに、登記はしたから、傑くんとボクの共同名義。だから、もう逃げられないんだよね」


 彼女は肩をすくめる。

 

「仕方ないからボクが貰ってあげるんだけどさ。もしかして、と最近思ってる事があるんだけど……彼は男の子が好きなのかもしれない。いや、まさかな……」


 

 ―――天内傑とは?



 マリアは、大きくため息を吐き。

「なんでも1人で解決してしまう人」


 ティーカップから口を離すと。


「そんな事より、私という美少女に振り向かないのは、どう考えてもおかしいのです!」


 彼女は地団駄を踏んだ。


「天内さんは私の未来の旦那様なのですわ。これは運命なのです。なのに振り向かないのは洗脳を受けているに違いありませんわ! 女狐のお邪魔虫が洗脳をしているのです! 」


 マリアは目の前の机を炎の魔術で溶解させる。


「コソコソ邪魔をしている魔性の女狐が多すぎます。穂村さんも千秋さんも……有象無象も。全員我がアラゴン家の栄光の前に全て叩き潰してみせますわ!」


 ヒストリーを起こした彼女は『はぁ、はぁ……』と息を切らせた。


「彼は生き残る…………きっと万事上手く行くのです」

 

 

 ―――天内傑とは?



 自分のの事を彼女だと勘違いしているフィリス。 

 彼女はもぐもぐと頬を膨らませながら。


「私の彼氏だ。なかなか見どころのある奴でな」


 彼女は、頬一杯のお菓子を呑み込むと。


「ああ。そうだったな。既に父上には報告してある。勿論父上は歓迎だそうだ。私の選んだ者ならば間違いないと言っていたぞ」


 天内の彼女でもなんでもないフィリス。

 彼女はさも当然のように。


「私は気が早いとは思うのだが、我が父は乗り気。既に挙式の準備も始めているようなのだ。やれやれ仕方のない」


 

 ―――天内傑とは?



 香乃は、つまらなそうに呟いた。

「我が使い魔にして歴代最高の騎士。あれは私よりも遥かに格上……」


 彼女は腕を組み、唸る。


「そうだ! あれの周りに女が多すぎる。実に気に食わん。馬鹿の癖に! 使い魔と主人の契約は絶対。アイツは死ぬまで私のモノ。それをわからせねばならん……だが」


 香乃は肩を落とし、瞼を閉じた。


「叶うのならば……全てが終わったら……私は、アイツと細々と生きていきたいと願っている。叶うのならばな」


 

 ―――天内傑とは?



 モリドールは神妙な面持ちで手を組むと。

「リア充は()ぜなさい」


 フッと邪悪な顔を作る。


「学生の本分は勉学にあるの。恋愛? そんな事に時間を費やすなんて私が許さない。天内くんには何度もそう教育しているわ」


 天内の友人のニクブとガリノは。

「天性の詐欺師! それにアイツは口が悪すぎる」


「汚い言葉を喋らせたらアイツの右に出る奴は居ない。恐ろしい奴だ」


 先輩のまつりは。

「あまっちは……あーしの手下」


 

 ―――天内傑とは?



 フランは確信を持って。

「我が父にして母。兄にして姉です」


 彼女は鼻高々に。


「ご主人様は最強! 不敗! 無敵! 強靭! ご主人様に掛かれば10年の冒険を3日で終わらせます。ちょちょいのチョイですわ。ご主人様の前では全ての障害は雑魚雑魚雑魚雑魚です!」


 翡翠は自分のリーダーの頭脳に畏敬の念を抱いていた。

「天稟の天才。人類史上最高の叡智を持つ救世主。それが、我がマスター。1000手先を読み、1手に数百の意味を込める。この世で愚かな事があるのならば、たった一つ。マスターを敵に回す事でしょう」


 親友のカッコウが口を開いた。

「……彼は、この世界を導く最後の希望です」



 ―――天内傑とは?



 システリッサは笑みを浮かべる。

中姉(なかねぇ)様が予言した闇に差し込む一条の光」


 システリッサは確信していた。


「彼は『誰もが持っていて、誰もその重要性に気付かない小さな力』を持つ者です。私や風音のような固有(ユニーク)ではない。彼は持っている。最も小さく、しかして、暗闇を照らし出す固有(ユニーク)を」




 ―――天内傑とは?



 

 風音は―――

「友達になりたい人」





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