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作中最高速―――



 明日から本気出す、とか。

 来年から本気出す、とか。

 それは違うのだ。


「やる気が出たら本気を出すのだ」


 思い立ったが吉日と偉い人は言ったのだ。


 俺はタイムアタック戦の課題である(フラッグ)を誰よりも早く手にしていた。


 仲間は俺がトイレに行っていると思っている。

 しかし、既に課題は攻略していた。

 それは俺が参加者の中で、最速だからだ。

 

「俺に追い付ける者など居ない。ククク」


 とはいえ、あまり派手な事をするとモブ生活に影響を及ぼす。そこで俺は細工を施してある。このタイムアタック戦、意図的に俺の映像にジャミングが入る仕様である。

 

 さて、タイムアタック戦のルールだが。

 

 ダンジョンの最奥に設置されたフラッグを入り口まで運ぶ時間を競う。


 フラッグは全部で3本。 

 さて、ここでおかしな事が起こる。

 参加チームは5チーム。

 だが、フラッグは3本しかない。


 つまり、全てのチームがフラッグを手にできるわけではない。


 自然とチーム同士の奪い合いやフラッグの防衛戦が起こる仕組みになっているのだ。


「あとはこれをダンジョンの入り口に運ぶだけ……ククク。次は得点調整の時間だな……誰を優勝者にしてやろうかな?」


 俺は1人でニヤニヤと嗤った。

 さて、なぜ俺がこんなにやる気を出しているかと言うと理由がある。


 ・

 ・

 ・


 ―――時は少し遡る。

 

 タイムアタック戦が行われる低層ダンジョン。

 入口は複数あり、各パーティーは、それぞれ異なる入口に案内された。


 タイムアタック開始まで残り10分。

 

 俺は時計を確認しながら、頬を掻いた。

 パーティーメンバーが俺の方を見て、ヒソヒソ話をしているのだ。マリアは険しい顔をしているし、小町は俺に向かって人差し指を()している。千秋は肩をすくめた。


「やり辛いなぁ~…………なんて言うか。やっぱ。ギャルゲーとかの主人公って才能なんだろうなぁ」


 そんな事をしみじみと感じていると。


 どこからともなく―――放送部と思われる生徒からアナウンスが流れ始める。


 簡単なルール説明を行った後。

 

『え~。今回の優勝チームには、総理大臣賞、記念トロフィーの授与。学園貯蔵の魔導書の授与があります』


「ふむふむ。要らないな。ふつーに要らないな」


『学園の生協からは、海外研修1年分無料と世界一周旅行を贈呈されます』


「なんだそりゃ」鼻で笑った。


『次に就職支援課と教務課からは、各省庁・各種企業・工房・研究機関への推薦状の発行と就職の斡旋が約束されます』


「こりゃあ、適当にどこかで負けるか」

 報酬がショボすぎて呆れてしまった。

  

 俺は肩をすくめた。


『次に2位のチームには、財務部からは、金一封があります。なになに……』


「金一封だと……いやいや。期待をしすぎるな。大した事ないに―――」

 

『1億円が贈呈されます』


「は?」


『ちなみに、非課税で1億です』


「な、なんだと!?」


『え~っと。それから……各種協賛企業からは、まずランボルギーニの贈呈、都内の一等地に新築住居、最後にウーバー10年分無料の贈呈となります』


「馬鹿な!? 2位の方が豪華じゃねーか!?」


『次に3位のチームには、税金の免除と債務の帳消しが付与されるという事です。以上になります。それ以外のチームには、参加賞として―――』


 そこからの記憶はない。


 一際耳に入った言葉が俺の心を奪ったからだ。

 税金の免除、債務帳消し。

 なんと魅惑的な響きの羅列だろう。


 俺は肩が震えた。


 正直な話、俺は莫大な借金のせいで、生き残っても地獄。万が一生存した場合、ヒノモトから亡命して失踪するつもりだった。


 ちなみに、この世界の俺の実家は既に抵当権に掛けられて競売中だ。しかし、光明が差し込んだ。

 

「嘘だろ。おい……」

 

 このクソみたいな茶番。

 俄然やる気がみなぎってきた。

 気合を入れ直した。


「……絶対に勝たねばならんという、天からのお告げ……。モブムーヴをしつつ適当に脱落しようと思っていたが……」


 1位なんか狙わない。

 3位が本命。最低でも2位を狙う。

 優勝? そんなものは狙わない。

 得点調整をする。 

 

 これは単純に優勝するよりも困難。


 だが、胸に誓ったんだ。


「3位になるってね」


 そんな決意宣言をした。


 



2024年内に終わらせるつもりでしたが、出来ませんでした。

敵キャラの性能を盛りすぎました。

未来視と『死』の能力が強すぎますね。

 

明けましておめでとうございます。



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