表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
406/457

―――――――――――――






 寒い場所から暖かくなった。

 微睡(まどろ)みの中。

 俺は思考の海で考えていた。





 少し、メタ的な話をしてみようか。




 例えば、『Aという作品』と『Bという作品』があったとしよう。


 この二つの作品は、それぞれまったく異なる配給元から生まれ、独自の世界観で展開されている。ジャンルも違う。

 

 わかりやすく例えるなら―――

 Aは『現代を舞台にしたラブコメ』。

 Bは『魔法の存在する中世ファンタジー』。


 当たり前だが、これら二つの物語は交わらない。

 それが自然な形だ。

 もし交わった場合、どちらの世界観も否定され、物語として崩壊してしまうからだ。

 

 例えば―――

 現代を舞台にしたスポーツ青春物語の中に、ある日突然、魔法使いが現れたら?


 あるいは―――

 サスペンスの真剣な世界に、死んでも死なないギャグキャラが登場したら?


 違和感を覚えるどころか、物語自体が破綻してしまうだろう。




 ――――――――――

 

 この前提条件の上で、俺には一つ疑問がある。

 明確な謎―――― 

 それは俺のロボ、極光(ブラックナイト)

 コイツに関してだ。


 ――――――――――

 



 俺はコイツと融合すると『究極俺』になれる。リスクはあるが、極光の力をマニュアルで操作できるようになるのだ。

 

 『極光:ブラックナイト』は甲冑姿をしているロボ。この世界で例えるなら、ゴーレム、傀儡、人形の類に近い。片言ながら意思疎通も、ある程度可能。しかし、恐らく感情はない。


 機械的な学習を行い自身の知能を進化させている。

 高度なAIとかに近いだろう。


 

 これは明らかに『魔術世界』の産物ではない。

 SF世界の技術で作られた存在だ。

 

 極光について興味深いのは、こいつの出自だ。

 そもそもコイツはメガシュヴァ制作会社の『別タイトル』のキャラクター。

 

 メガシュバというゲームでは、夏イベントにて登場した。

 スターシステム――

 つまり、他作品のキャラクターを一時的に借りた異物だったのだ。

 

 ブラックナイト。

 光剣。

 オルバース。


 これら全てスターシステムで導入されたチート。

 魔術世界にそぐわないSF的な産物。

 宇宙を舞台にした『スタウォーズ』や『スタートレック』、あるいは『ウルトラマン』のような世界から来ている。

 

 そうなってくると、ここで疑問が出てくる。 


 終末の騎士:狂乱者曰く、『メガシュバというゲーム』は『この異世界の行く末』を元に作られたモノ。メガシュバというゲームは終末の騎士:フィーニスによる異世界干渉で作られた。


 フィーニスの意図は不明だが、神のような存在ならばそれも可能だ。

 

 前世に近いこの世界は、多くの混じり物で出来た異世界文明のツギハギで出来ている。これは恐らく本当だろう。狂乱者が死に際に嘘を吐くとは思えない。何より、真実味があった。



 だが、ここで疑問が残るのだ。



 神が如き『構造の支配者』である狂乱者の(げん)が本当ならば、『別タイトル』のキャラクターである極光ブラックナイトが、この世界に存在している理由は?


 なぜ『別タイトル』の存在が『フィクション』として片付けられていない?


 俺はつい最近まで、この世界がゲームに近しい現実世界だと思っていた。疑念は持っていたが、メガシュバというゲーム背景が下地に確固としてあった。だから『極光(ブラックナイト)』を疑問には思わなかった。


 しかし―――

 終末の騎士:狂乱者が語った事が『真』ならば、『別タイトル』の存在が、より際立って異質になってしまう。

 

 

 

 つまり……何が言いたいかと言うと。




 2重でメタ的な干渉を受けている事になっている。


 一層目のメタ―――

 俺たちの住む異世界は、『ゲーム:メガシュバ』の基盤である。

 

 二層目のメタ―――

 極光のような『別タイトル』の存在がこの世界に入り込んでいる。

 

 これが何を意味するか?

 結論から言うと、繋がりがあるのがおかしいのだ。

 

 端的に言えば、『極光』という名のロボは魔術世界にいるべきではない。


 だが、俺は『これらの力』がなければ終末の騎士に対抗する事が出来なかった。そして最後の作戦にも重要な『カギ』として機能している。

 

 そんな異物。

 本来有り得ぬ産物。

 それが、なぜか『この世界の物語』に干渉する立場に居る。

 まるで、俺自身のように……


「もしかしなくても……ブラックナイトが、この世界で一番得体の知れないモノかもしれないな」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ