魔術師と騎士の物語
/3人称視点/
夜の帳が深く降りる中、一点の光も届かない闇が支配する場所があった。その中心で、鋭い眼光が闇を切り裂くように輝く。
皇帝アドニエル―――
ピクセル―――
稀代の魔術師―――
多くの異名を持つ彼は、1000年前から収集し始めた特殊な『6体の魔物』を所有していた。
彼にとって、夜の女王ですら一駒にすぎなかった。
稀代の魔術師は、世界の裏側で暗躍し続けてきた。
グリーンウッドにて豪雨を引き起こしていた『破滅の巨人』。
『真実の鏡』の奥底に潜む夢魔『感情を操る悪夢』。
ガリアを震撼させた『七つの罪の代弁者』。
英傑に寄生させている『時空の幻獣』。
グールを生み出す吸血鬼『血の契約者』。
天空都市に巣食う『星喰いの竜』。
それらすべてが、彼の指先一つで動く駒。
彼の意志によって解き放たれる深淵の獣達――。
極光の騎士。
その光に唯一対を成す者。
深淵の魔術師。
彼は指先で天体をなぞる。
悲願は間近であった。
終末の騎士フィーニスを呼び出す儀式を執り行う。
それは、世界そのものを塗り替えるための儀式。
終末の到来ではなく、永遠の生の始まり。
闇は深まり、彼の計画は静かに進行していた。




