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天空都市


 俺は身支度を整えていた。

「テントよし! 寝袋よし! 歯磨きセットよし!」

 ベーステント用のセットは全て配送済みだ。

 複数人が寝泊まりできるようの大き目のテントも購入した。

 俺はこれからあの浮遊都市へと移住する。

 なぜか俺は入寮できないらしい。

 あの後学園に問い合わせたが無理だった。

 本来、転/編入生用にも用意あるらしいのだが、事前申請必須との事。

「これだからお役所仕事はよぉ!! ふざけんじゃねぇよ!」

 俺は渋々というか、マジで渋々あのどうしようもないエルフの借家の庭に住むしか選択肢がなくなった。

 オノゴロに借家なんて借りられそうにない。

 家賃が高すぎる。

 なのでベースを張ってそこで暮らす。

 あの酒乱エルフと同棲なんて御免被る。

 入学まであと一週間を切っている。あのエルフの家の近くに行くのは入学する3日前ぐらいでいいだろう。

 1日でベースを立てて残り2日は余裕を持って行動すればいい。

 俺は2年生からの転入だから入学式には出席する義務がない。

 というより上級生で新入生の入学式に参加する者は生徒会長など限られた役職者のみのはず。

 学園初日は入学式しかイベントがない。

 その次の日には新入生歓迎の意味を込めた上級生同士が競う模擬戦チュートリアルがある。

 つまり俺はその日にようやく登校となるわけだ。

 そしてあの主人公も出席してくるはずだ。

 奴は一体どこで何をしているのか未だに謎だ。

 主人公の実家がどこにあるのかも謎だし、ゲーム的にも奴の家の事情は未知な情報が多い。

 というよりも、

「主人公。あいつ選択肢でしか喋ってなかったが、自我……あるんだろうな?」

 不安になってきた。

 主人公風音の自我については考えてなかった。

 凡ミスだ。

 プレイヤーが選択肢を選んでいたがアイツはプレイヤーの操り人形だった。

 リアルとなったこの世界でアイツがどんな存在になっているのか?

「滅茶苦茶無口なでくの坊になってる可能性すらある」

 あいつは人格者な設定だったが、無法者に育ってる可能性も微レ存だ。

 頭が痛くなってきた。

 いや、もう運命に賭けるしかない。

 頼んだぞ運命よ。

 俺は頭を切り替える。

「それにしても模擬戦か。俺は適当にやって主人公に負ければいいんだよな」

 この模擬戦、個人戦が2日、パーティ戦も2日かけて行われる。

 それぞれ初日で数を絞って、二日目で決勝戦だ。

 生徒会の連中を除く上級生による勝ち残り戦だが、ここで優勝するのはストーリー上ではネームド持ちばかりだったはず。

 ゲーム上ではここがチュートリアル。

 プレイヤーは模擬戦で基本操作を覚えていく。

 そして主人公は俺こと天内を倒す事でチュートリアルクリアだ。

 以降俺はかませ犬になる訳だが。

 主人公が模擬戦で優勝するかしないかはプレイヤーの操作スキルにもよる。

 そもそも序盤で育成もできていないので基本負けイベのはず。

 超絶プレイヤーだと優勝してしまう事もあるが、特に報酬もなかったはずだ。

 特に意味のないイベント。

 俺はぶっちゃけ初期の主人公よりは強いので負け演技を練習する必要がある。

「見せてやろう。華麗なる負けテクを」

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 空港のターミナルでようやくひと息ついた。

 前回の転入試験の時より入場審査に手間取ってしまった。

 マホロの新入生やその関係者が滅茶苦茶多く居た関係だろう。

 裏口だと思われる場所からVIPの新入生、その親類縁者が優先的に通されているようで、一般入場の審査時間が予想の倍以上掛かってしまった。

 マホロ学園は一応世界屈指の魔法学園という設定。

 世界中の王侯貴族や大企業のボンボンが居たりする。

 要人クラスの人間がゴロゴロ居るのだ。

 この浮遊都市、世界最高の治安の良さを誇る。

 そもそも他国からすれば、制空権を既に掌握している巨大な要塞があるようなものだ。

 陸とも海とも切り離されたこの地への侵入は困難。

 戦争するにしても余りにもアドバンテージが高すぎる。

 それに入場審査も厳重なもので犯罪組織が不法入場するのは難しい……という設定。

 何よりこの地の中枢にあるマホロ学園は世界屈指の魔術師が多く居る…………という、これも設定だ。


 オノゴロには大きく4ブロックしかない。


 ①マホロ学園敷地領        


 ②商業区・観光区といった営利地区


 ③別荘区(居住区)


 ④非人口区


 マホロ学園敷地領は言わずもがなマホロ学園、本編舞台の地である。

 ここには学園以外にも研究機関なども多数ある学術機関だ。



 営利地区は政府に許可を得た商業施設が立ち並ぶ地区であり、基本的にここで衣食住に必要な食糧や雑貨を仕入れる場所であり、外貨を仕入れる観光地区でもある。

 庶民が利用できる店が多数だが、途轍もなく高価なモノを扱う店も立ち並んでいたりする。

 ここは最も面積の小さい地区だ。



 別名、別荘区と呼ばれる居住区は、世界中の金持ちが住まわれる天上の地である。

 備考として借家は家賃が高すぎるし、家を建てるにも土地と箱が高すぎる。

 景観保護の観点から3階以上の住居も建てられないという条例もあったりする。


 非人口区、ここはダンジョンが点在してたり、自然公園として保護されていたり、農業や畜産を行っていたりする最も広大な地区である。

 マホロ学園の管轄する敷地もここに点在していたりする。  

 


 

 そんな事を考えながら俺は空港のターミナルであのエルフを待っていると。

「お~い! こっちこっち。遅いから心配しちゃったよ」

 手を振りながらこちらに駆け寄ってくるのは、モリドール氏であった。



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