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そして鐘の音は鳴った③ 閣下降臨


/3人称視点/


 サンバースト生数人から追いはぎした無線機と盗聴器をスパイ役に抜擢した4人に渡す。先程天内が拷問した生徒達、聖教会と士官学校生である。


 彼らは2重スパイとして抜擢されたのだ。


「準備整いました」

 ヒーラーの少女は天内に告げる。


「回復の方、ご苦労。シルバーウッドくん」


「問題なしです! お師匠様!」


 ヒーラーの少女は2重スパイの彼らの見た目だけ回復を施したのであった。


「うむ……」と、一呼吸付け。天内は目の前に整列させた4人をぐるりと見渡すと大声で叫んだ。


「感謝の言葉は!?」


「「「「 ありがとうございます!! シルバーウッド様!! 」」」」


「ふむ。最初から言われずともせよ。でくの坊共」


 規律正しく整列させられていた彼らは聖教会と士官学校の生徒達。


 天内の前には。


 過呼吸になる聖職者。

 顔を硬直させ冷や汗を流す修道女。

 青ざめた顔をする軍人。

 スカートの裾を押さえ足をガタガタと震わせる少女。

 

「ふむ。ちょっと君来たまえ」

 天内は1人の生徒を呼びつける。


 天内は顔を覗き込んだ。


「な、なんでしょう。閣下」

 サンバースト生の糸目の男は、恐怖のあまり声を上ずらせる。


「お前、裏切りそうな顔してるな」


「え?」


「では死ね」

 と、冷酷な顔をした天内は得意の高速斬撃で1人の生徒を目の前で微塵切りにし葬った。


「サイコロステーキの一丁上がり!!!」


「「「ひぃぃぃ」」」


「いいか? よく聞け。これは見せしめだ。もし我々を裏切った場合。死よりも恐ろしい罰が待っていると知れ」


 天内という男はたった数刻で聖教会と士官学校、それぞれの生徒に恐怖と言う名の首輪をハメる事に成功する。


 邪悪な笑みを浮かべた天内は、ぐるぐると整列させた生徒達の周りを練り歩く。


「お前達には盗聴器が仕掛けてある」


 ごくりと生唾を飲む音が静寂に木霊した。


「不審な行動を取った場合……わかるよなぁ?」


「「「イエッサー!!!」」」


「ふむ。良い声だ。やればできるではないか。でく共」

 と、天内は彼らを褒め、手を叩いた。


「「「お褒めに預かり光栄至極にございます閣下!!!」」」


「情報の方、定時連絡を忘れるなよ……聖職者Aくん」


「閣下に逆らおうなど毛頭ございません」


 聖職者の青年はビクビクしながら肯定した。


「修道女Aさんもだ。わかるよねぇ? 内部情報はしっかりお願いね」


「は、は、は、は、はい。全く。閣下の意に背こうなど、これっぽちも考えておりませんわ」


 修道女の女生徒は、祈るように宣言した。


「眼鏡のAさん。君は次期事務官になるんだよねぇ? 通信網の破壊……できるよねぇ?」


「か、簡単ですわ! キーボードでちょちょいのちょいです! 閣下の期待に応えてみせますわ」


 眼鏡の少女は引きつった顔をしながら承諾した。


「ふむふむ。いいねぇ。君達……笑顔は?」

 天内は邪悪な笑みを浮かべる。


「「「はひぃぃぃ」」」

 と、皆一様にぎこちない笑顔を向けた。

 

「できなかった場合はわかるよねぇ?」


「「「この命に()えても必ずや!!」」」


「よしよし。いいぞぉ。イイ感じだ」

 天内は腕を組みながら『うんうん』頷く。


「おい。天内、そろそろいいんじゃないか? 可哀そうだぞ」

 と、フィリスはうんざりしながらツッコんだ。


「なんだよ。そういうコントじゃん」


「こんと? なんだそれは?」


「みんな乗り気っていう暗号。なぁ皆!」


「「「閣下の意に背こうなど思っておりません!!!」」」


「ほらみろ!」


「なんか。反応と応答がおかしくないか?」


「そうか? お前らフィリスが心配してくれてるぞ。なんかないの?」


「「「フィリス様のお優しさに感謝感激であります!!!」」」


「だそうだ」


「なにを言ってるのだ。お前達……」

 フィリスは困惑した。



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