表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
285/457

鐘の音を鳴らせ!② 勝敗の不明点


/3人称視点/


 親善試合の前日。

 マホロの宿舎にて。


 翌日に向けて対策を行う者。

 のんびりと過ごす者。

 物思いに耽る者。

 遊興に励む者。


 など、各々自由に過ごしていた。 

 それぞれの個性が強い彼らは決して一枚岩ではなかった。 


「ルールが単純な分、不明瞭な箇所が多いな」

 ジュードはそう告げた。


 マリアは神妙な顔をして。

「ですね」


「マリアくんはどこが問題だと思う?」


「沢山ありますね」

 即答であった。


「ほう」


「まず、金槌の具体的な入手方法がわかりません。

 数、見た目など分かりやすい点は勿論。

 麓の聖堂到着時に全選手が同時に金槌にアクセスできるのか? 

 それとも先着順なのか? その明示をしていません」


「ふむ」


「それだけではありません。肝心な勝敗の判定基準も曖昧で分かりづらいです」

 マリアはルール表の②番目を指差し。




 ――――――――――――――――

 ② 72時間の制限時間内に霊峰の峰にある聖堂の鐘を、麓にあった金槌を使い鳴らす事。鳴らした瞬間に金槌を持っていたプレイヤーが所属する学園を勝者とする。

 ――――――――――――――――




「鐘を鳴らしたプレイヤーがゲーム終了時に金槌を持っていなかった場合や、金槌を別のプレイヤーに譲渡した場合の勝敗の判定基準が不明です」


「確かに。()()()()()()()()とはどこまでを指すのか?」


「そうです。簡潔なようで。実はタイミングが非常に曖昧な書き方をしているんです。鐘を鳴らし始めた瞬間を指すのか、鳴り終わった時点の瞬間を指すのか。その際の金槌の位置が明示されていません。それに……」


「瞬間的な金槌の所有権の問題」


「……ですね」


「金槌を握るプレイヤー自身が鐘を鳴らす必要があるのか? 

 直前で譲渡し別の人物が行っていいのか? 

 どのプレイヤーが金槌を持っていたと見なされるのか?」

 

「ええ。その通りです。『持っていた』という表現が曖昧なのです。

 明確にこのルール②の勝利条件をより詳細に提示するならば。


  ①鐘の音を鳴らすプレイヤーは、本人1人が金槌を握る必要がある。

  ②鐘の音が鳴り終わるまで、金槌を他プレイヤーに渡す事は出来ない。

  ③鐘の音が鳴り終わった時に上記の条件を満たしたプレイヤーが所属する学園を勝者とする。

 

 本来こう書くべきです」


「うむ。それに金槌を複数のプレイヤーが同時に持っていた場合、誰が『持っていた』と見なされるのか。場合によっては全学園ドロー。全学園、勝者ともなれるな」

  

「それに関して、ありえないと思いますが……まだまだあります」


マリアのIQが向上しました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ