表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
270/457

聞いてるか運命? あまり人間の意地を舐めるなよ!


『主人公補正』。

 物語の中で主人公が不自然なほどに強く。

 運に恵まれる特権。


 風音は物語の中で選ばれた存在だ。

 運命に守られた主人公だ。


 対して俺は、脇役。

 そんな特権は持っていない。

 

 風音の育成は出来た。

 正直撤退しても良かった……


 だが、なぜかわからないが。


 したくなかった。


 長い間磨き上げた俺の技量。

 それをリスクなしで短時間で吸収していく風音。 


 主人公特有の。

 メインキャラ特有の。

 指数関数的な爆発的な成長曲線。 


 咄嗟の事態には能力が開花する。

 理不尽なまでの運命力の強さ。

 奇跡を呼び込む引きの数々。


 それが主人公。

 それがメインキャラ。 

 選ばれし者の特権。   

 

 俺には持っていないモノ。

 モブ如きには備わっていない力。

 所詮俺はメインキャラのロイター板ぐらいでしかないだろう。

  

 正直風音が俺に勝とうが。

 どうでもいい。

 こいつがこの世界の物語を正しい結末に導いてくれれば俺はそれで満足だ。


 単純なスペックなら。

 俺はコイツの足元にも及ばない。

 それは明確な事実だ。

 初めからわかりきっていた事。


 しかし……

 果たしてそうだろうか。 

 そんな事は誰が決めたのだろう。

 

 自問自答してみた。 


 俺は単純スペックを超えた戦いは何度も超えてきた。  

 性能値で劣る俺は未来視まがいのインチキを使い物語を捻じ曲げて来た。

 策略と知恵と努力のみで乗り切った。


 ほら。俺って天才だからな。 


 モブであったカッコウは強者を上回った。

 名前すら登場しない翡翠やフラン。

 彼らはそもそも性能値なんて指標すらない。

 しかし彼らは既にそこらへんの強者と同等かそれ以上のスペックを誇る。


 目の前の聖剣使い。

 コイツは強くなった。

 俺が満足するほどに。

 いつの間にか精神性も成長しているのだからそれもまた良い。

 

 だからここからは挑戦だ。

 単なる自己満足……エゴの挑戦。


 証明してみたくなった。  

 問うてみたくなった。


『運命や物語の法則に抗う事』

 

 それがどこまで通用するか。


「いや……そもそも最初からやっていたか」


 形式として用意された運命という名のレール。 

、定められた役割。

 予め決められたシナリオ。

 生まれ持った環境・才能・運。

 目に視えない大きな流れ。

 因果の濁流とも呼べる運命はきっとあると思う。


 でも……

 

 自身の意思を持ち、その意思で行動すること。 

 他者や環境に左右されず。

 自分の意志で道を選ぶこと。

 「自己決定」を下し「自分の人生を生きる」。


 そこに本当に意味がないと言い切れるか?


 答えは否だ。否だと信じたい。

 そう思うようになった。

  

『運命と言う名の因果の濁流』

 と

『人間の自由意志』

 

 そのどちらが勝るか?


 試したくなった。 

 

『人間の意志が運命と呼ばれる数奇なシナリオを超える可能性』


 あると思う。

 いや、あると信じたい。


「証明してみたい」


 だからこれは。

 ここからは。

 俺の人生というテーマに対しての問いなんだ。


 運命に翻弄されるのではなく。

 自らの意志で新しい運命を切り開く事。

 それが俺のやってきた事。

 今も昔もやろうとしている事。

 俺はいつだってそうやって歩いてきた。


 信じている方に全ベットするのが俺のギャンブルの必勝法なんだから。

  

「聖剣使い。お前は既に負けている」


「つまらないハッタリだ」


「打破すると言ったのだ。聞こえなかったか?」


「なに?」


「主人公補正……

 形式ばった運命の枠組み(システム)

 コイツを逆手にとってやる」


 俺はハッタリにも似た自信を持って挑発した。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ