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【悲報】詰んだ件について


 俺はネット掲示板のクソ野郎どもに"ある相談"を問いかける為、スレを立てていた。

 三人寄れば文殊の知恵だ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

【悲報】俺氏、学校に入学できない件について 


1 名無しのうんこさん 20xx/02/16 21:45:27 

  俺、高校に転入できないかもしれんのだが。

  どうすればいい?


2 名無しのうんこさん 20xx/02/16 21:52:11 

  クソワロタ。とっとと働け無職


3 名無しのうんこさん 20xx/02/16 21:54:35 

  ざまぁぁぁぁぁぁぁ


4 名無しのうんこさん 20xx/02/16 22:01:20 

  素敵やん


5 名無しのうんこさん 20xx/02/16 22:01:51 

  おっさん仕事の時間だぞ


6 名無しのうんこさん 20xx/02/16 22:02:01 

  うんこ速報でクソスレ立てんな


7 名無しのうんこさん 20xx/02/16 22:03:55 

  そんな事より、

  うんこ味のカレーとカレー味のうんこ

  食うならどっち?


8 名無しのうんこさん 20xx/02/16 22:04:48 

  >>7うんこ味のカレー以外考えられん

  カレー味うんこはうんこだから。


9 名無しのうんこさん 20xx/02/16 22:05:14 

  >>8カレー味のうんこ

  ※美少女のものとする


10名無しのうんこさん 20xx/02/16 22:07:59 

  >>9やっぱカレー味のうんこだったわ


            ・

            ・

            ・

―――――――――――――――――――――――――――――――


「ふざけんな! 死ね! なんなんだよこいつら! 異世界(このせかい)でもネット民はクズしかいねぇのかよ! どうやって湧いてきてんだよ! この世界にも居るのかよ!」


 俺は憤るしかなかった。

 憤怒した。

 その後、カレーうんこ論争スレになった掲示板。

 俺は悟った。

「もう……ネットは……やめよう」

 ・

 ・

 ・

 まだ本編は始まっていない。

 俺はメガシュヴァ本編開始の1年前に転生した。

 この一年色々した。

 この世界の常識を学んだり、ダンジョンに潜って修行したり、ヒロインのバッドエンドを回避したり、

 金持ちになったり、金持ちになったり、金持ちになったり、貧乏人になったり、金持ちになったり……。

「ああ。くそ! 金の事しか浮かばない!」

 ぐしゃぐしゃと頭を掻きむしった。

 脳みそのCPUがそろばんを弾く事しか出来なくなってる。

 雑念を排除しなくては。


 まず、俺がメガシュヴァ本編を開始するのにはマホロ学園に入学する必要がある。

 てか学園に入学しない事には物語が進まない。

 物語に介入出来ない。

 今の俺の状況は非常にマズい。

 はっきり言おう。

 悲報。

「俺は入学できないかもしれない」

 ・

 ・

 ・

「てか、スカウトの人って誰だよ!?」

 喫茶店の中心で非情な雄叫びを上げた。

「ちょっとお客様……」

 恐る恐る店員が俺の顔を覗き込んできた。

「すんません。ちょっと動揺しちゃって。静かにします」

「そ、そうですか」


 もう時間がなかった。

 まもなく二月も終わる。

 俺は焦っている。

 俺の知りうる脳内データベースを洗い出してみる。

 天内が入学する設定をまとめると三つしかない。

 

 ①アダチストリートで本編開始前の凡そ1ヶ月前にスカウトされた。

 ②時間は深夜。

 ③不良もしくはチンピラを魔法でボコボコにする。


 としか公式設定には載ってなかった。


「終わっとるやんけ」

 情報が少なすぎた。

 俺の勝利の方程式には、一向に解が見当たらない。

 今までのヒロインのバッドエンド回避はドンピシャだった。

 それは恐ろしいぐらいのドンピシャ。

 もはや天が味方していると言っていいぐらい完璧だった。


 しかし天内こと俺には情報がない。

「こんなとこで"情報"に負けるのか……」

 情報は力。

 その事実は揺るがない。

 まさかこんなチンケな理由で情報に負けるだと!?


 メインヒロインというキャラクター性と天内というモブとの違い。

 メインヒロインはしっかりと練りこまれたキャラ。

 天内は公式にそこまで練りこまれてないキャラ。

 てか端役中の端役。

 モブの中のモブ。

 天内はメインヒロインより情報量が少ない。

 俺も天内の事はあんまり知らない。なんならヒロインよりも知らない。

 こいつの歩んできた歴史は知ってる。転生したてで脳みそに入って来たから。

 でもそれぐらいだ。

 己惚れていただと。

 俺はゲームメガシュヴァに詳しい単なる厄介オタクでしかなかった。

「ううぅ」

 涙が出そうだ。

 俺はなんて矮小な存在なんだろう。

 ゲームにはないストーリーには不明点が多すぎた。

「冷静になれ俺。今までの人生で培った全ての知恵を総動員しろ」

 天内のスカウトはそもそも設定のみで、ゲームの幕間にすらない。

 なんならキャラの幕間にすらない。

 天内はチュートリアルで倒される雑魚。

 その後はかませ犬。

 ダメだ。なんにもない。

「じょ……情報が……なさすぎる」

 ここ最近いつも深夜にアダチストリートに行った。

 不良は居なかった。チンピラも居なかった。

 至って平和な商店街だった。

 居たのは飲んだくれぐらい。それしか発見できなかった。

 というか、ヒロインのバッドエンド回避に動いたせいで、世界線がズレたんじゃないかとすら思っている。

 おいおい。どうすんのこれ?

 てか、マホロ学園ってどうやったら転入できんの?

「本来、居るはずのない神の視座を持つ者(オレ)の介入で完全にルートがおかしくなっちゃった……」

 俺は項垂れた。項垂れる事しかできなかった。

 懸念していた事が起こってしまっているのかもしれない。

 歴史の改ざんは大きく世界に影響を与えるとも聞く。

「バタフライエフェクト起っちゃってるよ。これ。どうしよ」

 

 俺は焦りからか万が一も考え、マホロ学園のパンフレットをなんとか探し出した。

 ネットに情報は全くといっていいほどなく、この世界でも跳梁跋扈してるネットのクソ野郎どもの虚言ぐらいしか発見できなかった。

 俺はなんとかオンボロ古書店に日夜通い、パンフレットを見つけた。

 そこに書かれていたのは、新入生以外応募方法がないという事実。

 そしてあくまで推測の域を出ないが、2年生からの転入・編入、これはスカウトしかないという憶測。

「終わった」

 詰みました。投了。

「いや、まてまて俺。作戦を考えろ。このままではゲームオーバー。マジで天内として生きてくそんな人生になってしまう。本編に入れないとか意味不明だろ流石に」


 必殺技という名のインチキ技を取得した。

 使える魔法の種類も増やした。

 武器術も体術もそれなりになった。

 スキルもアーツも有用なものは片っ端から取った。

 そんな苦労も全て徒労に終わるのかもしれない。

 もしかしたら、天内入学ルートを見逃したのかもしれない。

「ダメじゃん。やっぱ詰んどるやん」


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