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金融理論を魔術世界に応用する男 副題:『-C・C・C』

上手く言語化出来ているか自信なしです。修正するかもです。


 俺はクラス戦に突入する前の時空に跳躍したようなのだ。この時空の『過去俺』は中間考査の勉強でどうしようか考えている時分。


 そんな俺はボロ本片手に5つ星レストランで飯を食っていた。 

 ちなみに未来から来た俺は金はない。

 

「なので、この時代の俺に売り掛けして貰う。完璧だな。さてと……」


 過去に遡ってわかった事がある。


「歴史の修正力。大きな見えざる手が働いている……か。なんか予想通りだな」

 

 俺は真っ先に俺に接触しようとした。この時空の俺に事情を説明すれば、天才俺ならば一言話しただけで理解するはずであると考えたからだ。


 しかしそれは不可能であった。

 

「そもそも俺が俺自身と接触した記憶がないから当たり前と言えば当たり前か」


 例えば、俺は俺と接触する事が出来ない。

 

「しようとすると、必ず邪魔が入る」


 その邪魔すらも乗り越え、無理矢理接触を試みてみた。

 が無駄だった。

 身体が動かなくなり、見えない壁のような障壁に阻まれた。

 

「俺の記憶にない出来事は発生しない。発生しないよう強制力が働く。他の奴視点でも俺と接触した記憶が無ければ俺は当該第三者に絶対に接触する事が出来ない」


 副次的に言えば、ブラックナイト。

 つまり極光の騎士の姿形を知る者の前では俺の切り札たるブラックナイトの呼び出しは発動出来ないという事になる訳だが……


 ややこしいので、まぁいい。


 しかし、そんな中で。

 俺は天才なので気づいてしまった事もあった。


「仮に未来俺が現在俺に負債を背負わせても気づかねぇんじゃねーか?」


 この案、つまり売掛。

 

「結果を先に持ってきて、労力や対価を未来の俺に支払わせる行為」

 

 それが可能であると、今俺は証明してしまった。


 そうなのだ。

 ()()()()()()()なら間接的にこの時空に影響を及ぼす事が出来るとも判明したのだ。

 例えば。

 今飲み食いしている5つ星レストランの肉とシャンパン。

 売掛に関してはこの時空の俺に間接的に影響を与えている訳だ。それが出来るのはこの時空の俺が、預金額……売掛金に関して把握していないからな訳だが。

 

 それは可能なのだ。

 

 未来俺。つまり語り手である俺な訳だが。

 そんな俺は未来時空ではトンデモないマイナス収支になっている。

 さながら逆億り人状態。

 常人ならば泡を吹いて倒れるだろう。


 他人事のように。

「全く恐ろしい事だ」


 前世の俺ならば山手線ストッパーになっていたかもしれない。巧妙に返済を送らせているが、複利の力で雪だるま式に借金が増えている。牛嶋くんにえぐい殺され方をする債務者である。


 しかし、現在俺。

 つまりこの時空の俺はまだ買い付け余力を残している。

 口座残高に違法賭博で儲けた金銭が残っていたはずの存在。

 なので、可能なのだ。

 使えなくなったはずの魔法のカードことクレカが使用できるのだ。


 話を戻そう。

 結論をまとめるとだ。歴史に影響を与えない範囲であれば語り手である未来俺はこの時空に干渉出来るという事になるのだ。

 

「という事は、俺は魔女に接触出来る」

 

 てか、アイツを殺してたのって。


「もしかして俺なのか?」


 ・

 ・

 ・


「最初に前提条件を確認せねばならない」


 まず、第一に。


「死者の蘇生は不可能だ。俺が()()()()()()()()()な」


 タイムパラドックスは非常にややこしいので。

 ここでは割愛するが。

 

 未来改変に挑む俺が観測した瞬間にカッコウは死亡するのだ。

 

 これは揺るぎない事実として固定される。

 しかし、観測していない状態ならば。


 死んだ状態であり。

 仮死でもあり。

 生きているとも仮定できる。


 仮に『C』が可能であればその埒外ではないが。


 今回は別のプランでアプローチする。

 

 天才俺は脳みそを回転させた。

 

「いける。この姑息な戦術はこの世界でも通用するはずだ。過去、現在、未来を操作すればいける。金融理論は魔術理論に置き換えられる」


 ・

 ・

 ・


「具体案はCCCを参考にして、この理屈なら行けるはずだ」

 

 俺はボロ本の余白にボールペンで殴り書きした。

 

 CCC:キャッシュコンバージョンサイクルという仕組みを知っているだろうか?

 

 例えば、

 企業Xが材料を仕入れ。

 加工し付加価値を付け。

 その後、販売し現金利益を生み出すまでの日数。

 現金循環日数と呼ばれる仕組みだ。


 CCCは期間が短ければ短いほど良いとされる。

 なぜならキャッシュが手元にある期間が長くなるからだ。


 前提条件として、この世には売り掛けという言葉がある。

 未来に支払いを先延ばしにする姑息な手であるが。

 これを例に取って話を進めよう。

 

 例えばだ。


 農家Aが販売するリンゴ1個100円を企業Xが100円でリンゴ1個を購入する取引を行ったとする。企業Xが行う支払いは売り掛けで、農家Aへの支払日は購入日から60日後とした場合。


 この時点で、農家Aは60日後に100円の利益が出るが、実際に取引が行われた現金100円は手元になし。企業Xは60日後の100円の支払い義務はあるが、リンゴ1個が手に入る訳だ。


 さて、ここでおかしな事が起きる。


 この時点では現金の動きはなしにも関わらず。

 実物の100円の価値があるリンゴ1個が存在している。

 金銭の取引なしにだ。


 次に。企業Xが100円で買い付けたリンゴを加工し、1杯300円で売れるリンゴジュースを作ったとしよう。農家Aから仕入れた日から30日後に売れたとする。


 リンゴジュース:300円の内訳は原価100円と利益200円となる訳だ。

 手元のキャッシュは300円。

 30日後に100円のリンゴ代を支払うので、この時点で企業Xは200円の利益を生み出した事になる。

 

 さて、既にこの時点で数字のトリックにお気づきだろうか?

 

 これはおかしな事である。

 なぜならCCCはこの時点でマイナス30日。

 現金のやり取りなしに200円のお金を生み出したことになる。


 分かりやすく言おう。


 ―――――――――――

 

 1/1 :リンゴ1個100円の取引が行われた。

 企業Xは現時点で手元に0円。

 企業Xの農家Aへの債務は100円。

 余談だが。

 この時点で企業Xは赤字扱いとなり法人税支払いが免税。

 農家Aへの支払い日は3/1。


 ↓

  

 2/1:リンゴジュースが売れる。

 企業Xは300円手元に残る。

 利益は200円。

 企業Xの農家Aへの債務は依然100円のまま。


 ↓


 3/1 :

 債務であるリンゴ1個100円の支払いを行う。

 企業Xは200円手元に残る。


 ↓


 以下倍々ゲームにしてループ。

  

 ―――――――――――


 そう、おかしな事とは2月1日の時点で企業Xの手元には300円の現金が存在しているのだ。100円の支払い義務があるので、仮にそれに手をつけない場合でも200円の現金をキャッシュ0の状態で生み出した事になる。



 前世のあの企業がやってるアレである。

  


 さて、ではこの世界の魔術に置き換えてみよう。

 ――――――――

 1/1

 自身の限界を超えた魔術行使権の獲得。

 代償:リスクの支払いを3/1に設定。

 

 ↓


 2/1

 限界を超えた魔術行使を元手に。

 リスク返済分を生み出す仕組みを構築完了

 もしくは

 成果の達成。


 手元には限界を超えた魔術行使権。

 とリスク返済分の成果。


 ↓ 


 3/1

 代償:リスクの返済。


 ↓


 以下倍々ゲームにしてループ。

 ―――――――――― 


「つまり元金……理論上リスクなしに魔術を行使できる」


 自転車操業であるが。

 俺が持つ唯一のアドバンテージを行使すれば可能。



 これらを総合すればカッコウの復活は可能となる。


 俺の考える案はこうだ。

 タイムパラドックスが起きない方法。


 ――――――――


 過去時空(俺が跳躍して来た時空)


 1:魔女に接触し死霊術のユニークの獲得。

 2:魔物にユニークを刻印。

   受肉させ半人半魔化。

   ダンジョンから放出。

 3:この時空のカッコウに接触し細工を施す。

   3がキモだろう。 


 ↓


 ちょい過去(カッコウ死亡)


 1:俺目線でカッコウ死亡したのか? 

   の状態にしてやる。

   死亡・仮死・生の状態である。

 

 2:この時点で死霊術の固有魔術を発動。


 ↓

 

 未来時空(元の俺が居た時空)


 1:ダンジョンにてカノえもん達が成果を上げる。

 2:俺が過去から半人半魔を引き連れ帰還。

 3:固有魔術の代償返済開始。

 ここは全てがキモとなる。

  

 ↓

 

 さらに未来時空

 1:返済完了。

 2:カッコウ復活を観測。


 ――――――――


「この時空でやるべき事は定まったな」

 

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