1つ目 三位一体と「最後の仲間はお前だ!」
まず俺は2つのパスが通っている。
いつの間にか主人公風音並みにややこしい事になっているのだ。
俺の史上最大の切り札である最強ロボ:ブラックナイト。
召喚者として無理矢理パスを繋ぎやがった香乃である。
理論上俺の考える召喚上の上下関係としてはこうだ。
召喚士:香乃
↓
使い魔:オレ
↓
俺の半身兼究極武装:ブラックナイト
である。
単純な戦力としての力関係は恐らく、
ブラックナイト >> 超えられない壁 >>(神剣なし)香乃 ≧ 俺
といったややこしい関係だと推測される。
さて、前置きはいいとして。
つまり俺個人で3人分の戦力を理論上保有する事になる。
風音は聖剣と合わせて二人分の戦力を個人で所有しているのと同じく俺一人で3人分なのだ。
「これは好都合である」
俺個人と戦っていたと思ったら、実は香乃とブラックナイトと戦っているという事になる。
まぁ何が言いたいかと言うと。
最大5人しか席のないパーティーメンバーを2人分かさ増ししている事と同義なのだ。
「くっそチートじゃねぇか!?」
まぁいい。
俺は香乃に教えたくなかった。
本当に絶対に教えたくなかった。
プライバシーポリシーに反するので絶対に教えたくなかった!
何度でも言おう。
もう本当に絶対、嫌になってくるから教えたくなかった。
まぁ教えた訳だが。カッコウの野郎が勝手に死亡したので、背に腹は代えられぬ思いで教えたのだ。アイツに会ったらぶん殴ってやらねばならん。ややこしいトリガーを引きやがってとな。
俺が絶対に教えたくなかったその驚愕の事実とは。
召喚士は莫大な魔力を消費する事で使い魔をいつでも呼び出す事が出来る。パスを繋がれた時点で見えない主従関係が存在しているのだ。俺がブラックナイトを呼び出せるのと同じく、香乃も俺を呼び出す事が出来てしまう。
だが、これは双方向ではないし、制約は多い。
香乃からブラックナイトを呼び出す事は出来ないし、俺は香乃を呼び出す事は出来ない。香乃は俺しか呼び出せないし、俺はブラックナイトしか呼び出せない。
さて、では本題に行こうか。
俺はパーティーメンバーを完成させたい。
させねばならない。
それが一つ目のやりたい事とやるべき事だ。
「最期のパーティーメンバー。コイツを鹵獲せねばならない」
俺のパーティーメンバーは、
1:三位一体の俺(ブラックナイト & 香乃)
2:遠距離兼近距離になりつつあるマリア。
3:近距離の小町。
4:遠近両用の千秋。
である。
超攻撃特化の編成に偏りがありすぎるパーティーである。
専門のヒーラーが存在しないのだ。
残り1人はヒーラー!
最高峰のヒーラーはシステリッサしか居ない。
しかし、システリッサは風音の仲間だ。
それに、彼女にも出来ない事がある。
だが居るのだ。
もう一人居るのだ。
最大最高峰クラスのヒーラーが。
この世界がイレギュラーを許容してくれるのなら。
「俺は賭けに出ようと思う」
出来るかわからない。
だから鹵獲だ。
捕獲でも獲得でもない。
鹵獲という表現が一番正しい。
出来るかわからない……
でも……
「やるしかない」
斜め上の行動を起こすしか可能性はない。
非常に危険な賭け。
意味はないかもしれない。
後悔するかもしれない。
でも集めねばならない。
最高峰のヒーラーを。
ある意味インチキをしなくちゃいけない。
何より、やる価値はある。
香乃には確認を取った。
俺の脳内にある攻略Wikiと照らし合わせて出来る可能性は僅かだがある。
現状死亡している事は確認している。
アレは人ではない。
「マニアクス。魔女メサイアを手中に納める」




